相棒のいない一週間 7
何処にもないのに此処にある扉。それを開けた先に太陽協会はある。
面倒事は重なることが多い。だが、そうでないときもある。まあ、今日は依頼を眺めはするが、受けるつもりはない。
依頼を眺めるのは日課だ。本当に大変なときは協会からお呼びがかかるが、特に呼ばれなくとも、偶に依頼をこなさねば、信頼を失うかもしれないし、魔導師としての勘を失うかもしれない。
そんな事があるので、長々と練習したのちでも顔を出すわけだ。随分長い練習した。
「あれ?さっちゃんだー?」
受付嬢が気軽に声をかけてくる。
「…………なんか、依頼あるの?」
「んー?これ、たぶん、あのこだよねー?」
受付嬢は一つの依頼を示す。
「あれ、この捕獲対象の人狼ってサーシャ?最近、失踪したらしいって聞いたし。」
「まーね。さーしゃちゃんのおやがそうさくいらいをだしたのが、これだからね。」
受付の机をバンバンと叩きつつ依頼を示す。
「ん?で、サーシャならその内帰ってくるでしょ、あの子親大好きっ子だし。」
「それがねー。かえってこれないじじょうというのがあったんです。」
依頼の一文を示す。
そこには、誰かに付け狙われてるから協会からプラス一人派遣する旨が書かれていた。
ほぼ同時に喋る。
「つか、これ、誰か受けてるじゃない。誰よ?」
「んー、すとーかーって親をこうげきするっていったらしくて、それでちょっと、もりにかくれてもらうことにしたのー。」
「…………ストーカー、ね。それまた面倒な。」
「すとーかーあらわる。さーしゃちゃんおやにめーわくかけないようにいえで。すとーかーよりさきにほごする。おーけー?」
「いや、だから、誰か受けてるじゃない。誰よ?」
「りゅうし。だからへいき。さーしゃちゃんしんぱいだから、さっちゃんみてきてくれないー?」
「………見てくるだけよ?」
協会から出ようと動き出したとき、全身黒ずくめの男がこちらに近づいて来た気がしたので、駆け足で協会からでた。
「なあ、受付嬢よ?」
「どしたの?すとーかーそうさできたの?」
「まあ、俺にかかれば造作もない。だからこのケモ耳美少女に対して陰湿で悪質な尾行を行う悪人を特定することなど」
「まーったく、はなしながーい。こーいうのとくいってしってるからー。はやくいえ。」
「…僕が調べた結果、この雷土仮面というのが一番怪しい。ネーミングがよくわからんなこれ。」
「きみがいえることかな?」
「…こほんっ。では。」
「いもうとでし、に、あたるこがいらいうけてるけどみにいかないの?」
「僕は鎧巫女と鉢合わせしたくない。」
男の仮面の下はズタズタだった。
「うふふふ……責任とってもらうよ?顔、こんな風になっちゃったんだ……それくらい出来るよね。」
────それが私にとっての復讐だ。
「……………ふざけんな。」
後ろの奴は俺から離れ、いつでも反応し、対応できるようにした。
「………リュー。」
「了解した。」
菊川は竜を何処かへ消した。何処へ行ったのだろうか。
「おい、仮面の人。どうしてこいつを狙う?」
もう混乱してしまい、つい、聞きたいことを言う。
「この女が!小さいときに傷を私につけた!この無残な傷をだ!だからこの女に地獄を見せて!見せて!殺してやろうと思ったのさ。まあ、親に手を出すのは最終手段だったから使わなくてホッとしてるんだがな。」
…………。
「あっ、あれは!逆恨みじゃない!?」
「逆恨み!?そっちには一切傷ついてないじゃないか!!ふざけんな!」
「そっちは、集団でリンチまで…………!!!」
「なんかよくわからんが、これ、集団リンチしたって事は向こうが悪いのか?」
俺は菊川に問う。
「先輩。深く考えなくていいんですよ。魔導師同士同意すれば私闘で相手を殺しても良いんですし何より、依頼は捕縛。対象を殺害しようなんて考えた地点でそいつも捕縛していいんですよ。」
「いいのか?」
「知りませんよ?でもそれに加えて、あの子、狙われてたんですよね。誰かに。」
「ふーん。」
「そいつもついでにとっちめちゃえば良いじゃないですか。」
「そうだな。」
瞬間俺は右腕を作り、菊川は両手で詠唱を始める。
ややこしいが、さっき攻撃されて死にかけた。反撃しても問題ないだろ。と自分の中にも言い訳を作り出し。
2人同時に仮面の男目掛け、攻撃を仕掛けた。




