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義腕の王  作者: リョウゴ
三章・果たし状と体育祭
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急襲する魔導師 4

 校舎の屋上。氷の柱が所々に立ち、人が二人、大怪我を負い転がっている。


 その屋上に居る大きな竜は、主たる女性が、命に関わるほどの怪我ではないことを確認。応急処置をして、血溜まりに沈む男性を助けるべく、そちらに意識を寄せた。




「〈真回復術〉」


 男がそう唱える。実際は一言、そう言っただけだが、術式が彼の周りに書き出され、否、唐突に出現した為、竜は詠唱と判断したのだ。


 事実、その文字は出現して消えるまでが一瞬で行われていたが、その直後、彼の周りの血が消え、彼の脇腹にあった大きな傷──というより穴だった───が消えている。恐らく血に残る魔力も使ったのだろう。


 だが、血が消えるのはどういうことか……?


 ──この竜は知らない。体を魔力に変換する魔法のことを。だが知っていても、そんな()()()()を使えるとは思わないだろう。


 この男は重傷の体でそれをやったのだ。いや、正確には…。


「いやぁ、ご主人の体お借りしますよっと!」


 男は全身を使い、跳ね起きる。明らかに重傷者の動きではない。


 回復術で回復しても、血は戻らない。出血量は多く、そんな動きをすれば貧血とかで倒れるのは必須。その明らかにおかしい動きに竜は動揺した。


「あー、そこのドラゴンさん?そこの子は生きてますよね?」


 そこの男は、我が主を指差して、無表情で言う。


「あ、ああ。大丈夫だ。」


「んー、じゃあ後日、そっちから用があったらきてくださいね。いつも居るとこ、知ってますよね?」


 そう言うと、急ぎ気味に帰って行く。姿を消す前に、そういえばと。


「どこの勧誘ですか?手荒過ぎませんか?こういうやり方だと、後々面倒になりますからやめた方がいいですよ。じゃあ」


 最後に手を振り、去っていった。


 竜は、これからどうするかと考えていた。


 そして屋上には、誰もいなくなった。





 2の3の教室まで体を運び椅子に座らせる、しばらくしてから強制的な支配を解除する。そろそろ起きるような気がしたからだ。


「…………ん?何でここにいるんだ?」


『…あ、起きましたか?危険な状態だったので応急処置をして、急ぎ目にここまで運んできたんですよ。…いやぁ、さすがに最後のは危なかったですよ…?あんなもの隠し持ってたら流石に最初から手を貸してました……私もまだまだですね…。』



 気付いたら、教室にいた。どうやら、気絶してアイがここまで移動させてきたのだろう。


 にしても最後、何されたか分からなかった。相手をしっかり見てたんだが…。


『あれは、協会の勧誘だと思うんですけど、確か、手荒な真似する癖に相当弱い勧誘員ってのが噂になった時期が有りまして……その人の手口によく似てたんですよね。』


 そうなのか?…というか、何で噂とか知ってるんだ?


『さあ?知ってるものは知ってるんですよ。多分そこに深い意味はないでしょう。』


 そうか………?


 俺は椅子から立ち上がろうとしたが、目の前が真っ暗になる感覚がして、もう一度座る。目眩だ。


『いやあかなり出血しましたし、貧血気味なんですよ。ちょっと回復術式で血を戻しましたけど、少し危険かもしれませんね。暫くは激しい運動は避けた方がいいですよ。』


 そうだな。


「あれ?もう終わったの?思ったよりも早かったわね?」


 教室の入り口に、村上さんが立っていた。


「どうだった?あの子は?…勧誘の仕事は初めてって言ってたけど。」


「知ってたのかよ!?」


『あのレベルの人をぶつけてくるのやめてくださいよ!危うく死ぬとこだったじゃないですか!』


 そう言いつつ右手で「死にかけた」と書いていた。


「まあ、知ったのは昨日、仕事で遭ったからなんだけどね…だから教えるタイミングがなかったのよ。転校生の騒ぎでそれどころではなかったというのもあるけどね。」


「じゃあ、仕方ないな。」


 仕事って何なのかは後で質問するべきかな。


 俺はクラクラする中、立ち上がり、帰ろうとする。ああ……ふらふらする。


「……大丈夫なの?」


 右手が、「だからしにかけたんですよ」と書いていた。


 正直大丈夫じゃないけど。


「大丈夫大丈夫、ひとりで帰るくらい出来るって。じゃあな」


 と言い、意地でも一人で帰ることにした。


「明日神社にいくから。」


 と言ったのは、アイが言えと言ってきたからだが、まあ、明日土曜だが、一応行くつもりはあったし。


「ああ、うん。」


 それに対し、微妙な顔をして村上さんは微妙な返答をした。


 

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