表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義腕の王  作者: リョウゴ
三章・果たし状と体育祭
34/164

自己暗示

「……よしっ。」


 俺は空間に文字を書き出す。


「まずは〔ファイアボール〕っ!」


 空間に書かれた文字が一点に集まり、火の玉となる。それを俺は数メートル先の地面に叩き込む。火の玉は地面に着くと同時に燃え広がろうとしたが、周りに燃えるものは無く、すぐに鎮火した。


『まあ、成功でしょう。』


「おお、鐘本君、出来てるじゃない。まあ、これで私は、あんたの面倒見なくてよくなったわ。良かった良かった。」


 村上さんはどこから持ってきたか分からない木のイスから立ち上がり、満足げにそう言った。


「いや、村上さん殆ど見て無かっただろ。まあ、これで魔術を覚えたって事になるだろ。……これが認識阻害っと。」


 俺はファイアボールの五倍の長さの詠唱をして、魔術を発動させる。書いた文字は一点に集まり、霧散する。


 すると、俺が誰だか分からなく…………。




『うわ、自分に効果てきめんとか最早駄目だこの男!?』


 認識阻害して、自分が認識出来なくなったなんて話聞いたことがない。この男にはこの手の術式に対する耐性がないのか?でも普通、自分が使えればこうはならないだろう。


「………………」


 まずい。このままだと解けない。


 そう思った私は、彼に命令する。


『ご主人!!ご主人!!!私に!右腕にありったけの魔力を籠めてください!全身から一カ所に集めるんですよ!』


 聞き入れた彼が、呆然としたまま、魔力を右腕に集める。そして右腕がひとりでに動き出す。


『…………っ!』


 右腕が、空間に文字を書き出す。長さは最低級魔術(ファイアボール)の二十倍以上。恐ろしく長いが、私は暗示系統の魔術についてはからっきしで、唯一知っている暗示解除がこの万能性の高い代わりに詠唱がクソ長い魔術だけである。本来認識出来ないままで問題ないのだ。認識出来ない範囲を設定すれば良いから、である。


 ………それだよ!!範囲設定について説明してなかったわ!原因発覚!!


『これで……おわり!』


 詠唱が終わり、文字が霧散した。




「…………俺は?」


 気が付くと、俺は突っ立っていた。……あれ?今、気絶していた……?


「どうしたの?突然あんなに長い術式を書いて?」


「長い……術式……?」


 すると右腕がひとりでに動き、無言で、空中に文字を書く。


『期限/範囲の設定の仕方を忘れてましてそれで自爆した』


『………つまり魔導師を認識出来なくするなどの〈範囲〉や、一時間前に起きたことを認識出来ないようにする〈期限〉みたいなのを設定しなかったのが悪いんです』


 書いた後、発言するアイ。つまりさっき気絶してたのは……自分を認識出来なくなっていたからなのか?


「いや、設定しなかったとしても、自爆はないでしょ。自爆は。」


 そうなのか……?


『そうなったのだから説明したってしかたないんです』


 また空中に文字を書く。


「特殊な指定をするときはね、本来の詠唱の後に自分が分かるように書くの。音声式でも同じようにするけど、まあそれは、置いとくわ。」


 ……つか、もし失敗しても右腕で俺を殴れば良くないか?


『あ、それは、盲点でした!』


 おいおい。


『因みに発動者意外が解除するとなると長ったらしい式を書く羽目になりますから、覚えておいてください。ご主人。』





 俺はこの日、自分が間違わないように魔術を発動させることは出来るようになったことを認識した。


 ついでにアイは俺に認識阻害を使わせないようにする事を決意していたらしい。俺もアイも苦手意識を持ってしまったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ