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【完結】吸血鬼の救世主に転生した陽キャ女子が異世界で無双代行する話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
第一章 : 救世主の復活
20/514

20―難民救出作戦⑤

〜ミラ達が到着するおよそ2時間前〜


「“人間のフリをする”ですか?」


「そっ。ただ単に吸血鬼として助けるんじゃなくって、人間に化けて乗り込めば向こうも混乱するんじゃないかな?吸血鬼ならまだしも、そこら辺の人間がこぉんなおっかない魔獣に(またが)って襲いに来るなんて、まず有り得ないから。」


「クゥン?」


「アウ?」


「・・・・・・・。たっ、確かにそうですね。」


「でも人間になりすますなんてどうやるんですか?顔を隠してとかするんですか?」


「そこはグレースちゃん、もちっと本格的にやるんだよ♪」


「本格的?」


「はっ!異種擬態(レイス・マスカレード)!」


ピカッ!


「きゃっ!?みっ、ミラ様?」


「ごめんごめんビックリさせちゃって。グレースちゃん、はい、鏡。」


「ッッッ!!めっ、目の色がっ!?」


「どぉ〜?牙も見事に無くなってるでしょっ。」


「どこからどう見ても、完璧な、人間だ・・・」


「なるほど。ミラ様、考えましたね。我々が人間の都市に潜入するための魔能を使用されるとは。しかし、これほどまで高度な物は初めてです。大抵は肌か瞳の色、耳の形、牙の有無などある程度はそのままになってしまうのですが・・・」


「そうなんだ。取り扱い説明書(スクロール)の中に書いてあって、“こりゃ使えるな”って思ってやってみたんだけど・・・ねぇ、今度その潜入してる人らに会わせてよ。あたしがかけてあげたら、もっと忍び込めやすくなると思うからさっ。」


「ええ、彼等もきっとお喜びになるでしょう。」


「してミラ殿、完璧になりすますことができるのは分かりましたが、具体的にどのような流れで救出なさるのですか?」



「それはね・・・あたし達が強盗のフリをして、難民の人達を敵から掻っ攫うのッッッ!!」




◇◇◇



いやぁ〜


一度でいいからやってみたかったんだよね〜


『敵のフリをして仲間を助けるシチュエーション』っていうの。


だってそういうの、めっちゃくちゃカッコいいカンジがするんだもん♡


助けられた人らの、あの「あっ、この人達本当は味方だったんだ。私達助かったんだ。」って顔見ると、こっちもやり切ったって思って達成感ハンパないんだよね〜♡


オマケに敵も突然のことで混乱するし、一石二鳥だよ!


しかし、ちょっとこっちにしたら予想外のことがあるんだよな〜


何アレ、敵のリーダー?


完全にショタじゃん!!


アイツがこの中で一番強いの?


何その、いかにも異世界ファンタジーモノでありそうな展開!?


イザ自分の身に起こってみると、どうにも戸惑っちゃうわ。


あたし子どもには手をあげたくないんだよなぁ〜


「ミラさ・・・じゃなかったっ。リーダー!コイツ毒打ち込まれてるみたいですよ!どーすんですか!?これじゃ引き取ってもらえないですよ。」


「あっ、ああ?なぁに心配すんな()()()!さっきアタシが渡したクスリ、アレちょっと飲ましてみ?」


「はっ、はい!おっ、オイ()()()!しっ、死にたくなかったら今すぐこれを飲めやがれ!!です・・・」


「なっ・・・何・・・これ・・・?」


「あなたの命を助けるクスリ、だ!つっ、つべこべ言わず、さっさと飲め!!です・・・」


キュポン・・・


「こっ・・・この匂い・・・もしかして・・・血・・・」


「クスリだッッッ!!誰が何と言おうとクスリだッッッ!!です・・・いいから飲めッ!下さい・・・」


ゴキュッ・・・ンク・・・


「はぁ・・・はぁ・・・はぁぁ・・・」


「どうだ?楽になったか、ですか?」


「えっ、ええ。あっ、あなた達、一体?」


「クスリが効いたみたいですよ!ミラさ・・・ううん!リーダー!!」


「おお、そっか!胡散臭い薬師から手に入れたんでイマイチ信用できなかったが、ちゃあんと効いたみたいで安心したよ全く!!それじゃお前ら!荷馬車に乗り込んで早いことコイツら掻っ攫うぞッッッ!!」


「待て。お前、ここから逃げられると思っているのか?」


「おっと〜追いかけてくんなよ?アタシの可愛いワンコどものエサになりたくなかったらなぁ。」


「「グルルルルルルルルル・・・・」」


「ちっ・・・」


「グズグズしてないで早く乗せちゃいな!!アタシトロいのはキライなんだよ!!」


「おっ、おう!ほらお前ら!早いとこ馬車に乗りな!」


「どっ、どうする!?ナオ?」


「こっ、このままじゃ・・・」


コソッ・・・


「え・・・?」


「里長殿、味方を連れて戻って来ました。皆様を安全なところまでお連れしますので、どうかお急ぎを。」


(この声、あの時の?もっ、もしかしたら・・・)


「みんな、この人達の言う通りにして。」


「ナオ!お前何言って・・・」


「私を信じて!この人達は、大丈夫だから。」


「えっ?わっ、分かった。みんな、急いで荷馬車に乗るんだ。」


ゴトッ、ゴトッ


「よし!全員乗ったな!?じゃあみんな、ズラかるよ!!」


「「「はいッッッ!!!」」」


ドドドドドドドドドドドドドドドド・・・!!!!


「・・・・・・・。」


「おいどうすんだよ!?みんな連れ去られちまったじゃねぇか!!」


「お前、何か妙だと思わんか?」


「何がだよ!?」


「これだから知恵のないゴロツキは・・・奴ら、()()()()()()()()()()()馬車を進めたぞ。」


「それがどうしたってんだよ!周り道して行くかもしれないだろ?」


「それに、あの禍狼種(ワガルフ)、王国に貸し与えたまま行方知らずになった2頭の特徴によく似ておる。」


「おい、それどういうことだよ?」


(例の2頭は王国の部隊が所有していた。そしてその部隊は皆、消息を絶った・・・吸血鬼どもの手によって。)


「・・・・・・・。下手な小細工を使いおって。ヤブカどもが・・・」


「メウロ?」


「お前等は残った馬で追跡の準備をしろ。奴らは某が捕らえる。」


「お前何言って・・・」


地級(アース)第一位・弾丸走破(バレット・フィート)。」


ザザザザザザザザザザザザザザザザザ・・・!!


「アイツ、森ん中を突っ切る気かよ!?」




◇◇◇




「ここまで来れば多分大丈夫だから、一旦休もっか。」


キィィィィィィィ!!ガタ・・・ゴト・・・


「ふぃ〜なんとか上手くいったね!」


「おっ、お前達は何者なんだ!?」


「あっ、すいません。もう解いてもいいかな?」


パチンッ!


「ッッッ!!きゅっ、吸血鬼!?」


「まっ、まさか攫うフリをして私達を?」


「えっ、ええ、まあ、そうなんですっ。いやぁドキドキしたぁ~グレースちゃん素が出そうになりすぎだったよ~」


「はぅぅ・・・すいません。つい自分の気持ちに正直になってしまって・・・」


「みなさんご無事なようで、本当に良かったです。」


「あっ、あんたは・・・!」


「来るのが遅れてしまって申し訳ないです。里長様にも、大変お辛い思いさせてしまって・・・」


「謝らないで下さい。きっと、助けに来てくれるって、信じてました。」


「ッ!・・・・・・・。」


「セドヴィグさん、それに皆様方、私達を救ってくれて、本当にありがとうございます。」


「わっ、私達なんてとても!全てはミラ様がご提案された作戦の賜物です。」


「え?ッッッ!!?そっ、その髪色・・・あっ、あなた、様は、ま、まさか・・・」


「あっ、はいっ。そうなんです。いっ、一応、本人でして・・・」


「里長さま、このお姉ちゃん誰?」


「フフッ・・・私達の、救世主様よ・・・」


「きゅうせいしゅ?」


「みんなこんにちは!・・・って、もう夜だからこんばんは、か。あたしの名前はミラ。よろしくね!」


「ありがとう!!ミラお姉ちゃん!ボク達を助けてくれてっ。」


「こっ、こらお前達っ!ミラ様に対してその呼び名は不敬だぞっ。」


「いいんですって!あたしもそう呼んでもらって嬉しいんですからっ。」


「はっ、はあ・・・」


“ミラお姉ちゃん”か。


上手くいくかどうか、正直めちゃくちゃ緊張したけど、みんな無事に助けることができて本当に良かったな・・・


一度やってみたかったシチュだけど、このやりきった感はさすがに想像以上だよぉ・・・


「ミラ様?」


「ああごめん、つい感慨深くなっちゃってさ、そろそろみんなを安全な場所まで送ってあげよっか。」


「そうですね。では皆様、そろそろご出発を・・・」


「グルルルルルルルルル・・・」


「ウウウウウウウウウウ・・・」


「んっ、どしたの?」


「ッッッ!!みっ、ミラ殿!!あっ、あれ・・・」


ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・


「やはり・・・よくも謀ってくれたな、ゴミ共。」


はっ!?


アイツさっきのショタじゃん!!


まさか森ショートカットして追っかけてきたの!?


どんだけ足速ぇんだよッッッ!!!!


「お前らの下らん余興に某は今、不快の絶頂だ。単に殺してもらえるとは思うなよ。」


「みっ、ミラ殿・・・」


やべぇよアイツめっさ怒ってるじゃん・・・


でもどうにかみんなをここから逃がさないと・・・


「ん?ッッッ!!?きっ・・・貴様は・・・」


アレ、止まった?


でもなんか様子おかしくない?


「あ゛、あ゛あ゛・・・はあ゛・・・!はあ゛・・・!い゛っ、生ぎで・・・い゛だ・・・どは・・・い゛っ・・・い゛ひっ・・・ヒヒっ・・・!!」


ええっ!?


なになになに!!?


汗ダラダラだし、よだれボタボタだし、身体ガタガタ揺れてんのに笑ってんだけど!!


あの子超~ブキミなんですけどッッッ!!!


「がっ、がびさば・・・あ゛、あ゛り゛がどう・・・ござい゛、ばず・・・ぞ、ぞれ゛がじに・・・ごっ、ごの゛よ゛うな・・・ぎっ、ぎがいを・・・あ゛だえで、くださり・・・」


ヒッ!


こっ、こっち見てきた!?


まっ、まさか、あたし!?


「むっ・・・むしの゛・・・ぶん゛ざい゛で・・・あ゛、あ゛ね゛う゛え゛を゛・・・ごっ・・・ごろ゛じだ、ぎゅ、救血(ぎゅうげづ)の、乙女(お゛どめ゛)を、ぞっ、ぞれ゛がじの゛、てで・・・ごろず・・・ひっ、ヒヒっ・・・」


あっ、姉上?


仇?


何の話してんの一体!?


「ミラ様!!」


「みんな早く逃げて!!コイツの狙いはあた・・・」


ジャキン!


ダッ・・・!


「ッッッ!!」


「会いたかったぞ・・・ミ゛ラ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あッッッッッッッッッッッ!!!!!」


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・!!!!

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