表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】吸血鬼の救世主に転生した陽キャ女子が異世界で無双代行する話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
第一章 : 救世主の復活
14/514

14―吸血鬼たちの目覚め

んっ、んん・・・


あれ・・・あたし・・・


あっ、そっか・・


昨日遅くまで()()()()とスクロールの内容について暗記してるうちに、寝ちゃってたんだ・・・


「んっ、んん〜!ねみ・・・」


今何時?


って、19時半!?


やばっ!あの子達にご飯あげに行かないとっ。


いつもだったら30分前にあげなきゃなのに寝過ごしちゃったっ。


しっかし、この部屋に懐中時計があってホント良かったよ。


この間のソウリンさん達を助けた一件で「せめてものお礼」ってことでくれたんだっけ。


時計があることである程度の生活リズムが作られて、思ってた以上に助けられて嬉しいなぁ・・・


ただ欲を言うなら、これに目覚まし機能かなんかあったらもっとありがたいんだけど・・・


って感慨に耽ってる場合じゃない!!


早くあの子達にご飯あげに行かないとヘソ曲げちゃうよ!


ガチャ・・・コツっ、コツっ、コツっ、コツっ・・・


「おはようございます、ミラ様。」


「あっ、おはよーございまーす!みなさん早いですね〜もう()ご飯作り終えてるんですか?」


「ええ、ミラ様はどうなされたんですか?」


「えへへ、ちょっといつもの餌やり寝坊しちゃって・・・」


「お申し付け下さったら私達で致しましたのに。」


「そんな悪いですって!自分が拾ってきたペットのお世話くらい自分でしないとっ。」


「そうですかぁ。」


「ええ。ではそういうことなんでこれで。ご飯あげ終わったらすぐに食堂に行きますんで!」


タッ、タッ、タッ、タッ・・・


ふぅ、やっと着いた。


カチャ、キィィ・・・


「バウッ!」


「ウォフ!ハフッ」


「うわわっ!分かった分かったゴメンって〜!ご飯あげんの遅くなっちゃって。」


めっちゃスリスリしてくるよぉ〜


寝坊しないためにやっぱ()更かしできるだけ控えないとなぁ〜


「はい、白丸(はくまる)。コラ!茶々助(ちゃちゃすけ)。相棒の分ネコババしないのっ。」


この子らも、このご飯すっかり慣れたみたいで良かった。


来たばっかの頃は全く口付けようとしなかったからな〜


でもさ!いくら魔獣だからって児鬼種(ゴブリン)とかの肉ばっかやってたら健康に悪いって!!


ホントこの子らの前の飼い主どういう神経してたんだろ!?


オオカミにはやっぱ今やってる鹿みたいな普通の動物の肉じゃなきゃ!


でもそんなあたしも会った時人肉食べるように命じちゃったから人のこと言えないんだけど・・・


次からああいうのは止めるようにしよ。


「バウッ!」


「グウウ。」


「おっ、完食した?エラいぞぉ〜♪」


やっぱいつ見てもカワイイよなぁ〜♡


仕草もそうだし、最近はそれぞれの手並みに合わせて付けた名前にも反応してくれてるからな〜♡


「ヨシヨシヨシ〜!おっと、じゃれ合うのもこれくらいにしてそろそろ朝 ご飯食べに行かなきゃ。じゃ〜ね二人とも!また朝の狩りの時にっ。」




◇◇◇




「あっ、おはようございます。ミラ様。」


「おっは〜グレースちゃん♪」


「おはようございますミラ様っ。」


「ネー君もおはよ〜」


「ミラ殿、今朝も息災のようで何よりです。」


「アーさんもね。昨日は遅くまで付き合わせちゃってゴメンね。」


「いえいえ。ミラ殿のお力添えができて、本当に有り難く思っております。」


「こちらこそありがとね!」


「ささっ、早くお席に着いて下さい。ミラ様の分ご用意しておりますので。」


「今日も美味しいそうだねぇ〜♡」


今日のメニューは川魚のフライとトマトスープとプチフォッカか。


いつも少ない食材でこんなに立派なメニューを作れるなんてここの人達の腕ってすごいよな〜


あたしも今度作り方とか色々教えてもらおっ。


「全員揃ったみたいだな。ではミラ殿、よろしく頼む。」


「はい、ソウリンさん。コホン。えっ〜と、それじゃあみんな!今日も健やかに一日を過ごせることを願っています!!せ〜の、いただきます!!」


「「「いただきますッッッ!!!」


毎朝任されてることだけど、あんま慣れないなぁ、コレ。


「それで、ミラ殿。今日はどういったご予定で?」


「んっ〜と、そうだなぁ・・・グレースちゃんと剣の練習の約束してるから夜はそれかなぁ?で、明け方からお昼くらいまで白丸と茶々助と一緒にいつもの狩りに行こうと思ってて。」


「分かりました。では今日は魔能の訓練はお休みで?」


「そうだね、また明日お願いしますっ。」


「ええ、いつでもお申し付け下さい。」


アーさんには悪いけど、魔能だけじゃなくてそろそろ剣の練習もしとかないとな。


両方まだまだペーペーだけど、剣だったら巻き添えがなくて良さそうだし。


「ごちそうさまっ!!」


「みっ、ミラ様、もう完食なされたのですか?」


「だって美味しくってついついペースが早くなっちゃうんだもん。」


「作用ですか。給仕の方たちがお聞きしたらさぞお喜びになるかと。」


「うん、今度お礼言っとくね!」


「ええ、是非。」


「それじゃあ、あたし部屋戻って色々支度するから、後で隠し扉で会おうね、グレースちゃん。」


「はいっ!今日はよろしくお願いします。」


「あたしこそよろしく!よ〜し!今日も一日、頑張るとしますかぁ〜!!」


タッ、タッ、タッ、タッ・・・


「ミラ様、すっかりここの暮らしに馴染んだみたいだな、兄貴。」


「ああ、記憶を無くされてもああやって明るく振る舞ってらっしゃってオレ達も見ていて励みになるというものだ。」


「・・・・・・・。」


「どうしたのだグレース殿、浮かない顔をして。」


「いや、その・・・ミラ様が復活したのを知っている吸血鬼って私達ここの拠点の者たちだけなんですよね?」


「ああ、そうだな。」


「もっと多くの同胞の方達に報せを送ることってできないのでしょうか。」


「グレースさん、それは少し早計過ぎると思いますよ。今下手に情報共有なんかしたら人間達は真っ先にここを攻めて来るんじゃないんですか?」


「ええ、分かってる。分かってはいるんですけど、ミラ様が生きていることが分かれば、悲しみに暮れる仲間達を再び奮い立たせることができるんじゃないかと思って・・・」


「グレース殿・・・」


「すいません、余計なことを言ってしまって。今はミラ様とここの方達の安全を第一に考えるべきですよね。」


「いや、グレース殿の意見はもっともだ。ミラ殿の復活、それは大いなる危機に立たされた我々にとって、想像もつかないほどの希望になる。何とかして、それを伝えることができればよいのだが・・・」




◇◇◇




ドン、ドン・・・


「入れ。」


「失礼します。十日前に遠征に出ていた“リューティアの森”の拠点の部隊に関して、大まかですが情報が入ってきました。」


「本当か!?してどうだった!?」


「無事に帰還できたようです。」


「そうか・・・この管轄では8ヶ月ぶりだな。ソウリンの部隊はよほどの幸運に恵まれたようでホッとしたぞ。」


「ええ、とても喜ばしいことです。」


「ああ。それで・・・()()の遺体の場所は?」


「現時点で三カ所まで絞り込めたのですが・・・その中で最も有力とされるのが、ここです。」


「リューティアの森の外れ・・・何か妙だな・・・」


「何がでしょうか?」


「ソウリンの拠点からさほど離れていない。」


「確かに、そうですね。」


「もしや・・・」


「執将様?」


「いや、そのようなことあるはずがない、か・・・引き続きこの三カ所について詳しく洗ってくれ。我らのために戦い、その果てに命尽くした彼女の身体、何としても見つけ出し、そして、丁重に弔ってやらねば。」


「承知しました。では、失礼いたします。」


ギィィ・・・バタンッ!


「はぁ・・・このような、推測とはとても言えぬような考えが頭をよぎるなど、私もまだまだ青臭さが抜けぬようだな・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ