13―撤退支援戦④
ゼッタイに許さん!!
あたしの身長バカにしたコイツらは何がなんでもゼッタイに許さんッッッ!!
とは言ったものの・・・
・・・・・・・。
・・・・・・・。
あたしまだ自分がどんな魔能使えるかあんま覚えてないんだよねぇ〜
アドレさんから渡されたスクロール、ここ来るまでに結局全部見れなかったし・・・
う〜ん、どうしよっ?
「どうした?早くかかってきたらどうだ?」
えっ?
いやかかってくるもなにも、自分の技全部覚えてないんだから行けるはずないでしょうが。
「まさか今になって怖気付いたんじゃないだろうな?」
「はっ!?そんなワケないしっ!今なんか技出そうかなって思ってたところだし!!」
ちょっとマジでどうしよ?
これじゃいつまで経ってもバトル開始できないじゃん。
ピコーん!!
おっ、そうだ!!
ガサガサ・・・バッ!
「何をしておるのだ?」
えっ〜と、この枝に上を掛けて、風でぐちゃぐちゃにならないように下をこれで押さえて・・・うん!これでヨシっ。
「貴様、スクロールなんか木にかけてどういうつもりだ?」
「あのさぁ!ちょっとお願いがあんだけど。」
「何だ?」
「深くワケは言えないだけどスクロール見ながら戦いたいから、みんなそっから動かないでくれる!?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ふっ、ふざけてるのかお前!?」
「戦場のど真ん中でスクロール見ながら戦うバカがどこにいるんだよ!?」
「お前さては適当なこと抜かしてオレ達を惑わそうとしてんだろ!?」
うっわぁ、ブーイングの嵐だぁ・・・
そりゃいねぇよな〜
死ぬか生きるかの瀬戸際で取扱説明書ガン見で戦うヤツなんか。
「ふっ、舐められたものだな我々も。」
ん、んん?
「エリスト様、どういうことですか?」
「要するに貴様は、そこから一歩も動かず我々を打ちのめすことができると言いたいのだな。」
・・・・・・・。
いや全然違うだけど・・・
見ながら戦ってんのにワチャワチャ来られたらパニくるから言ってるだけなんだけど・・・
でもまぁいっか。
そういうことにしとこっ。
「貴様の無謀を讃えて、こちらも正面から行かせてもらおう。殺れっ!」
「「「はっ!!」」」
うわっ、向かってきた!!
ええっと、ええっと、どれにしよっ!?
『地級第三位・爆散』
爆発系かな?
よぉ〜し!
まずは簡単なヤツでビックリさせてやるかっ!
「爆散!!」
「いっ!?」
「ぐおっ!?」
「おぼっ!?」
あれ、向こうの動き止まったけど何も起こんない。
ゴボボボボボボボボボボボボボ・・・!!
えっ、えっ!?
身体が膨らみだしたんだけど!!?
ちょっ、ちょっ、これ以上膨らんだら・・・
バァァァァァァァァァァンッッッッッ!!!
「ヒッ・・・!」
ビチャ!ビチャ!ボトッ!ビチャ!
「なっ!?そんな、バカな・・・」
「うっ、うぷ・・・はぁ、はぁ・・・」
あっ、危な〜
また吐いちゃうトコだったぁ・・・
しっかし、何なんよこれぇ〜?
名前からしててっきり爆裂系だと思うじゃ〜ん!
何で敵の身体が破裂すんのよぉ・・・
これグロいから当分使わんとこ。
「本当に一歩も動かず、殺しただと・・・」
あのエリストってヤツ、ドン引きしちゃってるよ・・・
だって自分の部下達の身体爆発して辺りに肉片いっぱい散らばってんだもん・・・
引くなっていうのが土台無理な話か。
「えっ、エリスト様・・・」
「どうやら接近戦は危険なようだな。遠距離に切り替えるぞ。弓兵!矢を構えろぉ!!」
次は弓撃ってくんのか・・・
だとすると、迎撃用のを使わないと。
ええっと、なんか良さそうなのは・・・
『地級第一位・頼もしい反撃』
よし、これだな・・・
「放てッッッ!!!」
バババッッ!!
とっ、飛んできたッ!
「頼もしい反撃!!」
ピタッ!!
「ッッッ!!?なっ・・・」
おっ、おおっ!!
矢が空中で止まった!
やっぱコレで正解だっt・・・
メキ・・・メキメキメキメキメキメキ・・・!!
んっ、なんか矢でっかくなってない?
それにたくさんトゲが生えてきたんだけど・・・
ヒュン・・・ヒュン・・・ヒュン・・・
あれ、反対向きだした。
っていうかコレ・・・
・・・・・・・。
矢を撃ってきた人の方にドンピシャじゃね・・・?
ドドドドドドドドドドドドドド・・・!!
「「「ぐあああ!!!!」」」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
まさかと思うけどアレ・・・
倍返し系の技だった?
今ので敵の数半分以下まで減ったみたいなんだけど・・・
「クッ、クソぉ・・・」
「えっ、エリスト様・・・」
「なっ、何だ!?」
「まっ、まさかアイツ、本物の・・・救血のおと・・・」
「そんなことあるはずがないであろうがッッッ!!!」
「しっ、しかし・・・こっ、この力は・・・」
「ヤツは死んだんだ!!我々の方にも伝えが来たのを忘れたかッッッ!!!アレはヤツが死ぬ前に仕立てた影武者か何かだ!そうだ・・・そうに決まってる・・・!」
なんかエリスト、めっちゃテンパってない?
もうこれ以上の相手は必要ない気がしてきた・・・
「ねぇ、ちょっとぉ!」
「なっ、何だ!?」
「こっちとしてはもう十分な気がしてきたから、引き上げたいんなら引き上げてもいいよぉ!!」
「おっ、愚かな妄言を抜かすな!!誇り高き人間である我らが卑しい吸血鬼に背を向けて逃げることなどできるかぁッッッ!!!」
ええ、まだやる気ぃ?
もういいでしょお・・・
マジで全滅するよアンタ達。
「こうなれば、取るべき手段は一つしかないッ!」
「エリスト様?」
「禍狼種どもを放てッッッ!!!」
「ッッッ!?でっ、ですが・・・ヤツらの制御はまだ完全ではなく・・・それにアレは、アドニサカ魔政国から借り与えられているモノ。何かあったら・・・」
「つべこべ言わずに連れて来いッッッ!!!」
「ッッッ!!しょ、承知!!」
んっ、何なに?
なんか連れてくんの?
「グルルルル・・・」
「ガァァ!!グゥゥ・・・」
いっ!?何アレ!!?
でっかいオオカミ!?
しかも鳥みたいな足だし尻尾は槍状だし、目ぇ血走っててすんごく禍々しいんだけど!?
「今からこの2頭が貴様の肉を生きたまま食い荒らすぞ!!我らに楯突いたその報いとして想像を絶する苦痛の中で果てるがいいッッッ!!」
「グオォォォォォォォォォォォ!!!」
「ガァァァァァァァァァァァァァ!!!」
きっ、来たぁ〜!!
どうしよ!どうしよ!
アイツ等を大人しくさせんのになんか使わないと・・・!!
ええっと、動物系動物系・・・
『天級第四位・狂魂浄化』
・・・・・・・。
こっ、これしか、ない!!
「狂魂浄化!!!」
ブォン・・・ヒュオオオオオッッッ!!!
「グオォォォォォ・・・」
「ガァァァァァァ・・・」
うっ、動きが・・・止まった・・・
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ・・・」
「バウッ!!」
ん!?
なっ、なんか、普通のワンちゃんみたいになったんだけど?
なっ、撫でても大丈夫、かな・・・?
「クゥン♡」
「ウフゥン♡」
かっ、カンンンワイイ!!
見た目は結構コワイけど、スリスリ甘えてくる仕草が堪んな〜い!
ほええ・・・癒されるわぁ♡
「えっ、エリスト様!!わっ、禍狼種達が!」
「ウソだろ。完全に飼い慣らしてる・・・」
「いっ、急いで撤退を!!こちらの打てる手はもう・・・エリスト様?」
「やっ、ヤツは・・・本物だ・・・」
「えっ?」
「狂魂浄化。極めて凶暴な魔物の負の属性を全く逆の善の物へ反転させ、自らの心強い味方とする天級第四位の魔能・・・」
「そっ、それがどうしたと言うのです!?」
「本来吸血鬼が血を吸って奪い、そして使うことができる魔能は天級第五位までだ。ただ一匹の特異個体を除いて・・・」
「そっ、それじゃあ・・・」
「あっ、アイツは本物の・・・救血の乙女・・・吸血鬼どもの救世主・・・ミラだ。」
「そっ、そんな・・・」
向こうはもうこれ以上の攻撃を仕掛けられないみたいだな。
そうと決まれば・・・
ジロ・・・
「うっ!!」
「さぁ〜ってと、もうそっちのカードは使い切っちゃったみたいだけど・・・どう、降参する気になった?」
「どっ、どういう理由か知らんが、ミラが復活した事実は何としても伝える!!その時は、我ら全軍を以て再び貴様に死を与えてやるぞッッッ!!」
「そっか・・・じゃあゴメンだけど、アンタ達をもう帰すことはできないや。ちょうど、アンタにバカにされた仕返し、まだできてなかったし。」
「なっ・・・」
「ご主人様としてあなた達に命じるわ。あたしの仲間を傷つけて、更にあたしをイジったコイツ等を・・・お腹いっぱいになるまで食べてに行って!!」
「ウウ・・・」
「ガァァ・・・」
「やっ、やめろ!!やめてくれ・・・さっ、さっきのは悪い冗談だ。きっ、気を悪くしたのなら、あっ、謝らせてくれ!たっ、頼む!なっ、何でもする!何でもしますからッッッ!!どうか、どうか助けて下さいッッッ!!ミラ・・・ミラ様ッッッ!!!!」
「気安く“様”付けしないでくれませんか、このクソ野郎。」
「「ガァァァァァァァァァァァァァ!!!」」」
「あっ・・・ああっ・・・」
◇◇◇
「ミラ殿、果たしてご無事だろうか・・・」
「記憶が無くなってんのに、あんな数いっぺんに相手にできるなんて・・・」
「大丈夫です。絶対にミラ様は戻ってきます。だって、約束したのですから・・・」
「ハハッ、グレース殿は芯が強いな。オレ達も見習わないと。」
「そっ、そんなっ。私なんてとても・・・」
「みんな!上に上がってきてくれ!!」
「どうしたんだ!?」
「ミラ様が・・・戻ってきたッッッ!!」
「「「ッッッ!?」」」
◇◇◇
タッ、タッ、タッ、タッ・・・
「ミラ様ぁ!!!」
「おお〜グレースちゃん!それにネー君にアドレさん達まで!わざわざお出迎えなんて悪いねぇ♪」
ひしっ!!
「うわっ!」
「良かった・・・本当に・・・ご無事で、良かった・・・」
「グレース、ちゃん・・・ホント、ごめんね。めちゃくちゃ心配かけさせちゃって・・・」
「それで、あの人間の部隊は?」
「えっと、それが・・・全滅・・・させちゃて・・・」
「なっ!?」
「あれほどの数の敵を・・・なんと!!」
「そっ、そんなにビックリしないでよ〜割とギリギリだったんだから!」
「そんなご謙遜を!ミラ殿の手にかかれば、あれしきのヤツらなど・・・みっ、ミラ殿!!そっ、そいつら・・・!」
「んっ、ああ、この子たち?アイツ等が連れてたんだけど。」
「離れて下さい!!そいつ等禍狼種という極めて危険な魔獣なんです!!」
「大丈夫だって!確かに命令されてあたしに襲いかかったけど、今はこの通り甘えん坊さんなんだから!ほぅ〜ら!ヨ〜シヨシヨシ♡」
「「クゥン・・・♡」」
「おお!あの凶暴な禍狼種が、まるで子犬のように。実に見事です、ミラ殿!」
「いやぁそれほどでもぉ♪みんなもこの子達と仲良くしてやってね!」
「ミラ殿・・・」
「あれ、あなた確か・・・」
「ミラ様、改めてご紹介します。この拠点の拠点長、オレ達のリーダーのソウリンです。」
「オレ達を助けてくれて、誠にありがとうございます!!ミラ殿から受けた御恩に報いるため、これから精一杯御尽力させて頂きますッッッ!!」
「そっ、そんな大したことしてないですってぇ〜あたしの方こそ、ここの住人として少しでも役に立てるように一生懸命頑張るので、よろしくお願いしますっ。」
「あっ、ありがとうございますッッッ!!ではどうぞ、中にお入り下さい!!皆の帰還と、ミラ殿の復活を、今夜は盛大に祝わせて頂きます!」
「マジですか!?うわぁ〜めっちゃ楽しみだなぁ。」
「どうぞ、ご期待下さい!!ささっ、では。」
「えへへ、どんなご飯出るんだろぉ・・・ああっとそうだっ。アドレさん、ちょっとお願いがあるんですけど・・・」
「何ですか?遠慮なく言って下さい。」
「・・・・・・・。スクロールにいっぱい書いてるあたしの魔能、どんな効果があるか詳しく教えてくれませんか?タイトル詐欺みたいなんが、割りかしたくさんあったんで・・・




