17話
修正箇所と、合わないからダンス自体の変更も二人で決めていく。
「時間もないし、ちょっと調整していくぞ!」
「みんなもうちょっと我慢してね!夜の本番は生放送だから、修正はきかない
から、今の頑張りが全部出るんだからね!」
励ますように言うと、休憩もせずそのままダンスに入ろうとしていきなり怜が
立ち上がった。
「休憩…まだいいだろ?」
「でも…。」
「いいんだろ?俺はまだ休憩したい、だから構わんだろ?」
いつもの俺様が出ていた。
息が荒い涼には少し休憩できるのはありがたいが、時間はそんなに残っている訳
ではないので、早く合わせたい。
「怜、せめて一回だけ合わせてから…」
「俺は休憩中だ、話かけんなっ。」
それだけ言うとフンッと鼻を鳴らすと動く気はないようだった。
メンバーの声は耳に入ってるだろうが断固として動かない。
苦笑いを浮かべながら涼が宥めているのを見てもなんとも思わない風だった。
「涼も休憩したら?」
「そうだね、ちょっと水分取って来るよ…」
冷えた飲み物が置いてある方へ歩き出してフラッとよろめいた。
自分でも足がもつれたのは気づいたがヤバっと思うと床に倒れていた。
「涼っ!」
慌てて駆け寄る春に平気と言って起き上がると手をひらひらさせた。
たまにフラつく事が多くなった気がする。
疲れているせいなのだろうと思うと椅子に腰掛けた。
最後全員で合わせてから衣装を着替えて本番の番組収録へと向かった。
生放送とあって緊張する。
喉がカラカラになる。
「緊張する必要はないだろ?どーせ俺しかみんな見てね〜んだから」
ぼそっと幕の袖で言われると涼は振り返った。
失敗しても目立たないだろうと言われているようで少し和んだ。
が、ほかのメンバーには火をつけたらしい。
本番。実際にはスタンバイから今日は調子が良かった。
スムーズに動けている。
全体も動きが揃っていて、さっきまでとはまるで違っていた。
(みんな、やればできるじゃん!)
安堵しながらラストまで踊れた気がする。
歌も入るので少し息は上がって来るが、それでもいい出来栄えだったと思う。
「なぁなぁ、今日乗って一番いい感じだったんじゃね〜?」
聖の嬉しそうな声が楽屋に響いた。
「そうだな〜、やっぱり途中の変えたのが正解だったな!先生の振り付けの
ままだったらきっとそこでずれてたもんな〜」
「それは俺たちの腕だろ?」
「春と涼の機転のおかげだろ?」
樹が突っ込むと聖は少し膨れた。
「そうだ!今日はみんなで打ち上げ行こうぜ!割り勘な!リーダー奢ってく
れてもいいぜ〜」
笑顔で涼の方を見て来る聖に、言葉に詰まってしまう。
そこへ怜がすかさず言葉を重ねた。
「おい、クズ。さっさと出てけよ!聞こえないのか?」
「えっ…あっ…うん」
「調子に乗んなよ?自分のおかげとか思ってんのか?さっさと着替えたんなら
帰れよ!」
涼の鞄を掴むと胸に押しつけると楽屋から追い出してしまう。
「おい、今の態度はねーだろ?今日は涼がいてくれたから…」
「のろまがいたからなんだ?足引っ張ってくれたってか?」
喧嘩ふっかけると怜も出て行ってしまう。
先に出た涼は下の駐車場で立っていると後からきた怜に腕を引かれながら車へと
乗せられた。
「頭引っ込めとけよ?」
「うん…」
あんな言い方はないと思うが、あの場を切り抜けるには助かったと言える。
涼の事情を知らないメンバーはいつも外食を誘ってくる。
その度に謝りながら断るのも限界だった。
「お前は俺の言うことだけ聞いてればいいんだよ。ちゃんと聞いてるうちは俺だっ
てジェニスを辞めねーよ」
「うん…」
「疲れたんなら寝てもいいぞ?」
「うん…」
返事をしながら背もたれにもたれるといつのまにか眠ってしまっていた。
家に着いたのか身体がふわふわと揺れて感じた。
目を覚ますと自分の寝室で寝ていた。
運んでくれたらしい。
少し熱が出たらしい。
出前を取ってくれたが、喉を通らず残すと怪訝な顔をされてお粥を買ってきてく
れたのだった。
「怜…どうして…」
「食べ終わったら部屋に来い」
話をしようとするとすぐに遮られた。
聞きたい事はいっぱいある。
あれほど女遊びが多かったのに、最近ではそれもなくなった。
涼が見ている限りかもしれないが、それでも涼の身体で満足しているのか、雑誌に
撮られる事はない。
メンバー間の不仲説は未だに囁かれてはいるがそれもスタッフの証言からだろうか
ら、あながち間違ってはいない。
シャワーを浴びるとシャツ一枚に短パン姿で怜の部屋をノックすると中から声が
聞こえた。
「誘ってるならもっと色っぽい格好でこいよ…」
「なっ…!誘ってなんかっ…」
「いいからこっち来い。」
言われるがままに横に座るとシャツを脱がされる。
「下はそのままでいい。手を出せ…」
「…?」
ガシャンッ…。
涼は自分の腕にはまった手錠を見下ろすと怜を見上げた。




