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スキャンダルアイドル  作者: 秋元智也
12/55

12話

怜の出るシーンを全部撮り終わると大きな花束が渡されていた。


「お疲れ様でした〜」


周りから拍手が上がり喝采がおきる。


「薔薇?これって棘の処理してある?」

「えっ…あ、はい!怪我しないように処理してあります」

「そう、ありがと。涼、これ持ってて」


控えていた涼を呼ぶと花束を持たせた。

みんなにもらったプレゼントも涼に持たせると一緒に楽屋に戻った。


「荷物持ち、ご苦労様。それ、あげるよ」


花束を持ったままの涼に言うと着替え始めた。


「せっかくみんなからもらった花だろ?ちゃんと持って帰った方が…」

「俺がもらったんだから俺の自由だろ?それともこれを尻に入れて俺の前

 でよがってくれるなら持ち帰るけど?」

「よがるって…冗談っ…だよね?」


怜の目が笑っていなかった。

前に指を入れられたのを思い出すと目線を逸らした。


「あの時のでも思い出したか?指だけじゃ物足りなくなった?」

「冗談はやめてよっ…」

「冗談…?お前には冗談に見えたのか?なら、今日は本気を見せないとな…」

「…!?」


どこまで嫌がらせをするつもりなのだろうかと不安になるが、怜の言いなり

になっているうちはジェニスを辞めないと言っていたので、自分が我慢すれ

ばすむ事だと無理矢理納得させた。



「いいよ。なんでも…怜の言う通りにする。それでジェニスを続けてくれるん

 だろ?」

「あぁ、いい心がけだ」


怜の視線が痛くて目を逸らした。

最近は目を見て話す事ができないでいる。

メンバーの前では平然を装ってはいるが、怜と二人っきりになると気まずい。


駐車場に向かうまで怜とは目も合わせていないし、声も交わしていない。

荷物を持たされると重いのを必死で運んだ。


「ご苦労様、トランクに入れてくれる?」

「…」


黙ってトランクを開けると荷物を持ち上げて入れる。

終わったと思うと閉めようとして怜にとめられた。


「まだ入れるものでもあるのか?」

「あぁ、涼が乗るんだよ。」

「は?…ちょっと待って、トランクの中に入れって言うのか?」

「そうだが?まさか助手席に乗れるとでも思ったのか?」

「…嘘っ、なら電車で帰る。」


荷物を置くと帰ろうとする。

怜に腕を掴まれると、入れと言われる。


「何度も言わせるな!」

「トランクに乗れる訳ないだろ?」

「そうか、なら俺は辞表を出すがいいんだな?」

「…っ…卑怯な…。」


悔しがる涼を見て面白がっているような怜の態度にイライラが募る。


「さっさと入らないなら、ズボンでも脱げ。」

「なっ…外だぞ!そんな事できるかよ!」

「なら、トランクに入ってから脱げばいいだろ?ほらっ、早くしろよ」

「…くっ」


自分の立場の弱さに悔しさを感じながら言われた通りにトランクの中に

入った。


「これでいいだろ?」

「ズボンも脱げって言ったよな?他の人がくるぞ?いいのか?」

「怜…お前最低だよ…こんな事して楽しいかよ?」

「あぁ、楽しいね。惨めな涼を見ているのが俺だけってのが特にな」


恥ずかしいのを我慢するとズボンを脱いだ。

すぐに取り上げられてしまって、手で隠そうとする。


「あんまり遅いからついでにパンツも脱げ。」

「なっ…」

「反抗するのか?なら、上着も全部脱いで全裸でもいいんだぞ?」


このまま何を言っても逆効果だと理解するとパンツも脱いで後ろを向いた。

もう、顔も見たくない!

こんな恥ずかしめを受けてまで、どうして自分は…。


涼は自分の心と葛藤していた。

怜は機嫌が良くなったのか鼻歌混じりで歌を歌いながらトランクを閉めて運転

しだした。


真っ暗なトランクの中で右へ左へとカーブが続く。

小一時間くらい経っただろうか?時間感覚がなくなっていく。

どこを走っているのかわからないまま車酔いを起こしてぐったりしていると、

急にトランクが開いた。

最近食事もろくに摂ってなかったせいか眩暈がして起き上がれないでいた。


「おい、起きろよ。」

「…」

「反抗してるつもりか?だったらそのままでいろよ。」

「…」


トランクを開けっぱなしの状態でどこかへ行ってしまった。

ここは一体どこなのだろう?

身体が重くて起き上がれない…。


手を伸ばすが空を掴むと蹲ったまま意識が遠のいていく。


「おい、いい加減に…涼?」


痺れを切らしたのか怒鳴るが反応がない。

目を瞑ったまま動かない事にわざとしていると思ったのか揺すって起こそうと

するが全く起きようともしない。

身体がいつもより熱い…?


怜は慌てて額に手を当てると凄く熱くて驚いた。

意識も朦朧としたままで動こうとしないんじゃなくて、動けない事をやっとの

事、理解した。

ズボンを履かせるとすぐに病院へと車をかっ飛ばした。

夜間診療は少し高いがそんな事を言っている余裕はなかった。


抱き抱えると乱暴にドアを叩いた。


「おい、急患だ!さっさと開けろよ!」

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