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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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049.あなたがえらべ

 ひとまず、午前のお茶の時間になった。

 今日はロンカ姫のためにクロさん……というか多分実質的にはリューミさんが用意した、いろいろな焼き菓子が並んでいる。ドライチェリーっぽいのが乗ってるのとか、チョコ生地が混じってるのとか。

 それにお茶を淹れてもらって、さていただきますとなったところでロンカ姫が、口を開いた。


「ミカちゃん、おやつ何食べる?」

「まずはロンカが決めなさい。そのくらいできるでしょ?」

「ええー」


 ミカさんが答えると、ロンカ姫はすんごく困った顔になった。あー、いつもこうなんだこのお姫様。ほんと、めんどくさかったんだろうな、ミカさん。


「わたし、ミカちゃんと一緒がいい」


 何しろ、私やハナコさんの目の前でこんなことを言うんだもの。なにそれ。


「おやつくらい自分で決めなよ。好きなのあるでしょ?」

「うん。でも、ミカちゃんやハナコちゃん、アキラちゃんも食べたいかもしれないから」

「そんなの、気にしないの」

「でもお」


 うおーめちゃくちゃめんどくさいー。ハナコさんなんか、床に頭ぶつけてるし。多分、甲羅の上に漫画で言うところのぶっとい縦線数本出てるような感じだと思う。

 で、それをこの中で一番身近に感じていたであろうミカさんが、「あのね、ロンカ」と少し強い口調でたしなめた。


「こんなこと言いたくないんだけど……今ここにいる中で一番身分高いのあんたなんだから、遠慮なんかするもんじゃありません」

「ほえ」


 ……身分、ねえ。

 私、別の世界から来た勇者転じて猫魔王のお世話係。

 ミカさん、王族の末裔以下略。

 ハナコさん、ゲンブさんの末裔更に略。

 ロンカ姫、現役お姫様。

 ああ、たしかにこういう世界で一番偉いの、ロンカ姫だわ。で、それがどうしたんだろ? と思ってたら、ハナコさんが顔を上げた、少し、正面が平らになってるのは……床に押し付けてたか。足元の絨毯にも型がついてるし。


「ここは身分にそううるさくないし、シロガネもそうだって聞いたけどね。でも、お姫様がそれ以外のところにお輿入れすることになって、その先でお茶会なんてことになったとき、それじゃ困るよ?」


 それはともかくとして、ハナコさんはロンカ姫に柔らかく、ゆっくりと言って聞かせる。なんというかハナコさん、こういうお子様相手って得意なのかしら。だからクロさんのお世話係……ってのは、私の考えすぎかな。


「お姫様が最初に決めなきゃ、下々の者に順番が回ってこないなんてところがあるかもしれない。もたもたしているうちに美味しいはずのお茶が冷めたら、タイミングを読めなかったからと担当の者が叱責を受ける」

「所によっては、そういうこともあるんですよね……」


 なにそれ、超めんどくせえ。

 でもまあ、クロさんのこと考えるといいのか。クロさんはそういう場合、「俺はこれー」とか言ってさっさと決めるもんね。その後で私たちがいただく感じで。

 後からクロさんが来た場合とか、そもそもその場にクロさんがいない場合は……割とみんな好き好きに取るかな。お菓子を取りにくいハナコさんには、まず声をかけるけど。

 でもロンカ姫の場合、ミカさんと同じのがいいとかそういう言い方になるのは正直うざいよね。ミカさん、いつもこれの相手してたわけね。


「……そういうことか。ロンカ姫」

「ひっ」


 思わず呼びかけたら怯まれた。私今、どんな顔してるんだろうね? ま、自分で自分の顔は見えないからいいけどさ。


「い・い・か・ら・え・ら・べ」

「は、はいいっ!」


 お菓子差し出して強めに言ってみたら、さすがにお姫様。めっちゃビビりつつ、フルーツタルトを手にとった。よしよし。


「何だ、ちゃんと選べるんじゃん」

「ふえ……」

「今日はロンカ姫が来たお祝い、ってことでね、クロ様が良い菓子を出すように言ってくれたそうなんだよ。だから、身分に関係なく姫が最初に選ぶのは何もおかしくないさね」


 ハナコさんが、フォロー入れてくれた。うん、それは私たちも聞いてるし、何ならロンカ姫本人も私たちの横で聞いてた。なのに妙な遠慮するから、思わず軽くキレてみただけなんだけどね。


「分かりました? ロンカ」

「うぅ……ごめんなさあい」


 あ、ぽろっと涙が出た。これ、本人は全く意図も何もないんだろうけどなあ。あざとく見えるわ。

 男性には好かれそうだから、嫁入り先だの婿取りだのには最適なんだろうけど……その後が地獄見そうな気がする。お世話係とか使用人とか、全部男性ってわけには行かないもん。

 夫やそれ以外の男性にちやほやされつつ、メイドさんとか義理のお母さんとかに睨まれるのって大変だろうなあ。こういう世界の貴族だと、別の家ともお付き合いしなくちゃいけないだろうから……うわあ、針のむしろー。


「……あ、言葉遣いは多分治らないからそれは諦めてね。ロンカ、小さい頃から全く変わってないからこれ」

「マジかー」


 いや、多分そこ治せばかなり改善されると思うんだけど。無理か、無理なのか。

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