襲撃
ゼロ視点
戦闘シーン、人死有り。
月のない夜だった。
ランプを片手に息子と歩く。
今夜は負けた。
息子は俺より上手く賭けるが、それでも百発百中で勝てる訳ではない。
今夜のようにすっからかんで帰る夜もある。
だが、俺は特にきにしてなかった。
俺一人より勝てる確率が高まったからだ。
今日がダメなら明日があるさ。
負けたが上機嫌な俺は笑顔な息子と手を繋ぎながら歩いていた。
確かに傍目には俺は油断していたように見えたかもしれない。
でも俺は腐っても近衛騎士団長。
背筋に嫌な予感が走り考えるより体が動いた。
『!?』
俺がランプを投げ捨て息子を抱えて横に飛び去ったその跡地に弓矢が刺さる。
「えっ!?なに!?」
息子が震えながら言葉を紡ぐが答えてる余裕はない。
何故なら俺達を取り囲むように黒いローブを着た集団がいたからだ。
「何者だ!?」
俺は剣を抜きながら問うも答える言葉はない。
俺達から一番近くにいた黒フードが俺…ではなく息子を指差す。
「殺せ!」
その言葉を合図に息子を狙って弓矢が数条降り注ぐ!
しかし、俺はマントを靡かせその全てを撃ち落とす。
だが安心はできない。
続けて黒フード達が数にものをいわせて剣を抜きはなち襲ってきたのだ。
ひー、ふー、みー…全部で10人か。
俺はふっと笑う。
余裕の笑みではない。
諦めの笑みだ。
「ゼウス!走れるか!?」
「えっは…?」
「逃げろ!」
「えっ!?」
俺と黒フードの一人が剣を合わせる。
その左右から黒フードが走りゼウスを狙うが、させない。
俺は目の前の男を斬り伏せ、右から来た黒フードの背に剣を突き刺し、左から来た黒フードを蹴り飛ばした。
この一連の動作をほぼ同時にこなす。
長くはもたないのは明らかだ。
「さっさと行け!死にてぇのか!?」
「でも!?」
「俺を誰だと思ってる!
こんなやつらすぐに斬り伏せて追いかける!
お前は邪魔だ!」
俺はまた飛びかかってきた数人の黒フードを同時に相手しつつ叫ぶ。
ゼウスは一瞬逡巡するも、頷いた。
「わ、わかった!」
ゼウスは自宅のある方へ走る。
「逃すな、殺せ!」
黒フードの一人が弓矢をゼウスに向け放つ。
俺は邪魔な黒フードの一人を斬り捨て、その弓矢が走る延長線上に躍り出る。
果たして、弓矢は俺の左肩に当たる。
「…ちっ!」
焼けるような痛みが走る。
「毒矢かよ…」
じくじくとした痛みが肩から始まり全身へと駆け巡る。
この痛みに体を休ませたくなるがそれを黒フード達は許すはずもない。
残りの黒フードは6人。
うち3人が俺の横をすり抜けゼウスを追う。
させるかよ!
俺は毒の痛みを無視して黒フードを追う。
黒フードどもの足が遅いのか俺が早いのか、簡単に追いつき後ろから立て続けに斬り捨てた。
その後、俺を追ってきた二人の黒フードに向き直り斬り捨てる。
よし、あと一人…
そう頭の中で計算した瞬間背中に激痛が走った。
慌てて後ろを向けば最後の黒フードが俺を斬りつけていた。
俺は倒れそうになるも、ぐっと堪えて剣を横に走らせる。
黒フードから赤い髪が溢れ数条落ちる。
あ、こいつ、いつかの…
ここで俺の生は終わった。




