19 虚空蔵へショートカットだ(6)
青華寺本堂に集まったのは、海雲寺の観音菩薩、ダーキニー、チャック、私だ。
(ダーキニーは、虚空蔵へ行ったことがないから、絶対行きたい、行きたい、連れていって、と、また例の胸をムギュムギュで押し切られてしまった。トホホホ・・・膝枕の恩もあるから、逆らえなかった)
観音菩薩は、このメンバーで本当に虚空蔵界まで行き着けるのか不安で、付き添ってくれるそうだ。
ダーキニーが用意してくれたのは、金剛界胎蔵界両界曼荼羅図だ。私はその曼荼羅図の中間に立つと、神力を通した。
曼荼羅図は、眩く発光し始め、空中へ浮き上がった。
「えっ、立体化したっ」
(あっ、観音菩薩、笑顔飛んだら、あんな顔になるんだ)
一瞬気が散りかけたが、また意識を集中させ、両界の曼荼羅を球体化させ、回転させながら、一つへ融合、次に降三世明王と虚空蔵の間に時空通路を通し、ショートカットを作成した。回転が早まり、私たちは、曼荼羅の中へ吸い込まれた。
「着きましたよ」
カイラス山頂にそっくりな山頂にびっしりと立ち並ぶ楼閣。
「うわっ、ここが 虚空蔵なの。三千大千世界のすべての記録がある場所なのね。凄い、本当に来たんだあ」
ダーキニーは大喜びだ。チャックは、呆然と楼閣を眺めていた。
「どうなってるのよ。普通は、こんなに早く来られる場所ではないのよ」と、動揺する観音菩薩へ
「曼荼羅図の時空通路をつなげて、ショートカットを作成して来たから早く着いたのです」と説明した。(注意:今回は、急いでいたからそうしたけれど、良い子は絶対に、曼荼羅図でショートカットを作成してはいけません)
「・・・・はあ?そんな術、聞いたこともないわ」
そりゃそうでしょう、誰もやったことないはずですから、ただ、時空通路を連結するのは、上位神であり、高次元からの操作が可能な私ならではの、高等技術なのです。
観音菩薩に先導され、虚空蔵の中に入ろうとしたら、地球儀を真半分にしたような巨大な頭の虚空蔵菩薩が飛び出してきた。
「何だ、観音菩薩、あなたですか。異常な空間の歪みを検知したので、てっきり魔族の襲来かと思いましたよ。えっ、後ろの方たちは誰?」
観音菩薩はもう平常モードに切り替え、虚空蔵菩薩へ
「こちらは、神森 顯くんとダーキニー、それにチャック神よ」と紹介した。
「神森 顯・・・はて?どこかで聞いたような・・・アーッ、その人、禁書の人、ってことは、闇のジャガー神を連れてきちゃったの!」
(へえぇ、虚空蔵菩薩って、驚くとこんな顔になるんだあ)
観音菩薩に続き、また仏たちの新たな一面を見られたのは、新鮮な感動だった。
虚空蔵菩薩は、表情を改め、
「では、中へお入りください。本人確認させていただきます」
と言い、上部は、祥雲の中に隠れ、どこまで高さがあるのか分からない扉が、音も無く両側へ開いた。
「ようこそ、虚空蔵へ」と、虚空蔵菩薩は、私たちの先頭に立った。




