表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵アケチの黙視録  作者: 弐乃
落ちる警官
51/51

フミヨの御伽噺3 ロクロウの変身

 姉のようになりたいー

 ロクロウ少年の中に芽生えた願望。女装願望や女性用下着への憧れというものは、年頃の少年にはありがちなものかもしれません。

 どんな少年の心にも潜んでいる倒錯した性への渇望。母や姉の下着に興味を持つ青少年は多いはずですが、大抵の場合それは一過性のもので終わります。

 スマートフォンを持つようになれば、ネット世界に溢れるアダルト動画に興味が移行したり、もう少し成長すればリアルの彼女ができたりもしますしね。

 しかし残念ながらロクロウ少年の場合は、麻疹のような通過儀礼では終わらなかったのです。

 ロクロウ少年は、時計に目をやり、誰もまだ帰ってこないと踏んで、願望を行動に移しました。

 洗濯物の中から姉のブラジャーと白いスクールシャツを見つけると、着ていた自分の服を脱ぎました。

 姿見に映った素っ裸になった自分。太ったヒキガエルのような自分の身体。モコモコと節くれだった腿と膝、ふくらはぎ。その醜い足には針金のような脛毛が生えています。

 ロクロウ少年はまず姉のパンティに自分の醜い足を通しました。小さなパンティがロクロウ少年の柔道と遺伝のせいで太くがっしりした下半身に食い込みます。

 はち切れそうに伸び切ったパンティ。ロクロウ少年の胸は早鐘のように高鳴ります。

 続いてスカートです。そのスカートはロクロウ少年の野太い腰には小さすぎ、ファスナーを上げることがどうしてもできませんでした。

 それでもミニスカートをつけた自分の身体は、これまで感じたことがないほど魅力的でした。

 続いてブラジャーです。ロクロウ少年の胸周りは筋肉と脂肪のせいで姉の2倍の大きさはあるでしょう。それでも何とかブラジャーのホックを止めることができました。

 まさにハムです。豚腿肉を丸めて凧糸で縛り上げたハム。小学5年生の柔道少年がサイズの合わないブラとパンティ、スカートを着けて鏡の前で腰をくねらせているのです。

 まさに喜劇そのものの光景ですが、ロクロウ少年は真剣そのものです。

 ロクロウ少年は白いシャツを着ようとしますが、さすがにこれは袖を通すのが精一杯でした。

 ロクロウ少年はトロンとした顔つきで食い入るように鏡の中の自分に魅入っています。手で胸を揉んでみたり、腰をクネクネとくねらせてみたり、もう夢中です。

 完全に夢の世界に没入してしまっているロクロウ少年は、何もなければ恐らく何時間でも鏡の前で奇妙なダンスを踊り続けたことでしょう。

 その時、ロクロウ少年を現実に引き戻すかのようにスマートフォンから軽快なリズムのアラームが鳴り響きました。柔道教室に出かける時間です。

 ハッとなったロクロウ少年は慌てて服と下着を脱ぎ自分の服を着ると、姉のスカートと下着を洗濯籠に戻しました。

 リュックを背負い道着を持って柔道教室に出かけるロクロウ少年。その日は稽古にも身が入らず、ボウッとしたまま過ごしたロクロウなのでした。

 家への帰り道、ロクロウ少年は不安にならずにいられません。姉のスカートや下着を着てみたことを勘付かれはしまいか。シャツが皺になってはいまいか。今頃帰宅した母が洗濯籠を見て「ロクロウが姉の下着にイタズラをした」と薄笑いを浮かべてはいまいか。

 ロクロウはあんなことをしたことを後悔しました。今頃母と姉でロクロウの所業を笑い合っているのではないかと心配でなりませんでした。

 おっかなびっくり家に帰ると、洗濯籠はすでに片付けられており、無論のこと籠の中の洗濯物もそこにはありません。

「ロクロウ、先にお風呂に入って」

「分かったよ」

 いつもより大きめの声で返事をしたロクロウは不安を隠しながら風呂に入りました。

 その後自室に行くと、畳まれた洗濯物がベッドの上に置かれています。内心ビクビクしながら居間に戻るロクロウ。

 ロクロウ少年の心配を余所に、その後も母親はもちろん、すでに帰宅して自室にいた姉も何も言いませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ