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私の初めての花もらってください


 しばらく無言が続いた後、ニーヤさんがこんな事を言ってきました。


「そういえば、あなた『きゃふ』って言わなかった?」


 さっき着けてもらった時の聞こえてたのかな。


「ええ、変な声出てしまいました。それが?」


「私もこのヘアピン着けてもらった時に言ったなと思って。」


「はぁ。そうですか。」


「なんかその時から急にソラ君にドキドキする様になったんだよね。それまでは好きな気持ちを隠してたんだけど止められなくなるみたいな。」


 それ私も同じです。


「あっ、それは何となくわかります。好きな気持ちが大きくなった様な気がしました。」


「……魔道具?まさかね。ソラ君の手作りだし。」

 

 その後ニーヤさんはブツブツと一人で考えている様でした。


 そうこうしているとソラさんが戻ってきました。


「おまたせ、二人とも。」


「「……」」


 ニーヤさんが何か言うかと思ったから黙っていたら二人で無言でした。


 ソラさんに聞かないと。


「ソラ君!気持ち聞かせて!」

「ソラさんの気持ち聞かせてください。」


 合わせたように同じ事を言ってました。


「え~と、」


 困った顔をしているソラさんも好きです。もっと色んな顔を見たいです。


「「私の事です。」」


 またニーヤさんとハモってしまいました。


「まずユキちゃんは、さっきも言ったけど成人するまでもう一度考えて欲しい。シスターに相談するのもいいかもしれないよ。それでもそうしたいって思ったなら来ればいい。」


 はい。考えるまでもないけどソラさんと一緒にいたいです。嬉しいです。ニヤニヤしてしまいますよ。


 やった!勝った?一歩リード?


 そう思った私は、ふふん、とニーヤさんに胸を張ってしまいました。




「ニーヤちゃんは、その、初めてをもらってって事だよね。結婚まで考えるのは急過ぎるんじゃないかな。この仕事の後は南行きの馬車の仕事が決まってるんでしょ。それが落ち着いたらもう一度考えよう。」


 そうでした。ソラさんはニーヤさんの初めてをもらってるんですよね。それって大きい一歩ですよね。全然勝ててないです。


「わかったわ。」

「わかりました。」


 ニーヤさん元気なくなってないですか?少し可哀想です。


「もういい!出発するよ!」


 ニーヤさん、わざと明るく言ってますよね。スタスタと馬車に行ってしまいました。


「ちょっと待ってよ。ユキちゃん元気でね。またね。」


 ああ、ソラさんも行ってしまうのですね。


「はい、今度会う時は私の初めての花をもらってくださいね。」


 次会う時は覚悟を決めて行きます。私のももらってくださいね。


「うん。楽しみにしてるよ。」


 きゃあ❤楽しみにされてしまいました。


 どうしましょう。とりあえずシスターに相談です。




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