表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/501

19頁

翌日の早朝、空が明るんできている時間に俺は起きて、装備を付け直して外に出る。

村を見ると、井戸がある広場にちょっとした祭壇のようなモノが出来ていて、そこに花と食料、お酒が入っていると思われる瓶が置かれている。

さて、とりあえずこの村を出て都会の方角に進みたいな。

俺はそう思い、とりあえずアシルさんとダミアンさんが門番をしていた村の出入り口に向かう。

そうして歩いていると、


「おぉ、ビステルさん。おはようございます」


門番と一緒にベルントさんもいて、俺が近づくと俺に気が付いて挨拶をしてくる。


「おはようございます。どうしたのですか?」


俺がそう質問すると、ベルントさんが何やら古そうなボロボロの紙を差し出してきて、


「これは昔のではありますが、ここら辺の地形が書かれている地図です。少しでも役に立てればと思いまして」


そう言ってきた。

地図か、ここから都会に行くまでどうしようかと考えていたが、これを受け取ればある程度道が分かるだろう。

流石に工事が進んで、数年前に比べて色々と違う事にはなっていないだろうし…。

俺はそう考えて、


「ありがたく頂戴します」


ベルントさんにお礼を言う。

すると、


「気にしないでください。この村を救って下さったお礼です。本当にありがとうございました」


ベルントさんが頭を下げながら更にお礼の言葉を口にする。

俺はその後、ベルントさんと門番をしている名前を知らない男性2人に挨拶をしてブラム村を出発した。

俺はまだ少し暗い森を歩きながら、ベルントさんに貰った地図を広げる。

そこに書かれているのは、おそらく今歩いている森と町の絵、そこから遠くの位置に更に大きく書かれている町の絵。

そこには何やら文字の様なモノが書かれているのだが、


「…読めないじゃん」


こちらの世界に来て文字を読む事が無かった所為で、この世界の文字を読む事が出来ない事に気がつかなかった。


「…言葉は通じるんだけどな」


俺はそう独り言を呟いて、一度地図を本の中の世界(ワールドブック)のアイテム倉庫に入れる。

とりあえず、召喚士サモナーで移動して町などが近づいたら歩きにするか。

俺はそう考えて、


召喚サモン、アレクシア」


ケンタウロスのアレクシアを召喚する。


「我が主、何でございましょうか?殲滅でしょうか?虐殺でしょうか?」


アレクシアはケンタウロスという戦闘族の所為で、美人なのに発言の7割が猟奇的なのが悪い所だな。

野蛮と言うよりは、戦闘大好きっ娘だ。


「どちらでもない。それより少し良いか?」


俺がそう言って右手を少し前に出すと、アレクシアは嬉しそうな表情で馬の足を折り曲げて身を低くする。

彼女はその体故に背が高く、少し屈んで貰えないと触れないのだ…背中に!

俺はそう考えながら、アレクシアの馬の部分の背中に手を置いて、背中から腰を撫でる。

短い毛故に少しだけ硬いが、それでも手入れがされていてサラサラの毛並みを手のひら全体で楽しむ。

あぁ~、良いなぁこういう感触。

俺はそう思いながら、手を放して今度は顔を埋める。


「ひゃあ!?ヴァ、ヴァルダ様!?」


アレクシアが驚いて俺の名前を呼ぶ。

もし「UFO」の記憶がこの子達に受け継がれているのなら、手で撫でるのは慣れているだろう。

しかし、顔を埋める行為は出来なかった。

何故なら18禁行為に関連する事は禁止されていたから。

だがここは「UFO」に似てはいるが、全くの違う世界。

アレクシアにしたいランキング第2位の、馬の部分に顔を埋めたい事が叶う世界!

もうたまらんね…。

アレクシアの好感度上昇に使用した香水も使ってくれているのか、甘いいい匂いがする。

…おっと、ついこんな事をしてしまったが、今は移動する事が先決だ。


「すまないアレクシア。ついしてみたくなってな」


俺が謝罪をすると、人の部分である体が赤く染めて震えている!


「す、すまないアレクシア!泣かせるつもりはなかったのだ!」


俺がそう言って彼女の前に移動すると、アレクシアの顔が赤く染まっている。

しかし、泣いてはいない。

俺がアレクシアの表情を見ていると、


「ヴァルダ様の寵愛、私はあまりの現実から離れている事に戸惑っています」


アレクシアがそう言ってきた。

こ、こういう時どうすればいいのかな?

とりあえず、


「すまないな。お前があまりにも美しかった所為で理性が抑えられなかったのだ」


そう言う。

9割くらいは本心だ。

俺がそう言うと、アレクシアは更に顔を赤く染める。

もはや真っ赤だ。

その後、とりあえずアレクシアが落ち着くまで俺は何もしないでアレクシアの姿を改めて見る。

凛とした顔つきに簡易的な胸当てを付けた半裸の上半身、そして上半身から馬の下半身にかけての美しい腰。

下半身には何も履いておらず、尻尾で局所を守っている。

しなやかな脚でありながら、力強さに目が引かれる。

そうしてアレクシアの体をまじまじと見ている間に、アレクシアは何とか落ち着いて、


「それでヴァルダ様、改めて私を呼んだのはどうしたのでしょうか?」


そう聞いてきた。


「あ、あぁ。今歩いているこの森を抜け出して少し栄えている街に行きたいのだが、乗せて行ってはもらえないだろうか?」


俺がそう聞くと、


「お任せください。どうぞ、乗りにくかったら申し訳ありません」


アレクシアが身を屈めてそう言う。


「そんな事ない。ありがとうアレクシア」


俺がアレクシアの馬の背中部分に乗ると、アレクシアの上半身寄りの腰に手を回す。


「しっかりと摑まっていて下さいね!」


アレクシアのそんな言葉が聞こえた瞬間、少し体がふわっと浮く感じがした後、風を切っている感覚がやってくる。

周りの景色を見ると、どんどんと移動しているのが分かる。

そう思っているうちに森を抜けて草原に出てくる。

草は手入れされていないから当たり前だが、伸びてそこそこの高さがある。

…ゴブリンがこの草原に潜伏したら、結構強いんじゃないか?

そう思っていると、


「ヴァルダ様、方角はこちらでよろしいですか?」


アレクシアがそう質問をしてくる。

すると、草原の草の中で何か光るものが見えた。


「止まってくれアレクシア」


俺がそう言うと、アレクシアは徐々にスピードを落として止まってくれる。


「待機してくれ」


俺がそう指示を出すと、アレクシアははいと返事をして周囲を警戒し始める。

俺はアレクシアの元から離れて一瞬光った場所に歩いていくと、


「ひぃ!」


そこには、最初にブラム村に入っていった男女のパーティーの1人の男が怪我をしてボロボロの状態で横たわっていた。


読んで下さった皆様、ありがとうございます!

ブックマークして下さった方、ありがとうございます!

評価や感想、ブックマークをして下さると嬉しいです。

誤字脱字がありましたら、感想などで報告して下さると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ