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ep.65 シアタの使者

 俺は執務室で今日も来客対応だった、レキとエルマが隣に控えている。


 カルガポルの商人ギルドの長が言う。

「メエラ、フリサコの街道がありますが、今まで互いに国交がなかったため、あまり整備されておりません。

 今後のことを考え、街道の整備を検討頂きたく。

 また、野盗が出没する問題もありますので治安の強化をお願いしたい」


 エルマが応える。

「分かりました、予算や兵数の制約もありますので簡単にとはいきませんが、検討を始めます。

 ギルドの方々にも相応の負担はお願いすることになる事案かと思います。

 詳細は、こちらのレキと後日詰めて下さい」


 一通り話が終わると商人ギルドの長は退出した。


「ふあ~あ」

 俺は伸びをした。


 レキが言う。

「次は、隣国シアタからの使者だな」


 エルマが言う。

「シアタか、どのような内容か・・・」


 執務室の扉が開かれると、20代半ばくらいの緑色の髪をした美しい女性が入って来た。

 女性はドレスを手に持ち一礼して言った。


「はじめまして、シアタ領主・マリーヌ=テラレイマと申します」


「へっ?領主?」


 俺たち3人は驚きを隠せなかった。


 エルマが言う。

「これは失礼致しました。

 とりあえず、客間の方へご案内致します」


 マリーヌは言う。

「いえ、こちらでけっこうです。

 お話をさせて頂いても?」


 エルマが応じる。

「はい、どのような内容でしょうか?」


「私の治めるシアタと姉の治めるルイにおきましては、エムリア王国の軍門に下りたいと考えております」


 レキが応じる。

「ほう、何か訳があるのですかな?」


「アルタージュ王国でご活躍の頃から情報は集めさせて頂いておりました。

 此度のメエラ、カルガポル、フリサコの戦からしても、我らでは到底太刀打ちできないと判断致しました」


 マリーヌが一息入れてから続ける。

「それと、今、エムリア王国が行っている統治方針が、私どもが行いたい方向と近しいこと、カルガポルを通じて貿易を行うことが我らの領土にも利があることなどがあげられます」


 レキが応じる。

「なるほど、何か条件はおありですかな?」


「シアタとルイの領土の保全、それと」


「それと?」


「私をエムリア王国の統治に参画させて頂くこと」


「といいますと?」


「宰相にせよと申しませぬ。

 宰相閣下の手伝いをさせて頂ければと考えております」


「なるほど」


(立場的には副宰相の椅子を用意する必要があるか・・・)


「それで姉上のアルラ=テラレイマ殿には、他の条件は?」


「はい、姉は、社交界でも顔が利きます。

 外交官として起用していただけるとお役に立つかと思われます」


 レキは考える。

(悪い話ではない、悪い話ではないが罠という可能性もある・・・)


「それともう一つ、今、私と姉のもとにコルンの領主・マルクス殿より、エムリアとの共闘の誘いがございます」


「ほう・・・」


「エムリアが我らを受け入れてくれるのであれば、共闘するふりをして、戦場でコルン軍を攻撃致します」


「なるほど、魅力的な話ですが、罠ではないという保証はおありか?」


「信じて頂くしかございません。

 そのため、本日、私自らがここを訪れました」


「わかりました。

 内部で議論の上、決定致します。

 とりあえず、本日は、客室にご案内致しますので、そちらでおくつろぎ下さい」


「わかりました、良い返事を期待しております」



 マリーヌが、退室した後、俺たち三人は、話し合いをはじめた。


「エルマ、どう思う?」


「話としては良い話だが、罠の可能性も否定できない、そもそも本物なのか?」


「現段階ではなんとも言えない、だが、本物ならかなりの度胸だな。

 アニス、どうだ?」


「わからない、わからないけど、受けたらいいと思うよ」


「戦場で判断するという訳か?」


「うん、それしかないかなと思うけど・・・」


(まあ、自信がある訳ではないんだが・・・)


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