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戦場音楽・4

 醜悪姫ベルベットは、翅型の魔族である。

 寄生生物というわけでもなく、生命活動のほとんどは翅の部分だけで完結しており、本来死体を用いずにも生きていける。ならば、死体はなんの為にあるのかといえば、魔法を使う為の杖のようなものであり、身を守る鎧のようなものであり、代わりに攻撃を受けてくれる囮である。

 操る死体の魔法適性が高ければ、その適性を利用して魔法が使える為、魔法使いの死体を好んで操っていた。それも、ここ数百年程は同じ死体を使っており、多くの魔族がベルベットの本当の姿を知らず、死体の方をベルベットだと思い込んでいた。ベルベットも、あえて訂正はしなかったがゆえに、それが魔大陸の共通認識だったのだ。

 ベルベットの本体が翅だと知らない敵は、当然死体の方ばかり攻撃する。最悪ベルベットは、その死体を捨てても生きていけるうえ、なんなら死んだふりをして強敵をやり過ごす事にも使えた。

 操る死体から、腐食毒を中和する体液を分泌させる程度の手間で、自分の代わりに戦闘をこなしてくれる人形。臆病なベルベットにとって、死体を用いた戦闘方法は、これ以上なく性に合っていた。その、毒と魔法と空中戦闘を合わせた戦法を、さらに囮に行わせる事で、ベルベットはある程度安全に勝利を重ね、いつしか魔大陸に広く名を馳せていたのだ。


 当然、その正体は秘中の秘であったのだが、今その正体を、とある魔族の前で晒してしまっていた。


「…………」

「…………」


 両者は沈黙を保つ。いまだ炎上し続ける円盤と、ごうごうと吹き荒れる風の音だけが、ベルベットとアルルの間には響いていた。戦闘そのものは決着したものの、両者の間には緊張感が漂っていた。


「あ、あにょっ!!」


 最初に沈黙を破ったのは、アルルだった。彼女にしては、実に聞き取りやすい発音で、アルルはベルベットへ問いかけた。


「あにゃ——あなたは、しょ、その、あの……っ、べ、べべべべ、べるるべぶべ——」


 しかし、アルルの言葉はすぐに不明瞭なものへと戻ってしまう。この程度のコミュニケーションですら、アルルにとっては上出来の部類であり、人見知りよりも困惑が優った結果、普段の彼女の言葉よりも多少は聞き取りやすかった。この状況を、彼女の同僚であるロロイやバルムが見れば、普段との違いに瞠目したに違いない。

 とはいえ、そんな第十三魔王軍の常識を知らないベルベットにとっては、それはやはり、ただの意味不明な音でしかない。断続的に響く音には、どのような情報も乗っていない。だがベルベットには、彼女が自分に伝えたい内容は憶測できた。


 現在ベルベットの姿は、それまで戦っていたヒュリシーであり、その背にある猛禽の翼の上から、ベルベットの蝶の翅が生えているという、異様なものだった。いきなりこんな状態のベルベットを見せられて、ベルベットなのかヒュリシーなのか、疑問を持つのは当然の事だ。状況は、ベルベットがヒュリシーを乗っ取ったのか、ヒュリシーがベルベットの翅を奪ったのか、事情を知らなければわかるはずもない。


 だから、ベルベットはアルルに説明する為、口を開いた。ベルベットは、必要とあらば言葉を交わす事は不可能ではない。ヒュリシーとの戦いで無言を貫いたのは、戦闘中に喋らせる隙も、意味も薄かったからだ。

 そんな、戦闘が始まってから一言も発する事のなかったベルベットが、今初めて言葉を紡ぐ。


「わ、わた、わたしゅ、わた、しは、ベルベット、ででです……」


 しかし悲しいかな、ベルベットが乗り移ったヒュリシーの体は、アルルが撒き散らした麻痺毒に冒されていた。ただでさえ、死体に言葉を喋らせるのは、それなりに面倒な事なのだ。さらに今は、その死体が麻痺毒に冒されているせいで、ベルベット自身が毒に蝕まれているわけでもないのに、一挙手一投足にかかる労力が増している。

 だが、それはそれだけの事だ。勝利に伴う不可抗力なのだから、苦笑しつつ流せる程度の代物である。


「ひ、ひぃぃぃ……っ! ごごごごごごごおごごめごごごめごめごめんなしゃいっ!! そ、その毒は、あの、とと、と、鳥っぽい人に効く毒で! あとしばらくは抜けないかと思いましゅっ!! げげげげげど、げど、げどきゅじゃいは、今頑張ってちょうぎょうしちょるとこでででで」


 だが、涙目になって怯えるアルルは、わたわたと慌てながら釈明する。ベルベットとしては、そこまで大袈裟に騒ぐ事ではないと言いたいのだが、いまだ呂律が回らない。そして当然、ここまで混乱したアルルが、他者とまともにコミュニケーションができるはずもない。下手をすれば、可聴域外の音波を口から発している始末である。

 二人ともろくに言葉を話せないせいで、意思疎通の難易度が跳ね上がっているのだ。この場での戦闘は終了したというのに、なんとも面倒臭い状況だった。

 だがベルベットは、アルルのそんな態度に、どこかシンパシーのようなものを感じて、内心で微笑んだ。

 こういう生態をしているベルベットは、コミュニケーション能力に難がある。言葉を紡ぐのが、人形劇レベルの難易度なのだから、積極的に他者と付き合いたいと思う相手は、たった一人だけだった。


 主君であり友人であるプワソンと同じく、自分を助けに来てくれた二人目の存在。そんな、絶望的なまでに口下手なアルルに、ベルベットは我知らず好意を抱いていた。そして、そんな事を思いつつ、ベルベットには気にかかる事があった。

 彼女の技能と、自分という戦士の特性の類似性。それを鑑みた際の、一つの仮定。だがそれは、もしかすれば、ベルベットが待ち望んだ存在の————


「も、もも、もし、もしかして、あなた——」


 呂律の回らない舌で、必死に言葉を紡ごうとしたベルベットだったが、そこで口を噤む。というのも、ヒュリシーの攻撃で黒煙を上げていた円盤が、いよいよ勢いよく落下し始めたからだ。残念ながら、ベルベットの体はいまだに毒に苛まれており、御世辞にも空を飛べる状態ではない。

 さて、どうしようかと考えたところで、自分の体にアルルの蛇の胴体が巻きついた。


「しし失礼したしましゅっ! ご、ごめんなしゃいっ!」


 アルルが謝意を示すと同時に、ベルベットとアルルの体は陽炎のように円盤の上から消える。第十三魔王軍ではよくある、転移の指輪を使った際の光景である。


 転移の魔法を初体験するベルベットは、そのなんともいえない不思議な感覚に身を委ねる。なんというか、動いていないのに、薄暗い階段を下りるような感覚とでも言おうか。転移する先を、足先で確認しつつおっかなびっくり体重を預けていくような感じで、墜落しかけていた円盤の上から、ベルベットは地上へと戻ってきた。実に奇妙な体験だった。

 少し離れたところで、火だるまになった円盤が地面へと墜落する。軽い振動が足から伝わってくるが、戦場ではさして気になるようなものでもなかった。だが、先程まで激戦を繰り広げていたベルベットにしてみれば、ヒュリシーと命をかけて戦った戦場がなくなるという事が、なんとなくもの寂しいような気もした。

 自分にも、こんな魔族みたいな感覚があったのかと苦笑するベルベットの横合いから、上ずった声でアルルがなにかを差し出してきた。


「しょ、しょれと、これ、げげげげげど、解毒、げくど、ざ、ざざ剤で、ごじゃす!」


 それは、解毒剤が入っているだろう瓶。だが、それを渡されたベルベットは、驚愕に目を瞠る。

 さっき調合していると言っていたものが、もうできたのか、と。しかも、アルルにそのようなそぶりは一切なかった。いったい、どこでどうやって調合したというのだ……。

 だが、そんな疑問はさておいて、取り敢えずその解毒剤を死体に飲み込ませる。一応、死体とはいえ擬似的に生命活動を継続させている為、こうして薬の摂取もできる。まぁ、そうでなければ、ただの死体が毒に冒されるという事もないのだが。


「あ、ありがとう……」


 まだ少し痺れの残る舌で、ベルベットは言葉少なにお礼を言う。それと同時に、先程口にしかけた言葉を反芻する。

 もしかすれば、このラミアの彼女は、本当に私と共闘する為に駆けつけたのではないか。彼女が手練れの毒使いである事は、既にベルベットにも予想がついていた。だとすれば、もしかすればだが、自分の腐食毒を中和しつつ、共に戦えたのではないか。

 彼女は戦闘中、常にこちらになにかを伝えようと、あわあわ言っていた。その言葉は不明瞭で、自分には聞き取れなかったが、もし意思疎通がかなっていたら、もっと楽にヒュリシーを倒せていたのではないか、と。


 その予想は概ね正しく、アルルであればベルベットの腐食毒を中和しつつ共闘をする事は可能だった。どころか、もっときちんと共闘ができれば、致死の猛毒を放ちつつ自分たちの周りだけ解毒するという離れ業も、アルルには可能だった。


 もし、早期にアルルとベルベットの意思疎通がかなっていたら、ヒュリシーはほとんど抵抗もままならずに、毒殺されてしまっただろう。


 しかし、残念ながらそうはならなかった。ベルベットとの意思疎通ができなかったアルルは、傷口から侵食するタイプの毒を使おうと、飛び道具ばかりを放っていた。だが、ヒュリシーよりも先にベルベットの方が傷を負ってしまう。仕方なく効果の薄い、猛禽類に効果のある噴霧系の麻痺毒を使う事にしたのだが、場所が上空であった為に、すぐに拡散されてしまい、効果が薄い。

 幸い、ベルベットとヒュリシーの注意がアルルから外れてたから、簡単な風魔法で麻痺毒を円盤上に止める事には成功したが、元々あまり魔法が得意ではないアルルは、魔法を使う為に結構な時間を要するのだ。戦闘中であれば、致命的ともいえる隙になっただろう。

 その、猛禽用の麻痺毒で、ようやくヒュリシーを毒牙にかける事には成功したものの、本人としてはグダグダといっていい仕事ぶりであった。その後、動きが鈍り始めたヒュリシーを、ベルベットがその体を乗っ取る事で倒したのだが、その戦闘でアルルが実力を十全に発揮できたとは、御世辞にも言えない有り様だった。


 無論、二人の連携が成立しなかった事は残念だし、その根幹にはベルベットがアルルに対しての無関心と、共闘する相手として見ていなかった事があるだろう。だがしかし、それをベルベットのせいとするのは、あまりにも無体な話だ。

 責任は、言語によるコミュニケーションが不可能である、アルルにある。だが、そういった、社会生活における致命的な欠点を補って余りある技能が、彼女の毒使いとしての実力である。


 第十三魔王軍幹部であるアルルの実力は、あの自軍の損害を病的に厭う射干玉色の魔王をして、殿しんがりを任せられると太鼓判を捺される程のものであり、対集団戦闘においては、精霊であるフルフルと競う程の殲滅力があるのだ。自然災害が顕現した生命体と目され、破壊の権化である、あの精霊と同等の存在と見なされているのである。

 重度のコミュ障で、通訳の副官がいない状況では単独でしか戦えないとはいえ、アルルは紛れもなく、魔王軍の主力として数えられるに十分な実力を有していた。やはり、精霊以上にコミュニケーション能力に難がある事を除けば、だろうが……。


「ふぅ……。毒が抜けてきたようですね。ちゃんと舌が回るようになってきましたわ。改めて、どうもありがとう」

「ごごごごごおごごごぉごごおぉごごごおおごごごぉごごごごごggggggggggggggggg…………」


 流暢にベルベットが話し始めた事で、ようやく話が進む。

 真っ青な顔で目に涙を浮かべるアルルに、ベルベットは元はヒュリシーのものである体を操り、微笑みを浮かべる。その白い体毛の猛禽の顔に浮かぶ笑顔は、見方を変えれば獰猛に獲物を狙うような迫力を有しており、ただでさえ縮み上がっていたアルルの肝を、液体窒素にぶち込む勢いで寒からしめた。


「ぴがっ……、げろろろろぉぉおお……」


 なにかを決定的に間違えた事を悟ったベルベットは、元の無表情に戻ってパタパタと手を振る。


「お、怯えさせるつもりはありません。こちらとしては、御礼を申し上げたかっただけです」

「ぅえっ……、えっ、え、い、いいいいぃぃいぃえいえいえいえーいいえ、こちこちらこちこちこそ、こんなんでごえんじゃしゃい……」


 そう、すべてはアルルのコミュ障のせいである。

 だがしかし、誰もそれを責められない。その理由が今、 ベルベットの目の前の光景である。


 えぐえぐと、鼻水を垂らしながら、滂沱の涙を流しているアルル。


 彼女は、すべてが自分のせいであると、誰よりも自覚しているのだ。その自覚があるからこそ、余計に他者に怯え、そのせいでさらに失敗するという悪循環に陥っているのだが。残念ながら、今のところそれを解消する事は、第十三魔王にもできていない。

 個人の能力は破格レベルに高いくせに、なんとも扱いにくい人材であった。実力主義の魔大陸では、アルル程の強さがあれば、どれだけ傲慢に振舞っても、それを止められる魔族は少ないというのに。むしろ、そういう眉をひそめる程度の言動ができるようなら、アルルの取り扱いは段違いに簡単になるだろう。今よりも名を馳せ、出世していたのは間違いない。


 まぁ、その場合は、コションの軍勢と一緒に、困惑の迷宮あたりで死んでいただろうが……。


「ごえんじゃしゃい! ごべるばしゃい! ごれんじゃいッ!!」


 コメツキバッタのごとく、何度も何度も頭を下げるアルルを見て、人生で二人目の友達を得る道のりの険しさを悟るベルベットだったが、元ヒュリシーのその猛禽の顔には、挑戦的な笑みが浮かんでいた。


 ……その顔で、アルルの頭を往復させる速度が上がり、もう一度胃の内容物を吐瀉してしまい、ベルベットも流石に「こいつめんどくせぇ……」と思ったりもしたが。


「ふふ。でも、それはそれで、面白いかも……ね」


 とはいえ、その程度の事でベルベットの心は挫けない。関心のない者に冷淡な彼女だが、一度執着したものにはとことんこだわる主義だった。だからこそ、どれだけ敗色が濃厚になろうと、勝利を諦めない粘り強さを持っているのだが、その性格が今、アルルにとって戦い以上に彼女を苛んでいた。


 とはいえ、ここを乗り越えられれば、アルルにも信頼できる友人を得られるのだから、彼女にとっても悪い話ではない。すっかり保護者目線で彼女の事を見ている、第十三魔王軍幹部たちも、この場面を目撃すれば、温かい目で「頑張れ頑張れ」と思ったに違いない。


 こうして、のちに魔大陸全土を震撼させる恐るべき毒使いタッグは、ギクシャクと結成されたのであった。


 ベルベットとアルルのいる場所から離れたところで、轟音と土煙が立ち上った。その土煙の奥では、巨大な影が蠢いていたが、ベルベットは一瞥するとアルルとのコミュニケーションを試み、アルルはそれどころではなかった。


 ⚫︎⚪︎⚫︎


 ベルベットとヒュリシーとの決着がついた頃、もう片方の戦場でも趨勢は決していた。


「見事ッ!!」


 狂獣卿ブギャンが、血液混じりの唾液を撒き散らし、そう吠えた。

 茶褐色の体毛が覆う土手っ腹には、その体毛をさらに鮮烈に彩る赤が散りばめられ、特大のワンポイントとしてトンネルが穿たれていた。とめどなく血を流すブギャンは、既に自身の勝利を諦めていた。

 衝角竜将ラム・ドラゴギラの実力はたしかなものであり、もしブギャンが万全の状態であろうと、勝利は厳しかっただろう。加えてブギャンは、第八魔王軍の戦術によって消耗を強いられてから、ギラとの戦闘に突入したのだ。

 ギラの、オリハルコンに準じる程に硬いと言われる角と、辛うじて拮抗がかなっていた愛用の棍が折れた時点で、ブギャンに勝利の目は残っていなかったのである。

 しかし、ぜぇぜぇと、絶え絶えと表現しても過言ではない程に荒い息を吐きつつも、ブギャンの口元には笑みが浮いていた。


「貴殿こそ、見事な戦いぶりであった」


 ギラもまた、ブギャンに対して獰猛な笑顔で応える。

 幾万の兵が犇めく戦場のただなかで、二人のいる空間だけは、ぽっかりと空いている。濃い血の匂いと、少々のきな臭さが漂う。

 両軍の兵士が見守るなか、ブギャンとギラの熾烈を極める戦闘は、終結の段を迎えていた。ブギャンは、紛れもない英雄の資質を備えた戦士であり、その輝きは、両軍の兵らが見守るなかで十二分に発揮された。しかし、そんな見応えのある戦闘も、もう終わりである。


「それでは、討ち取らせていただこう」


 もはや立っている事すらかなわず、膝をついたブギャンにゆっくりと歩み寄りつつ、ギラが宣言する。状況が違えば、捕虜として延命させたかったとギラは悔やむが、自軍にそれ程の余裕がないのだから仕方がない。


「は……はは、そうだな……。もはや、これまでか……」


 先程までの力強い笑顔とは違う、どこか哀愁を湛えるブギャンの笑みに、ギラは腰の短剣を抜く。別名、慈悲の剣と呼ばれる、ミセリコルデ。これは、敵を殺す為の剣ではなく、苦しまぬようにとどめを刺す為の剣。

 主兵器が角であるギラであろうと、流石にこういう状況で、相手を角で殺すのは憚られる。その為に用いてきたのが、この愛用のミセリコルデであった。


「なにか、遺言はあられるか?」

「そう、だな……」


 ミセリコルデを構えたギラが問い、ブギャンがしばし考え込む。それから、ギラに向き直ったブギャンは、満面の笑みで告げる。


「サンジュ様に、楽しかったと御伝えいただければ、幸いだ……」

「しかと受け取った。必ずや、彼の魔王様に御伝えしよう」

「ああ……、そいつぁ……ありがてぇ……」


 いよいよ朦朧とし始めたサンジュの目を見て、ブギャンは慈悲の剣を突き出す。それは、介錯というにはあまりにも見事な、一つの武の極みともいえる一突き。

 戦場で見守る兵の誰もが、視認する事もかなわないような、極限の技だった。



 しかし、その見事な突きは、阻まれる。



「許さぬ。ブギャン、貴様の遺言は聞き届けぬ。ゆえに、いまだ死ぬる事は許さん!!」


 上空から飛来し、隕石のごとき地響きで両者の間に立ち塞がったのは——第九魔王サンジュ。

 いよいよ、この戦場における最高戦力の投入であった。


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