魔大陸の趣味っ!?
「そうと決まれば善は急げ!いや、悪は急げ!!」
僕はトリシャとコーロンさんとレライエを連れてリビングへと転移。
「キアス様っ!」
「パイモン、ただいま。イタズラ3人娘、捕まえてきたよ」
「はいっ!お帰りなさい!」
満面の笑みで笑うパイモン。笑ってくれるパイモン。
あれからちょっとは関係がギクシャクするかと思っていたのだが、朝リビングで会うなり『連続ごめんなさい』攻撃に遇って、なし崩し的に和解をした。
いや、だってスゴかったんだぞ?終いにはまた泣かれるんじゃないかと思った。
まぁ、パイモンが僕に対してあんな強く出たのだ。相当悩んだのだろう。寂しがり屋だからな。 その原因は全面的に僕にある。だから、本当はもっとちゃんと謝って、色々と話さなきゃならないんだけど、僕はまだ決心がつかないでいた。
とまぁ、僕とパイモンはなし崩し的に、そして一時的に和解した。
結局、僕からパイモンに何かしたわけじゃないので、かなりパイモンに頼った和解だった。いや、ケンカしてたわけでもないから、和解って言い方はおかしいか。
ある意味、謝っていたのはパイモンでも、僕が一方的にパイモンに許してもらっただけかも知れない。
まぁ、暗い話は置いておいて、楽しい楽しいお仕置きの時間と参りましょう!
「パイモン、僕、新しい商売の案があるんだ」
「商売、ですか?」
「そう。パイモンにも意見を聞かせてもらいたい」
「私は、商売には疎いのですが………」
「んーん、大丈夫、大丈夫。見たままの感想を聞かせてもらえれば良いよ」
「………はぁ?」
商売。
そう、商売である。
今回僕は、魔大陸の食料をソドムの街の住人に分け与えた。無論、商人にもだ。
あれを口にした商人は、誰もが思ったはずだ。
『魔大陸と交易し、この食料を商品にできれば、真大陸で強い商材になる』
と。
むしろ、そう考えない商人はただのボンクラ。商いを担うには、商才以前に覚悟が足りない。
商人は、時にゴミすらも金に変える気概がなくては務まらない。
野菜の切れ端から福神漬けを作り上げるように、何でも利用する気概がなくば、二流三流の謗りは免れまい。
さて、ではどうなるか。ソドムの住民は食べ物が欲しい。
では魔大陸は?金を受け取って終わり?バカな。
確かに共通の通貨を使ってはいるが、そんな一方的な関係は破綻にしか繋がらない。交易は物をやり取りすること。一方的に売り付けるだけでは、経済的に摩擦が生まれる。
それは僕のよしとするところではない。
では魔大陸は何を欲しているか?
無論、人間の技術力で作られた物であれば、魔大陸では重宝される。その中でも今回は、
服だ。
人間の作った服と、魔大陸の食料とを交換する。
衣食住。僕は魔族の食も住も確保したが、衣服に関しては後回しになっていた。魔族は、曲がりなりにも服らしき物を纏っているので、優先度を下げていたのだ。
ただ、ゴモラ、バベル、アカディメイア、アレクサンドリア、天空都市に住まう住人は、既に70万人を越える大所帯。全てに衣服を行き渡らせるには、流石に僕1人で作るのは厳しくなってしまった。
だから、人間に作ってもらうのだ。服飾の技能において、魔族が逆立ちしたって勝てない人間に。
そしてつまり、僕の考えている新たな商売とは―――
「コーロンさん、かぁわいぃー」
「ぐ………、くそっ、なんだってこんな………」
ウェパルは、ミニスカート姿のコーロンさんを絶賛するが、当の本人は真っ赤な顔で恥ずかしがっている。
「ふむ、トリシャ殿、背中も見たいのでクルリと回ってはいただけないか?」
「はい………」
フォルネゥスの要望通り、クルリと回ってもう一度ポーズをとるトリシャの姿は、キャミソールのワンピース。勿論ミニ。
決してエッチな服装ではないが、やたら女の子女の子した服装で、とても可愛らしい。
クール系2人は、そんな自分の姿に羞恥を覚えているようで、顔は真っ赤だ。
「どう思う?」
そうパイモンに問いかけると、苦笑しながら答えてくれる。
「そうですね。魔族にとっては、どれも上質な服です。そして、上質な服はステータスの証。外見はともかく、引く手数多でしょうね」
「えー、外見は不採用?」
パイモンには、それを聞きたかったのに。魔族の美的センスとか、貞淑さがどの程度とかね。
「しょ、少々肌の露出が過ぎるかと………。あっ!勿論、キアス様のご趣味であれば、魔族は喜んで着ると思います。実際、愛らしいとも思いますが………、あれを私が着るところを想像すると………」
あー、確かにちょっと………。いや待て、それはそれで………。何だかんだで、パイモンにはいつもカッコいい系の格好をしてもらってたけど、可愛いパイモンというのも………。
うん!アリ!!
「あははっ、なんだかすごい格好だねぇ。うーん、涼しそうだし、南では流行るかもしれないよ?」
タイルはそういえば、ワイシャツのようなものの上にベストという、比較的まともな格好だな。オールやレライエの服も、やや和服っぽい普通の服に見えた。
魔王の近くでは、そこそこの服飾技術が発達してたりするのか?まぁ、魔王がボロ布のような服装をしていては沽券に関わるし、ちゃんと職人を育てたのかもな。まぁ、それでも質はそこそこだけどな。
「なんじゃ、キアスはこのような扇情的な服装が好みか?ならば早く言えば良いものを。ホレ、着崩した我、そそるかの?」
「そそるそそるー。
で、意見を聞かせろよ、意見を」
「おざなりすぎじゃ!!」
僕らが勝手に言い合っている間も、トリシャとコーロンさんの2人はポーズをとって立ちっぱなしだ。普段絶対にしたことのないような、可愛い格好の2人が羞恥に悶える様を、皆で鑑賞する。
これが今回のお仕置き。
「あ、あの………」
僕の後ろで、ただでさえ白い肌を蒼白にして直立していたレライエが、恐る恐る僕に声をかけてきた。
「わ、妾は、あの罰に参加せずとも、よろしいのでございましょうか?
何やら、2人からの視線が痛いのですが………」
いやいや、勿論お仕置き免除とか、そんな生易しい理由でレライエをこのファッションショーから仲間外れにしたわけじゃないよ。
「あと2回お色直ししたら、今度はレライエの番だから安心しなよ」
「そ、そうですか………。あの、なぜ別々に?」
ああ、別々にした理由?
「まぁ、レライエが着て皆の前で披露するのは、下着なんだけどね」
そんなの、君が一番罪が重いからに決まってるじゃん。




