「夜は短し歩けよ乙女」
「今日さ」
「なに」
「ちょっと暖かくない?」
「昨日よりは」
「さっき上着脱いだ」
「そんなに?」
「歩いてたら暑い」
「それはある」
「春近いのかも」
「まだ二月だけど」
「でも風がちょっと違う」
「それで文学?」
「うん」
「ヒント」
「どうぞ」
「京都」
「うん」
「大学生」
「うん」
「あと」
「うん」
「夜」
「……」
「分かった?」
「夜は短し歩けよ乙女」
「正解」
「森見登美彦」
「読んだことある?」
「少し」
「変な小説だよね」
「結構」
「夜の街をずっと歩く」
「そうそう」
「なんか不思議な出来事ばっかり」
「ねえ」
「なに」
「夜ってさ」
「うん」
「ちょっと特別じゃない?」
「どういう意味」
「昼より自由」
「なるほど」
「時間の感じ違う」
「それ分かる」
「夜の帰り道って」
「うん」
「話しやすい」
「なんでだろう」
「静か」
「それはある」
「あと」
「うん」
「急がなくていい」
「確かに」
「昼だと」
「うん」
「人多い」
「うん」
「帰るだけ」
「……」
「どうした」
「ちょっと思った」
「なに」
「この帰り道」
「うん」
「夜の小説っぽい」
「なんで」
「特に目的ない」
「うん」
「歩いてるだけ」
「確かに」
「でも」
「うん」
「話は続く」
「……」
「それ」
「うん」
「夜は短し歩けよ乙女っぽい」
「じゃあ」
「なに」
「この帰り道」
「うん」
「短い?」
「どうだろう」
「まだ続く」




