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UNChAiN  作者: N
3/4

リバース・2

警察に捜査の譲渡を終えると、ものの数分で私達は解放された。

本来ACTは捜査から処理までの行程全てを終わらせるのだが、警察からの要請ということもあり事後処理は向こう持ちになった。

リバースによって作られたフラスコは、念のためはじめさんが再び鑑定したが、制作主は分からなかった。

現在は、行き帰りに使用した借りていた警察の車両を返して、徒歩で支部まで戻っていた。


「あ!言ってなかったけど、君ら一ヶ月後位に二週間研修ね」

「何処でやるんですか?」

「ここ、特別講師に来て頂く感じだよ」


普通の研修ならこちらが向かう形のはずだ。

となると、講師は特定の拠点を持たないタイプだろう。

となるとほぼ一択だ。


「何か質問とかあったら受け付けるけど」

「はい」

「講師の人って第二の蓮さんより強いですか?」

「うん、間違いなく」


ACTの現エースより間違いなく強い人、多分それはあれしかない。


「え!?じゃあもう確定じゃないですか…」

「ンフフ、頭が高いって言われちゃうかもね」


何故かは知らないが、質問の答えを聞いたはじめさんの顔が真っ青になっている。

あまり二人の会話に混ざらないのでわからないが、どうやら【アルテラ】の人は相当ヤバいらしい。


「あ、俺達はここ曲がってご飯食べに行くから。また三日後ね」

「はい、お疲れ様でした」


二人は通りかかった繁華街にご飯を食べに行くらしい。

楽しそうに話しながら食事へと向かう二人を、気づいたらただぼーっと眺めている私。

孤児院育ちという環境のせいか、個人の気質か、私は周囲に馴染む力がない。

ただし普通への憧れはある。あんな風に私もいつかは誰かと仲良くなれるのだろうか。


(今はまだ無理かな)


二人の姿が消えて、現実に帰される。

意味のない悩みをため息に変えて吐くと、少しだけ空を仰いで私は帰路についた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それで話って?」


仕事の帰り際、立ち寄った繁華街の中華料理屋の角、平日の昼過ぎという事もあり人がおらず、踏み込んだ話が出来る最適のロケーションだ。


「はじめはリバースとしての生存目的が特にないんだよね?」

「はい、能力を活かした仕事がしたいとは思いましたけど、あまり変化は無いですね」


リバースは能力の発現時、大なり小なり何かに執着する様になる。

それは基本的には能力の強さに比例し、【ステージ】が3、6、9のリバースは特にその執着がわかりやすい。


「能力の強さの基準に【ステージ】って単語が使われてる様にさ、力は人としての何かを狂わせるんだよね」

「はじめ、多分君の執着は【再生】のタイミングで起きる」

「あの…再生って?」


いきなり知らない単語が出てきて、反応に困ってしまう。

隊長は俺の反応を予想していなかったのか、目を見開いたまま静止している。


「…知らなかった?」

「はい」

「蓮ちゃんに鑑定した時に出なかった?」

「出ませんでした」

「マジか…」


どうやら隊長は俺が蓮さんに鑑定した時に、【再生】について知ったと思っていたらしい。

恥ずかしすぎるだろ、と頭を掻きながら隊長がぼやく。

少しだけ申し訳なくなってきた。


「まあいいや、【再生】は簡単に言うと能力の進化だね。単純に能力のスペックが向上するのと、使い手が使いやすい様に能力が少しだけ改変されるわけ」

「なるほど」

「まぁそこが本題じゃなくてね、肝心なのは再び能力が生まれ変わるって事」


再生という文字通りのものなら、今の能力とはある種別物になるという事。

今現在はリバース化に伴う執着が無かったとしても…


「再生が起きれば執着が発現する可能性がある…」

「そう」


リバースの執着は社会問題になるほどのもので、ACTやアルテラがいる日本でさえ、リバースによる犯罪が起きてしまうのは執着による物が大きい。

自身が犯罪者になるとは考えたくも無いが、可能性はゼロじゃ無い。


「悩んで欲しいわけじゃ無いんだけどね、けど」

「知ってると知らないとじゃダメージが違うって事ですよね」

「流石の理解力だ」


おそらくだが、一ヶ月後の研修はリバースとしての戦闘技術を養うのが目的だろう。

その前に、隊長は俺にリバースとしての自分を考えて欲しかったのかも知れない。

たまに気持ち悪いが、こういう所は素直に尊敬できる。


「まぁ、もうここで話す事もないし帰ろうぜ」


何やかんやで店に長居してしまった。

会計を済ませて外に出ると、二人揃って体を伸ばす。

長く座っていたせいか、それとも悩みのせいか、人通りの減った繁華街の空気は心地よかった。

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