第四十七話:背尾つかさは揚げ物と漬物で無双する
ドワーフ達の宴会は凄かった。
好き勝手に鉱山の中を掘り進んだ蟻の巣の様なドワーフの街、岩館。この中で好き勝手に掘り、造り、倒れるまで趣味に没頭しているドワーフ達が一番大きな広間に吸い寄せられるように集まっていた。
揚げ物の匂いにつられて。そして揚げ物の後にさっぱりした漬物にとどめを刺されて行く。お酒を飲まないわけにはいかない鉄板のおつまみだった。
集まりに集まった大勢のドワーフたちが大声で乾杯し、歌い、浴びるように飲んでいく。その声が洞窟内に響く。
♪飲んで騒いで、歌でも歌ってまた飲もう
音も凄いが、何十人もの酒豪が度数の高いお酒をハイスピードで空けていくので、空気だけで酔っ払いそうだった。
彼らに大量の小鉢的なおつまみを並べる習慣は無かったらしく、今までは焼いた肉をモリモリ食べながら強い酒をガンガン煽るというスタイルが主だった。
しかし、そこにつかさが燻製を持ち込んでしまった。そして唐揚げや漬物を始めとした居酒屋メニューの大量投下。ドンドンお酒が進んでしまうことだろう。
「嬢ちゃん、この間のどうだった?」
「宝石のステンドグラスですよね? 好評でしたよ、大きいと値段が高くなるので小さめにしてランプシェードが欲しいって声がありました」
「俺のはどうだった?」
「荷物がたくさん入るカバンですよね、私が使わせて貰ってますけど、譲ってくれって大勢に言われました。持ち手がもう少し太いと便利です」
ドワーフ達の凄いところはジョッキで蒸留酒を飲みながら、仕事の話も出来る所。酔いにくい上に仕事が趣味なので。
「そういえばどなたか馬車とか作れる人いませんか。北の街に行ってみたいので乗り物を譲ってほしいです」
「儂の作った模型を持っていけ。これ、実物大で作ってから魔法で小さくしているから、魔法を解けばそのまま乗れるぞ。ガラス製だが丈夫で壊れない。大皿山盛りの辛マヨから揚げと交換でどうだ」
「そっちの魔法鞄に入ってますから今出しますね」
「おい、いまその鞄にあと何が入ってる」
「全部出しますから食べてください」
「じゃあ、嬢ちゃんこれも持って行きな」
結局、料理一皿が魔法の品物一つと交換と言う恐ろしいレートでの交換になってしまった。
エメラルドの雲雀、水晶の羅針盤、回り続ける独楽、二本足でイェイイェイと踊る蛙の像、髪の毛の伸びる人形、瓶の中に入った船、虹色の鳥の羽、携帯シェルター、白磁のティーセット、消えないランプ。
なんだか用途も意味も不明な、しかし凄く高価そうな魔法のアイテムがお土産用に新しく作られた魔法のリュックに詰め込まれていく。
「あの、皆さんが作ったものは街でとんでもない値段で取引されるくらい需要がありまして。わたしの家に金貨がとんでもない量に」
「金貨は俺たちも鋳つぶしてヤカンや鍋の材料にしとる。ぶっちゃけると鉄の方が好きだ」
「金や銀なんぞそこらへん掘れば出てくるものな!」
あなた達に掛かれば鉄だって掘ればそこら中から出てくるのでしょうに。
ドワーフ製品とおつまみの高官は、ガラス玉や香辛料の貿易を遥かに越える効率なのではないでしょうか。地中海三角貿易も真っ青。徒歩一日の距離なんですよ、ここ。
ドワーフは元々夜目が効き、暗闇による影響を受けないと言われているが、それでも明るい方が作業がしやすいのか、そこかしこに統一性のない照明器具が配置されている。配置と言うよりも光る調度品を好き勝手に作って放置しているだけかもしれないが、そのおかげでつかさにもよく見えていた。
……前回の取引の数倍のドワーフ工芸品の山が。
お新香盛り合わせと、厚切りベーコンがあればビールから日本酒、ウォッカまでドンドン飲めます。
チーズも好きですが、あれは相性が……




