第三話:背尾つかさは街にたどり着き、ここが異世界だと確信する
クマについて茂みをかき分けるように歩いて行くと、細い道のような物が現れる。
けもの道だろうか。そういえば舗装されていない道路を歩くのもずいぶん久し振りだ。ヒールの高い靴は得意では無いので、今履いている靴の踵もあまり高くない。けれど山歩きをするのに適しているとはとてもいえない。
そもそも、いまの格好はスーツなのだ。タイトスカートで大きな木の根っこを跨ぐのも無理がある。クマに離されないようにするだけで精一杯。なかなか追いつけない。貰った多弁チューリップを手に持ったままとか無理なので、通勤カバンの中に押し込む。コンビニのビニール袋取っておけばよかった。鞄を斜め掛けにして両手を使って道なき道を進む。
できればあのクマちゃんに話しかけたいのだけど、地形に左右されずに障害物をヒョイヒョイと越えて森を踏破していく。ときおり背中の小さな羽根がピコピコ動いて滞空している。
「生クマじゃないよね。ぜったいぬいぐるみだ」
さっきのカラフルなクマちゃんたちも、よくよく見たら縫い目とかあったのだろうか。
そうして必死についていく事30分。
唐突に森を抜け、なだらかな丘と草原が広がる先にやたらカラフルな建物が立ち並ぶ街並みが見えてきた。
うん。日本だと屋久島くらいにしか無い様な、両手を広げても抱えられない巨木とかあったものね。ここ、日本じゃないとは思っていたけど。間違いなく東京都内にこんな場所は無い。北海道なら……ありそう。
とりあえず、あそこに行ってみよう。クマちゃんもあっちに歩いていくみたいだし。
私は道なき道からきたけど、街からは車が二台通れそうなくらいの幅の道が伸びており、道の向こう側は畑のようになっているようだ。麦かな?
道は大きめの橋につながっており、道と同じくらいの幅の水路が街を囲んでいて、橋を渡ると街になっている。
制服っぽいカッチリした服を着ている人いて、橋の手前で交通整理をしている。並んでいる人たちはみんなカラフルな髪の毛の色をしている。原宿? 違うよね。服装もトーガっていうのかインドのお坊さんが着てそうな服装や、ロングのワンピースが多い。スーツ姿、浮いてます!
交通整理の人の言葉を聞いていると普通に日本語のようなのだけど、ここぜったい日本じゃないよね。
「ハイ次、どうぞ」
山岳部みたいな大きな荷物を抱えた人達の後、交通整理の人に通るように指示される。
「あの、すみません。一つお伺いしたいのですが、ここどこでしょうか?」
「もしかして、あなた迷い人かな?」
じろりと頭からつま先をみられて尋ねられる。迷子。この年で迷子。
「はい、ちょっと道に迷ってしまったというか。現在地を知りたくて」
「ここはパレットって名前の街だよ。ここらじゃたまに異世界から迷い混む人がいて、それを『迷い人』って呼ぶんだ。迷い人変わった服装とかが多いから分かりやすいし、それに全身黒っぽい色ってのはなかなか無いからね。橋渡ってすぐ左の雑貨屋のおばちゃんに相談するといいよ。顔広い人だし世話焼きだから」
ありがとうございますー! 異世界っぽいの確定したけど、異世界人多そうとか、何を見て特定されたのかとか、どうしたらいいのかとか、必要な情報全部詰まってます!
ぺこりとお辞儀してみると、腰に長い棒みたいのを提げているのに気が付いた。警棒みたいな。あれ、もしかして交通整理より検問に近いというか、もしかして門番さんだったのかな。
指示された通り、橋を渡って左のお店に入ってみる。鼠色の重そうな石の上に木造の建物が乗っている。3段ほどの階段を登り、西部劇で決闘とかする酒場にあるような、両側スイングドアを開けて店内に入る。ちょっとおしゃれ。
お店の中には恰幅の良いニコニコした人が一人。店の壁は全て棚で埋まっており、両背中合わせの棚と膝までの高さの台もすべてカラフルなよくわからないもので埋まっている。コンビニよりも本屋に近い印象のレイアウト。平置きの台が多いからだろうか。
「いらっしゃい。もしかして、迷い人かい?」
話はやいー! もしかして物凄く目立つ外見なのでしょうか?!
相変わらず、変な設定もりもりですが、とてもシンプルになっています。
読みやすくするには、目を引くタイトルは、読者の意表を突く起承転結の転は。
そういうことを考えるのは一旦全部横に置いて、まずは更新頻度を上げる練習です。
そんなわけで、この作品は文字数少なくてもどんどん更新します。




