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世界はクマで出来ている?!  作者: 地空乃いいちこ


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第十一話:背尾つかさは仕事を覚える

「これって、ナオリ草ですか?」


 カバンから取り出したむき出しの多弁チューリップを見せると、タバサさんは目を丸くした。


「あんたホントに何者なんだい? 確かにナオリ草であってるけど、薬草屋に頼んで取ってきて貰うように頼んでも最近なかなか入荷しないんだよ。初心者が群生地取り尽くしたとかで」

「クマちゃんに貰ったんです。緑色のクマちゃんでした」


 足元にクリーム色のクマがうろちょろしていたりするのだけど、やはりタバサさんにはひいろ様が見えていない模様。魔法を使った時にもクマいたし、精霊なんだろうなぁ。


「また熊かい。よくわからないけど、もし新しい群生地を見つけているのなら、地図に書いて場所の情報を売るか、もしくは誰にも内緒にしておいてナオリ草の採取から薬を作るところまで全部一貫してやって私の店に卸すといいよ。贅沢はできないだろうけど、なんとか暮らしていける程度は稼げるはずさ」


 タバサさんはちょこちょこと沸騰しないように鍋を火から離しながら、わたしの金策についてドンドン決めていく。確かに助かるけど、それってタバサさんの仕事と競合しないのかな。


「タバサさんの仕事を取ってしまう事になりませんか?」

「私は雑貨屋だよ。人と話すのと世話を焼くのが好きだったから雑貨屋を任せて貰ってるんだ。だから薬を作るのも専属の人がいた方が都合がいいんだ。街には火の扱いになれた人ってなかなかいないんだ。街の防火政策もあって一般家屋に竈は無いからね」

「そういえばそんなこと言ってましたね。お湯も気楽にわかせないとか、ちょっと想像つかないです」

「お湯は気軽に買うんだよ。火を扱うのは料理屋の他に、竈番って職業の人がいてね、パンとかお湯を持っていくとまとめて焼いてくれるのさ」


 なんか職業がものすごく細分化している感じがする。江戸時代とか、水売りとかキセルの真ん中の竹だけ売ってる人とか風鈴屋とか、現代では考えられない職業が成り立ってたと聞くけど、そんな感じなのだろうか。


「そもそも私がこの世界に迷い込んだ時に世話を焼いてくれたのが先代の雑貨屋さんでね。店番で雇ってもらってそのまま後を継いでいるんだよ。雑貨屋と言っても生活雑貨は品物ごとに店を出している人がいるからね。街の外に冒険に出る人達用の品物を扱う店を『雑貨屋』と呼んでるんだよ。街中で暮らす人には関係ない品物だから雑貨だね」


 冒険に出る人。なんだか気になる言葉が出てきました!

 竈の中の薪が崩れて火が偏ってきたので、少し崩して均す。燃料を追加する必要とか全然なさそうだから、やっぱり手持ちのお金がスッカラカンなわたしの為に無理やり仕事を作ってくれたんだろうな、タバサさん面倒見が良すぎる。タバサさんの仕事の手伝いになるのなら、薬屋さんやろうかな。キャンプでお茶入れるのとあまり労力変わらなそうだし。


「冒険って、街の外はやっぱり危険がいっぱいなんですか? 魔物が居たりとか?」

「魔物ってのはあまり聞かないけど、居るのかもしれない。世界中が探検されつくしたわけじゃないからね。この世界は月や星が無いとか、地球と比べると少し奇妙な特徴があるけれど、それでも未踏の地ってのがたくさん残ってるんだ。

 それに、地球に居ない動物は結構いるね。大抵の動物は縄張りに入らなければ安全だよ。ワニとかスズメバチとか、地球にいる生き物だって同じだろ?」

「……近づかなければ安全。え?」

「そう。むやみに近づいたら危険」

「そういう危険を押して、未踏の地を探検するのが冒険ですか?」

「そうだね。そういう連中が、薬を買うし、買い取り掲示板に欲しいって書いておくと、材料になる草とかを探してきてくれる」

「未踏の地を冒険して何を探しているんですか」


 話に出てきたプルルン樹だろうか、小さな木の枝のようなものを鍋に放り込むと、緑茶色に染まっていた煮汁がだんだん粘度を増してきた。

 別の桶にとっておいた冷たい水で布巾を濡らすと、その上に鍋を置いて熱を取っていく。完成だろうか。


「探すのは二つ。一つはさっきも出てきた色喰蟲。あいつに食われたところは物が消えてなくなる。世界を食いつくされないように、あれを駆除しないといけないんだ。だから危険をおして色喰蟲と戦う人を街は支援するんだよ」


 竈にヤカンを掛けると、今度は沸騰させるようだ。ジャムを入れるようなガラス瓶を次つぎに机に並べていく。


「二つ目が、根源の精霊を作り出した創造神のもとにたどり着くと言われている、『サラリのハシゴ』を探す事だね。これはおとぎ話だけどさ」

「おとぎ話ですか?」

「そう。そのうち気が付くと思うけど、この世界は閉じているから。いつか未踏の地が全て探検されつくす様な事になる前に見つかるといいね」


 木のヘラでべったりとした軟膏状になった薬草汁を切り分けると、ガラス瓶に熱湯を入れて消毒してドンドン中に入れていく。


 冒険の話はよく分からないけれど、回復薬の作り方はよくわかった。熱湯消毒した瓶を拭かずに使っていい程度にはアバウトで良いという事も。



プロローグで書いてある通り、この世界は両端をくっつけた紙のようになっていて、筒状に丸まっている内側にあります。

地平線が見えるような広い所に行くと気が付くはずです。地平線が無い事に。

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