18話 伝える相手
「到着、っと」
精霊道を潜った先にあったのは、明るい日差しと、なだらかな丘陵地帯だった。
そして、すぐ目の前に、精霊都市ベルティナが見えた。
「お疲れ親友。おお、ちゃんと人間界の精霊都市だな」
パルムが言っていた通り、出るときでも精霊都市の近隣に道は開くようだ。
「よし。それじゃあ、とりあえず街に行って、魔術研究所なり、医療ギルドなりに行くか。情報共有をしないといけないし」
「だな。オレもまずは誰かしら、捕まえて話すのが一番だと思うぜ」
そうしてデイジーと話した後、俺はベルティナへと向かう。
すると、街中に入って歩くことすぐ、数時間前に見たばかりの顔を発見した。
それは魔術研究所の近くに立つ少女で、
「よ、ただいま、カトレアさん」
まだこちらには気づいていなかった彼女に手を振り、声を飛ばした。すると、
「お……? おお、アクセル……か!?」
驚きと喜びが混じったような表情を浮かべて、こちらへと走り寄ってきた。
そしてこちらの手をぎゅっと掴んでくる。
「おーおー、実態もあるのう。ということは、精霊界から、戻ってきたのか!」
「ああ、今さっきな」
「無事でよかったのじゃ。精霊道の通過には成功したとは思っていたが、向こうでどうなっているか連絡も出来ないので、気が気でなくての」
「あー、確かに連絡手段がなかったからな」
「うむ。気分転換も兼ねて、いつも通りの仕事をしようと、精霊道を安定させられないかという実験を職員たちと行っていた最中だったのじゃよ。草原やら丘陵地帯やらに、実験用の道具を置いてな。で、今は各箇所を見回っていたのじゃ」
だから研究所から離れたここを歩いていたということだろうか。
「あー、なんというか心配かけたな」
「いいのじゃ。無事だったのじゃからな。……それで、向こうの精霊都市も無事じゃったか?」
カトレアは恐る恐る聞いてくる。
その辺りも分からない状態で、色々と動いていたのだから無理もない。だから、
「ああ。無事だったぞ。インボルクにいた研究所の職員たちも元気そうだったよ」
まず安心させるためにそういった。すると、
「そ、そうか。向こうの都市の名前を知っているという事は本当に行ったのじゃろうし……うん。良かったのじゃ……」
カトレアは緊張の表情を和らげた。
言葉だけではあるものの、少しは不安を解消できたようだ。
「そんな感じでたくさんの人にあって、たくさんの情報を貰ってな。色々と話したいんだけど。時間はあるか?」
「それは無論じゃ。なくても作るしの。――ただ、ちょいと、研究所の会議室で待ってくれるか? 人を集めるのでな、そこで報告会をしてもらえると助かるのじゃ」
「あー、そっちの方が効率的だもんな。了解だ」
「では、ちと、ひとっ走りして、話の出来る人を集めてくるのじゃ」
そうして人間界に帰還した俺は魔術研究所にて、報告をすることになった。




