第3章 追憶の夜想曲≪セレナーデ≫Ⅰ
とうとう、スタートです!!
追憶の夜想曲編!!
今回からのお話は、久吉たちが小学4年生の時の物語です。
戦闘パートも入るとは思いますが、基本的には日常パートでいきたいと思います。
また、追憶の夜想曲編は全体的に短くなると思いますがご了承を……。
それでは、はじまり~はじまり~
意識が暗闇に沈む中、久吉は数年前の事を頭の片隅に思い浮かべてた。
それは久吉や奈々が小学4年生の時の記憶。
裏世界では本格的に魔術の勉強を始めるのは、中学に入ってからである。
小学生のころは表の世界と同じく様に、ひらがなの読み書きから始まり、社会で生きていくための最低限の知識を学ぶ。
それは久吉と奈々も例外では無かった。
久吉たちが通っていた小学校の名は川戸江区立本八小学校。
何の変哲も無い普通の小学校であり、生徒数もそこそこな学校だった。
そこの四年二組に久吉と奈々は在籍していた。そのころ、久吉の顔には眼鏡は無く、凛とした双眼は周囲に余り人を寄せつけなかった。
しかし、このころの久吉と奈々の関係は現在と大差無く、いつも周りの人間にからかわれていた。
まぁ、そのからかわれる理由の大半は年初めの奈々の自己紹介にあるのだが……。
本八小学校4-2
ガラガラという教室の戸を開ける静かな音と共に久吉は教室に入った。
クラス中の視線を一手に集めつつも久吉は、何事も無いように席に着く。
クラス中の視線を集めた理由は至極簡単だった。
その時の教室の時計の短針は十一と十二の間を指している、しかしこの学校の登校時刻は八時三十分である。
つまり、久吉は大遅刻をしたわけだ。
そんな久吉に教師が遅れた理由について聞いた。まぁ、いつもの事だから理由なんて決まっているが………。
「中津、何で遅れたんだ?」
「学校に来る理由が見出だせ無かったから」
「それはどういう意味だ?お前は学校が嫌いなのか?」
「好き嫌いじゃ無くて意味が見出だせ無いんだよ。所詮、小学校の授業なんてレベルの低い奴らに合わせたカスみたいな物だし、周りの奴らもガキばっか。給食は美味いから食べに来るけど、そのどこに意味があると?」
「!?」
教師は驚愕した。いつも理由を聞いても何も答えない久吉が、こんなにも長々と自分の考えを述べた事に。そして、その大人びた考え方に……。
そんな教師を尻目に久吉は一人、鞄から本を取り出すと読書を始めた。
しばらく放心状態に陥った教師だったが、気を取り直すと授業を再開した。
「では、さっきの続きを始めようか。教科書56Pの四角の四番を、え〜と、中津、解いてみろ」
教師は遅れて来た上に、あんな事を言った久吉にわざと難しい問題を解かせようとした。だが、
「650」
久吉は本から目を離すことなくサラリと答えてしまった。教師は苦虫をかみつぶした様な顔をすると「正解だ」と言って別の問題に移った。
それから約20分間久吉にとって退屈以外の何物でもない算数の時間が終わり、給食の時間となった。
そして、その給食の時間が終わると昼休みになるわけだが、久吉は外で運動するわけでも無く一人で本を読んでいた。
無論、そんな彼に近づく奴などいるわけが無………、訂正しよう。いた、そんな久吉に思いっきりタックルかました女子がいた。
まぁ、言うまでもなくそれは奈々だったが。
「グワッ!?な、誰だ!!って奈々かよ!……用件をどうぞ!!」
「ナッツ〜、何で皆と一緒に外で遊ばないの?」
「あいつら皆ガキだから」
「ナッツもガキじゃん」
「な!?お、俺は精神年齢的な話をしてるんだよ!」
「え〜?良いじゃんガキで。今は皆まだガキなんだから〜」
奈々の返答にピクリと眉を動かした久吉は、読んでいた本を閉じると奈々の方に向き直った。
「だから、俺はそういうのが嫌なの!あんなレベルの低い奴らと一緒に遊ぶなんて、考えただけで吐き気がする」
「またそうやって大人ぶって〜!いつか皆にイジメられるよ!?」
「奈々、俺が何をやっているのか知ってるだろ?もし、俺がイジメられたって逆に返り討ちにしてやるよ」
「ふ〜ん、まぁ良いや!読書中お邪魔しました!」
ビシッ、と奈々は敬礼の真似をすると、どこかに走っていってしまった。
久吉はというと、そんな事お構いなしに読書を再開していた………。
いかがでしたでしょうか?
基本的に作者自身が得意としているのが、戦闘パートなので余り自信が無いのですが……。
これからもよろしくお願いします。
また、誤字・脱字、感想等がありましたらどんどん言ってきてください!!
では、次回予告を、
1人きりで帰宅する奈々、追いかける久吉。
しかし、そんな2人にそれぞれ思いもよらない事態が襲い掛かる!!