第1話 どこにでもある悲劇
ゴブリンスレイヤーとかの世界観を参考にしています。
いいよねダークファンタジーって
神々が言いました。
私の作った森は輝いてる。
私の作った湖は絶景だ。
私の作った海は偉大である。
何とも素晴らしく美しい世界であるか。
そこで神々はこの世界に命を与えました。
只人、森人、獣人、鉱人、精霊
さまざまな種族が生まれ、栄え、交わり、世界は活気に溢れていました。
さらに神々はこの世界に力を与えました。
武力、魔力、呪力、生命力、加護やスキル、人々は力を手にしたことで文明を築き、序列をつけ、時に争い、時に助け合うようになりました。
すると神々の遊びを良しとしない邪神がこの世界に災いをもたらせました。
スライム、ゴブリン、アンデッド、ドラゴン、魔神
人々はそれらを怪物やモンスターと呼び、時に恐れ、時に戦いました。
そんな世界にまた一つ新たな命が生まれました。
彼には恵まれた力や魔術の才能、加護やスキルなんてものはありません。
両親の愛を受け、すくすくと育っていくこと14年。
貧しいながらも幸せなときを過ごしていました。
ーーーーー
「お父さーん。兎、罠にかかってたよ」
「おうそうか!でかしたぞ!」
「今日はごちそうだ!」
「今日は母さん喜ぶぞ」
「うん。最近肉食ってなかったもんね」
「たまには腹いっぱい食わせてやらないとな」
「シチューかな」
「さあな。母さんの気分しだいだ」
親子は今日も森へ狩りにでかけていました。
父は村一番の狩人であり、その息子もまた、技術を受け継ごうと父の背中を追っていました。
「よし、今日のところはこんなもんでいいか。帰るぞ」
親子は仕留めた獲物を抱え、帰路に着きます。
ドアを開ければ母親が、いつものように夕飯の支度をし、おかえりと言ってくれる。
そのはずでした。
少年は小さな違和感を覚える。
家の扉が半開き。
母は几帳面な人だ。
留守の間に扉を開けっぱなしになどしない。
父親もそれに気付いたらしい。
表情が少し曇る。
父「……?」
家の前には洗濯物が揺れている。
朝、母が干していたものだ。
だが、人の気配がない。
妙に静かだった。
風の音だけが耳につく。
「おい!!トウカ!!」
「(父さんが母さんを名前で呼んでる?いつもはそんなことしないのに)」
ガチャ
男は父の背中に遮られ中の様子を見ることができません。
ですが父親の表情から中でただ事ではないことが起こっていると感じました。
ーーその瞬間ーー
トスッ
「……父さん?」
父親の背中からなにかが飛び出ている。
赤い血が付着したソレは、先端がとがっている。
「剣?父さん!!」
父親の背中から飛び出ているものを認識し、ただ事ではないと叫ぶ。
しかし、少年の叫びもむなしく、剣は素早く引き抜かれ、空いた穴からは真っ赤な血が吹き出ている。
父「逃げろ…はやーー」
瞬間。父親は扉のなかに引き込まれる。
父親の服をつかんでいたその手は人間のものではなかった。
細く、とても力があるとは思えない腕ではあるが、その色は混濁とした緑色であり、現に自分の倍以上に重い父を連れ去った。
その事実が少年を家の中に踏み入るのをとどまらせる。
父「グァァァァァァ!!」
父の最期の言葉。
いや、言葉とも呼べない悲鳴を聞いた少年は、助けを呼びに走る。
少年「ハァ…ハァ…何で…父さんが?」
少年「あの様子じゃ…母さんも?!」
少年「とにかく今は助けをよーー」
ヒュッ
なにかが目のはしに写った。それはこちらが認識するよりも早く、少年の右足を貫いた。
少年「熱っ!!」
少年「なんで?!痛!!」
少年の足に刺さったのは粗末ながらも獲物を動けなくさせるには十分な
『矢』
であった。
足に広がる熱と痛み。
少年はとっさに矢が放たれた方向、矢を放った人物を見る。
そこには、先程父を連れ去った者と同じ色の腕をした者がいた。
子供の用な体格、全身が緑色で垂れ下がった鼻。
間違いない。
少年「ゴブリン…」
絶体絶命だ。例え万全の状態でも自分ではあの怪物には勝てない。
それに今は足を負傷して走れない。
少年「誰か…」
少年「誰か助けて…」
眼前に迫るゴブリンをみた少年はそう願った。
いや、口から言葉が漏れ出たのかもしれない。
ゴブリンが笑いながら弓を引く。
この距離では外れることに期待できない。
ここが少年の終わり。
この世界ではよくある話だ。
終わり?
否
まだ終わってない
少年「うわぁぁぁ!!!」
少年はとっさに落ちていた石をゴブリンに向かって投げる。
闇雲に投げたそれはゴブリンの右目に当たり、出血を与える。
少年「くそっ!このっ!」
手当たり次第に石を投げる。
痛みでゴブリンはその場に倒れ、弓を手放す。
少年はとっさにその弓を広い、矢をつがえる。
「(弓なんて、やったことない……!だけど!)」
ガラッ、と弦を引き絞る。
心臓の音がうるさい。
世界が、なにもかもがゆっくりと動いて見える。
限界まで引き絞った手を放す。
矢は、吸い込まれるようにゴブリンの胸を貫いた。
時間にして30秒もない戦い。
しかし、少年は勝った。
そう確信したとき、
ガッ
なにかが頭に当たる。
少年「…石?」
脳が揺れる。
その状態で少年は思い出す。
両親を傷つけたやつがまだいると。
少年はふらつく体を起こし、再び弓をつがえようとするがゴブリンの方が一手早い。
少年から弓を取り上げ、仲間を殺された恨みからか腹を、顔を、矢によってできた足の傷を、執拗に蹴り上げる。
少年「グッ、あぁ!!」
少年は痛みに悲鳴を上げる。
先程の戦いで体力も気力も使い果たした少年に反撃する力は残っていない。
血を失った体は徐々に眠気を呼び寄せる。
ゴブリンは満足げに笑うと至近距離で弓を構える。
今度こそ終わり。
せめて今日採った兎だけでも食べたいと、そう思い目を閉じようとした。
そのとき。
一閃。
鋭い光のようなものが少年の頭上を。
ゴブリンの首だけを正確に切り裂いた。
何が起こった分からない。
だがそれを理解することはできなそうだ。
この傷。
この出血量。
もはや少年に助かる道はないに等しい。
「偉大にして寛大なる水の女神様。どうか彼の者の傷をお癒しください。『中奇跡』!!」
少年の体が淡い緑色の光に包まれる。
すると、先程まで出血が続いていた右足の傷が塞がっていく。
不思議と痛みはない。
意識もはっきりとしだし、辺りを見渡す。
そこには二人の人間がいた。
一人は白い装束に身を包んだ女神官。
プリーストと呼ばれているものに近い。
もう一人は自分の背丈ほどある大きな剣を抱えている。
先程ゴブリンを切ったのはこの人だ。
「どなたか存じ上げませんが助けてください!!父さんと母さんが家でゴブリンに襲われて!!」
「すまない少年…我々が助けられたのは君一人だ。」
「……え?」
「私たちはギルドの紹介で来た『冒険者』です。」
そういうと女は首から下げている冒険者カードを見せてくる。
『三級 神官』
どうやらこの人たちは正式な『冒険者』のようだ。
「我々到着がもう少し早ければ…被害を抑えられたのかもしれないのに…」
「……いえ、ありがとうございます」
確かに彼らがもう少し早く着いていれば父は死なずにすんだかもしれない。
もっと早く着いていれば、恐らく母も助かっただろう。
だがそれを彼らに言うのは全くのお門違いだ。
「そうだ少年。この有り様じゃ行くところもないだろう。どうだい。働き口が見つかるまでは俺たちと一緒に行動しないか?」
「そうですね。その方がきっと安全だと思います」
こんななにもない自分を助けてくれるなんて。
少年に断る理由はなかった。
「ぜひ!お願いします!!」
このときの少年はまだ知らない。
自分が後にどんな人生を歩むのかを。
父と、無惨な姿になった母を土に埋め、女神官指導のもと、祈りをすませる。
そして少年の少し早い一人立ちが今始まる。
不定期でやるけど最初のほうはやる気があるから更新頻度高めかも
修正→セリフの前のキャラの名称を削除しました。
その他演出や言い回しを変更しました。




