012_変化する日常 ①
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あらすじ:冒険者ギルドでは情報が出回るのは早いです。
そして、フールさんはクソステだったようです。
視点:魔術士Lv1 ホワイトさん
『』:フールさん
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《オオヤシマ歴2994年 5月 2週3日目》
◆都市近郊の草原◆
『はぁーっはっはっは!!
くらえぇい!!(ババッ)
【火の玉】ぁああ!!』
(ドヒュッ…ボオオッ)
「ブニー!?」
「(ジー)……またやってる」
僕達と一緒に行動する事になってから
ほぼ毎日アレやってるんだよね。
魔法スキルの【火の玉】。
Lv1の攻撃系魔法スキルだけど
正直、あんまり強くない……。
『かっかっかっか!!
どぉ~~だ!!
このブヨブヨ野郎めえっ!』
「ブニッ! ブニッ!!」
(ブニョンブニョンブニョ~~ン)
「ぬお───!?」
「あっ! おっちゃーん!?」
あんな感じだもん。
冒険者ギルドでも一番弱い扱いの【ブニブニ】。
初心者向きって言われてるモンスターでも
1発当てたぐらいじゃ、全然死んでくれない。
おまけに、1回でMPを7も使うんだって。
…フールさんのステータス見せて貰ったけど
MPが僕よりも低くて17だったから
フールさんの場合、1日2回だけしか使えない。
でも、フールさんは、あんな感じで
あっさり使っちゃうんだもんな…。
せめて僕が冒険者ギルドに登録した時
あの魔法スキル覚えれてたら
もう少し戦うのも楽になってたかも…。
僕なら1日にギリギリ3回使えるし。
僕の覚えた【鈍足再生】って
冒険者の間だと、【火の玉】以上に
ハズレスキルって言われてるみたいだし。
「ちょ!? もー! また勝手にー!!
今助けに……」
(ヒョイ、ガシッ)
「えっ!?」
「ええ──!? おっちゃん!?」
「ブニ!? ブー!! ブー!!」
『かっかっかっ! いや~。
心配かけて悪ぃな! 3人共。
さすがに、2回もくらったら
動きぐらい読めるよーになるってもんよ』
「は? えっ!?」
え───!? フールさん。
昨日も一昨日も、反撃されて
まともに突進が直撃してたのに
今日は反対に捕まえちゃったの!?
【ウシウサギ】もあっさり捕まえるし
……どーなってるの?
(シュパッ、ザクッ)
『ほいほい…そんじゃ、ま。
サクサク~……ってな』
(スイッ、スイッ、スイッ)
「ブニッ!? ブ、ブニィィィ……」
「えええぇぇ…!?」
「ほえー、おっちゃんすっげー!?
生きたまんま、切っちゃった」
「ね、姉さん…【ブニブニ】って
あんなに簡単に切れたっけ?」
「いやいやいや。
何で生きた【ブニブニ】を
そんな簡単にダガーで解体できるのよ?
結構分厚いし、ブニョブニョなんだよ?」
(スイッ、スススススパッ)
『かっかっかっ! 慣れだな慣れ。
獲物の解体とか初歩の初歩だしな。
ま、やってみてわかったけど
下手に攻撃するより、とっ捕まえて
そのまま解体した方が楽だな、こりゃ』
「え? 楽…?
そ、そうかな? …そうかも?」
え? た、確かに?
今までにも、何とか倒してこれたけど
正直、みんなボロボロのヘトヘトで
1日に2、3匹がやっとだったし。
捕まえて、そのまま倒せちゃうなら
そっちの方がいいんじゃ?
「そっちの方が楽なんだ!?
お姉ちゃん! ロゼもやってみるよ!」
「は? 何言ってるのロゼ?
私達じゃ無理に決まってんでしょ。
フールも簡単に言わないでよね」
『いや~大丈夫だろ。
コツも教えるし、いけるいける!
何事も当たって砕けろだって!』
「うん! ロゼにまかせて!!
がんばって砕けるよ!!」
「いや、砕けちゃダメでしょ!?」