0.17
「とにかく、紫蓮くんとアリセナさんは、今日はここまででいいから。それに、他の新人達は、とっくの昔に帰っているよ? 」
「マジかよ…。」
「ほんとなんだ…。」
俺とアリセナは、教室から追い出されてしまった。
俺は、少し考え事をしていると、
「皆も何か話し合いたいことあるんじゃないの? 」
と、アリセナが言った。
「そうだな。あそうそう。これやるよサイダーで良かったか? 」
「ありがと…。」
アリセナは、俺から渡された炭酸飲料のペットボトルを受け取ると、直ぐにプシュという音と共に、蓋を開け飲んでいた。
少し飲むと、何か暗い顔をしながらペットボトルの容器を睨んでいた。
「どうした? 」
「これサイダーじゃない。」
「は? どれ見せてみろ」
アリセナの手から強引にペットボトルを奪うと、ラベルにはソーダと書かれていた。
「サイダーも、ソーダも同じだろ」
「そうかな? 少し違うような気がするんだけど、まぁいっか」
深く考えないように、しながら入ってきた校舎の玄関を後にした。
隣で歩いているアリセナは、玄関から出てからなにか悩みこんだ顔をしながら歩いていた。ずっと観ていると、悩みながら他のことを考えて真っ赤になったり、あまりの悩みに頭痛が走ったりして、頭を抱えてたりしていた。
そっと頭を撫でてやると、
「えへへ…。」
と喜びながらも、引き続き何かを悩みこんでいた。
さすがに、心配になった俺は、転送装置がある裏路地に入り込む前に、話しかけた。
「なにずっと考え込んでいるだ?」
と尋ねると、突然アリセナが前に出した足を急に止めた。
「別に、なんでもない。」
「なんでもないて何だ? なんでもないて…。」
「なんでもないから‼ 」
と言ったアリセナは、涙を浮かばせながら裏路地に走って行った。
なんでもないて一体どういう事なんだ…。悩みがあるなら相談相手ぐらいになるのによ。
思いながら、裏路地に入るとそこには、アリセナ姿はなかった。
先に、転送装置で研究所に帰ったらしい。
転送装置に乗り、ホログラムで表示されたボタンを押す。
一瞬にして研究所に戻り、怪しげな廊下真っ直ぐ歩いていると、曲がり角でアリセナの喋り声が聴こえてきた。
「このまま、あの記憶の通りになるなら私達は…。」
震えた声で言うアリセナ。
「そんなことにはならない。絶対に今度ばかりは助けてみせるから、自信を持って‼」
アリセナを励ますように、喋る母さん。
「お願い、もう紫蓮あんなことさせないで‼」
あんなことて一体なんだ? しかもこんなに震えた声で何かを相談するアリセナなんて聴いたことがない。
俺が知っているアリセナでは違うと思えるぐらいに別人に思えてしまった。
「なに聞き耳立ててるんだ? この変態マスター」
そんな声が右側から聴こえてきた。そっと振り向くとエルがそこに居た。
「早かったな。今までどこに行っていたんだ? 」
「話を逸らすな‼ 全くマスターにはまだ早い。」
「それはどう言う事だ? 」
「いいから部屋に戻るよ? こんなとこで話したら拉致があかない」
「そうだな。とりあえず戻ろ」
俺とエルは、曲がり角から立ち去る時後ろから視線を感じながらも部屋に戻って行った。
ここまで読んでくれてありがとうございます
・自販機でサイダーを買いアリセナにあげる





