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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第3部 第11章
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【第667話:それぞれの宣誓】

 カルサリク北にある湖に出来た難民達の集落を支援するため、先行して戻ったリステル達が掘り下げて造った拠点にヴェスタ達も無事戻った。

「おかえりなさい。無事で本当に良かった‥‥」

出迎えたリーベは目を赤くして両手をもみ絞って、泣き出しそうな顔で笑っている。

その腰にはメーナがぎゅっと抱きついている。

「ただいま!拠点ありがとう。大変だったね?」

ジュノが真っ先にリーベをよしよしして、ヴェスタアイカと続き、アイカはリーベを抱きしめる。

「大変でしたねリーベ。がんばりました」

そういって少しだけリーベより小さいアイカは、お姉さんぶってよしよしとする。

リーベもアイカをコピー元の姉として認識しているので、二人の間では問題なかったが、外から見ていると微笑ましいなとにんまりするヴェスタとジュノ。

最後にアイ達も拠点前に駐機して下りてくると、メーナがかけていく。

「アイちゃーん!」

最初に下りてきたアイ01に、わしっと飛びつくメーナ。

結構な勢いでどーんと来たが、アイ達は慣れているのでよろめいたりしない。

「ただいま。寂しかったねよしよし」

アイ01もアイカとそっくりな顔で、そっくりな事をするのだった。

メーナはアイ達4人に交互に撫でられてご機嫌だ。

「メーナもお手伝いしたんだよ!マグロ獲った!」

にっこにこで宣言するメーナに、はてなと首をかしげるアイ達だった。

そんな仕事が難民キャンプにはあるのかと。


 地下に掘り下げた拠点の、主なスペースは2隻のスパイラルアーク級宇宙船で埋まっており、帰還した人形兵器はシフト収納する。

式神七式はハードポイントの武装を自前のシフト収納に仕舞えば、そのまま各アークの第一格納庫に収まる設計。

スヴァーレイクも武装を全てシフト収納し、変形して多脚戦車型になり手足を畳めばぎりぎり収まる。「さすがアイカです。ちゃんと収まるおおきさなのですね」

スヴァーレイクはリーベが感心するレベルでぎりぎりだった。

「ふふん、このスペースに収まるサイズから展開して設計してあるのです!」

ひさしぶりにえっへんのアイカだった。

静謐な巫女より、このアイカの方が馴染みがあるなとヴェスタも感じてにっこりした。

 それぞれのアークに10室ずつシフト収納出来る大型格納庫がある。

ヴェスタ達3人とルクール・ルニーア・ユーリアの6機をスパイラルアークに。

リステル達の4機にアイ達の4機を足して8機をスパイラルアークⅡに格納した。

スパイラルアークには式神七式の予備機も2機収納されているので、それぞれ8室使い満載状態だ。

これは惑星アウステラで戦っていた配属そのままとなった。

それぞれ2分隊をもつ機動兵器小隊となった。

スパイラルアークに積んだ予備機はアイカカラーに塗られていて、いざと成ればアイカが無線で動かし、出撃できるよう武装もしてあった。

 そうして兵器を収納し終えるとすっかり深夜になり、打ち合わせは年長組ですることに成った。

アイカやルクール達より下の娘は、お風呂に入った所でダウンしてしまったのだ。

「さっきも同じ事したような‥‥」

マナミが困り顔でアイ達を抱き上げて運ぶ。

ヴェスタとジュノ、リステル達3人で手分けして個室のベッドに収納する様子は、さっき人型兵器達をアークに収納した作業の、焼き直しのようだった。

「くく、上手いこと()()し終わったね!」

リステルもアイ達を運びながら、メーナを寝かせてきたリーベを二人で笑っていた。

ルクール達もヴェスタ達が3人まとめて寝かせてきて、戻ると年長組用にお茶を淹れることにした。

そうして6人で集まり直すと、こほんとヴェスタが視線を集める。

「じゃあ最初に砂漠の事を報告するね」

そういって手短に神殿を建てて奉じて来たよと、話を終えた。

「お疲れ様。こっちは想定以上にまずい事態でね‥‥」

今度はリステルが難民キャンプ側の状況を報告する。

今も死者が出続けているのだと、話が終わるとヴェスタ達も沈痛な顔になってしまった。

「第一にそこに手を入れましょう」

隣にすわるリステルをよしよししてヴェスタが答えると、にっこりといつものリステルスマイル。

ヴェスタには不思議とリステルの内心が伝わり、いたわる気持ちが満ちる。

(無理をしているのね‥‥やさしいリステルが、冷徹な指揮官として振る舞うのはとても負担が大きいのだわ‥‥)

付き合いが長くなったからと言うよりも、姫ヴェスタとの距離が近づき、より鮮明にオーラの感触をエているのだった。

(リステルは昔から変わらないな)

かつて領主に抗い戦っていた冷徹なリステルも、同じように心を痛めていたのだなと、改めていたわる気持ちを持つヴェスタ。

神官達が光としてみるオーラの変化を、ヴェスタは肌を通した温度や触感として昔から捉えてきた。

スキンシップの多いジュノやアイカの事を深く理解できるのは、そういった能力の発現だった。

手を触れるだけで表層意識を感触として感じ取るヴェスタは、リステルがふにゃりと柔らかく温度を下げているのが感じられた。


「聖王国として街を造りましょう‥‥この湖のほとりに」

ヴェスタの宣言にぱぁっと明るい表情になるリステルとマナミ達。

リーベやマナミも難民たちの現状を憂いて、心を痛めていたのだ。

「もう堂々と造っちゃおうね!防衛はまかせて!」

ジュノも一緒にもりあがる。

「地理的にここの拠点近辺が好ましいですね。水源にも建築資材にも恵まれています」

アイカもARの立体マップを表示して、具体的な話に入っていく。

一日でも早く受け入れなければと、燃え上がるアイカの設計者魂だった。

速く安く美味くなければいけないのだと、何かの謳い文句のように呟いていた。

「実はこの大陸にはもう3個所の拠点が有るのです」

アイカがいたずらっぽく告げ、ヴェスタ達も思い出す。

「この北山脈に一つ。南山脈に一つ。そしてここの拠点ですね」

そういってARマップに印を付ける。

それは綺麗に正三角形に近い形で配置されていた。

「あぁ‥‥なつかしいね」

ジュノもしんみり笑顔になる。

「私達にとっては一年も経ってないけど‥‥40年も放置していたのよね‥‥」

ヴェスタも眉を下げながらも、笑顔になる。

それはかつてこのアルドゥナという星に遭難するように落ちて、抗い生き抜いた証達。

かつてヴェスタ達が築いた、南北山脈の採掘拠点達だった。

「そしてもう一つ‥‥この神殿の出来た土地にラウメン聖王国の首都を造ります」

にこにことアイカが告げ、ヴェスタを見る。

うんとうなずいたヴェスタが引き継ぐ。

帰り道でアイカとジュノと話し合ってきたことだ。

「せっかく女神さまが奇跡を下ろしてくださったのだから、あやかってそこに象徴として都を造ります。名前は‥‥”聖王都ラウミナス”と決めました!」

それはヴェスタ達が家族の名前として決めたもの。

ほこらしげなヴェスタの宣言に続き、さらりとアイカがマップに都市の名前を書き足す。

「世界一美しい街にしたいと思います!」

アイカもにっこりと宣言する。

「そして、世界一安全な国にするよ」

真面目な顔でジュノも告げた。

「この大陸にラウメン聖王国を復活させるのです。帝国の支配に抗いたい人々の希望と成れるように」

3人で見交わしあって、最後にヴェスタが宣した。

それがヴェスタ達の掲げる聖王国という国だった。


挿絵(By みてみん)

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