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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第14章
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【第143話:打ち上げたら落ちてくる】

「あがりました!」

アイカはにっこり満面の笑顔。

『バンザーイ!!』

ジュノもヴェスタもバンザイジャンプ。

この4日くっちゃね生活をして、二人は体重をふっくら戻していた。

もちろんアイ達4人は横並びに手を繋いで、バンザイジャンプを息を揃えて飛ぶ。

「クスン‥‥やったのね‥‥遂にテイア7なのだわ‥‥アイカのおかげだよ」

「本当!アイカ頑張った!すごい!」

涙ぐむヴェスタと褒めまくるジュノ。

アイカがてれてれするのを、体重を戻した二人がむぎゅむぎゅと抱く。

『ママすごーい!!』

アイ達も3回目のバンザイジャンプで褒める。

「えへへ‥‥これで衛星を打ち上げられます!」

ほろりとヴェスタは涙する。

「思えば‥‥ながかったわ‥‥」

よしよしとジュノがヴェスタの頭を撫でる。

「うんうん、大変だったね。でも‥‥ここまで来たよ‥‥正直最初は無理だと思ったもの」

「そうですね‥‥たどり着いたという言葉がこれほど実感をもって感じられる日がくるとは‥‥」

ジュノもアイカも感慨深いようで、三人で抱きしめ合う。

アイ達も何故かうるうるして4人で抱き合う。

墜落してからの生活の中、95日目にして遂にティア7まで至る三人。

それは宇宙から落ちてきた3人が戦い抜いて、宇宙に手が届いた日だった。


「前に言ったように、まずは有人打ち上げ可能なロケットを目指します。もちろん降下できる仕様です」

ヴェスタがちょっとタラリと汗を落とす。

どう考えても3人で打ち上がるのは無理があるのだ。

ジュノもアイカもごくりとツバを飲んだ。

「‥‥バカだと思うだろうけど‥‥3人一緒じゃなければ認めません‥‥」

だきっと二人がヴェスタに抱きつく。

「うんうん!いいよ‥‥そうしようよ」

「そうです‥‥約束しました‥‥三人で一緒です」

それはバックアップ無しで打ち上げると言う事。

打ち上げの規模も3倍では済まない。

どう考えても目指す必要のない苦労だった。

「でも‥‥それが出来たらスパイラルアークを宇宙に上げられる‥‥」

ヴェスタの言葉に二人もうなずく。

「‥‥手がとどくのだわ」

ぽろりとヴェスタのほほを涙が落ちる。

その涙の意味を知らないものはここにはいないのだった。

アイカの再起動からこっち、三人は母船を信用出来ない中頑張ってここまで来た。

軌道に上げる条件としてヴェスタが課したのは、万が一でも地上に3人で戻れること。

そして軌道まで三人が自力で上がれる準備をしてから母船を上げると言うことだ。

最悪は軌道に母船を残し、地上に戻らなければいけない可能性もある。

その準備をして軌道に上がろうと決めたのだった。




「設計は終わっています‥‥あとは作ってテストして打ち上げるのみです」

アイカが指示をだし、打ち上げロケットのパーツがプリントされていく。

まずはりんご程度の大きさの人工衛星を低軌道に上げる予定だ。

一応地上の観測用に色々とセンサーと通信装置を積み込む。

これは事前調査のデータが当てにならないと、実体験で知った3人が衛星あげたら最初にするぞと思っていたことだ。

「地上200kmまで上がり、この星を6周しながら調査して降下、パラシュートでそこの砂漠に落とす予定です」

二人は正直よくわからない。

はてなはてなと言った顔でアイカを見る。

嬉々として早口で説明を始めるアイカ。

「んっとですね‥‥今回予定する低軌道の条件として高度200 km惑星半径6371 km → 軌道半径 = 6371 + 200 ≈ 6571 km重力定数GM = 3.986×10¹⁴ m³/s²となりむぐぐぐ‥‥」

『すとぉ-っぷ!』

にこにこの二人に口を塞がれむぐぐとなるアイカ。

「見たほうが速いわ!」

それが結論となった。

3人で保護スーツの怪力をふるい巨大なパーツを組み立てていく。

小さな衛星一個打ち上げるだけだが、全長20m程の大きなロケットが準備された。

これは多段ロケットになっており、一段目は核パルスジェットで大気を利用して加速していく。

二段目は固体燃料を触媒にした、準光励起霊子ロケットを使う。

こちらの方がパルスジェットより大分高コストだが、軌道まで上がると空気がないので、この方式に切り替える予定だ。

二段目を切り離した衛星本体は、シンプルな液体燃料のアポジモーターで降下に向けた軌道修正だけをする。

十分に減速してから最後はパラシュートを開き、壊れずに回収できたらミッション大成功だと、にこにこ

アイカが説明した。

アイカはこうゆうのを説明させると嬉々として話し続ける。

話が複合素材がどうのと難しくなったので、「じゃあやろう!」と話しをぶったぎるジュノ。

アイカはちょっと不満げだが、ジュノはそうゆう子だからねとキャラが出来てるので、仕方なく進めるのだった。

ジュノとヴェスタは見交わしてウインクするのだった。


打ち上げ場は拠点から近い砂漠に作った。

最終的に打ち上げるロケットの規模だと、拠点からあげられないので、ここに設置。

「最終カウントダウン10‥‥‥‥5‥4‥3‥2‥1‥ふぁいや!」

どぉん!と聞き慣れたパルスジェットの爆音をあげて、ランチャーから打ち上がっていくロケット。

青白い噴射炎を吹きちらして垂直に登ってく。

白い水蒸気の雲を引き、遥か高空で分離し軌道を変えるあたりまでが肉眼で見えた。

「さて‥‥あとは中でみましょう!」

「はーい」

そうしてアイカの号令で、拠点まで戻りスパイラルアークの操縦室に入っていく3人。

アイ達は通常業務にもどり、マクラも式神も運行している。

アイカはそれらの統合運用もしながら、このミッションの責任者もしているのだ。

拡張マップに軌道が表れ、重力波霊子波の観測結果がレーダーのように表示されていく。

「ふむ‥‥この大体あっているところが疑わしいんですよね‥‥」

アイカも難しい表情になる。

事前調査のフライバイプローブのデータに、今回の調査をあてていくと、90%以上が合致する。

「そしてクリティカルなところで嘘をつかれるのよね‥‥まるで見張ってて操作してるみたい‥‥」

ヴェスタの印象は3人で共通のものだった。

あのアニマロイドの襲撃でも命ギリギリの目にあったのだ。

「思えば‥‥毎回そうだよね‥‥油断してるとヤラれるような‥‥」

ジュノも補足して解釈する。

「まぁ‥‥今回取ってるデータはとりあえず当てに出来ますよ!」

アイカがいい方向に話しを持っていく。

「そうね、これからも何度かチャンスが有るし‥‥静止軌道にも上げるでしょ?」

「そうですね、明日か明後日には取り組みましょう!」

アイカは終始ごきげんにこなしていく。

「アイカちょっとブラックすぎない?もっと休んでもいいのよ?」

「平気です!夜にいっぱい元気をもらいますからね!」

ぱちりとアイカにしてはきれいなウインクをして、頬をそめるのだった。


その日の夕方に衛星が帰還する。

「あのあたりのはずです‥‥」

砂漠をVTOL機で飛んできて、着陸予定地点を監視する。

念の為拠点からも、打ち上げ場からも距離をとって設定してある。

「あれかな!?」

目のいいジュノが夕日の横にきらりと光る衛星を発見した。

もうパラシュートが開いていて、予定では150km/hほどで着地するはずだ。

どぉぉおぉん!

「およ?」

ジュノは思っていたより大分元気よく落ちた衛星にびびる。

外装も装備してきているので、3人でしゅんとジャンプアンドジェットしてたどり着く。

「‥‥こっぱみじんだがぁ?」

「ちょっとだけ速い着地でしたね?」

「着地ではないのではぁ?」

三人で目が点になる結果だったが、まいいか?となって帰還した。

バラバラだが、素材は回収してきた。

なかなか衛星は高コストなので、貴金属やレアアースはもったいないのでマインビームで回収した。

「まあ、大成功ではないですが、成功という事で。明日はもうちょい高いところ目指しましょう!」

『おー!』

そうして初日は成功?で終わるのだった。





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