表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナグラム  作者: 七海美桜
罪びとは微笑む

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/188

違和感・中

 それから赤井に詳しく話を聞いたが、流星に送った脅迫めいたメールやSNS、電話の履歴も証拠として提示して貰っている事。『プレゼント』も出来る限り残していたものを証拠として保存している、と教えて貰った。

 櫻子は目を閉じて、連続殺人遺棄(いき)と、今回の流星のストーカーとを考えてみた。カリバリズムを想像させる犯人と、自分の月経血を飲ませようとするストーカー。同じ時期に、近いエリアで似た事件が行われるのは確かにおかしく感じる。


 死体を解体するのは、非常に体力を使う。脂肪がぶよぶよとしていて油まみれで切りにくく、骨が固い。まして、顔を中心に滅多切りされている。切り続けるのも、とても疲れるのだ。残されていた遺体は、大体が関節で分けられているが、そこまで行った後にあののこぎりで遺体をバラしたのは、とてつもない労力だ。検死報告では、手首や足首などに細い紐で縛られたら痕が、僅かに見られたと書いてあった。櫻子の見立てでは、あの狭い風呂場のシャワーカーテンにでも、紐で括りつけた部位をぶら下げて血を集めたと考えている。

 

 血を飲んでいる、と思うのは十三のスナックにあったグラスだ。あそこでも、犯人は血を飲んでいたと思われる。それにあそこは、スナックだ。安いだろうが、ワインも置いてある筈。不慣れなものが最初血だけ飲むのは、味的に無理な事が多いだろう。すっぽん料理の血のように、最初はワインで割って飲んだのかもしれない。

 そして、あそこ(スナック)で血を飲むことに慣れた。


 しかし。あれだけの遺体を処理するのは、女一人では無理だろう。流星にすり寄っていた下品な――アヤナという女を思い出した。体格は良いが、筋肉があるのではなく脂肪で大きな体だ。それに、もう四十手前に見えた彼女にそんな体力があるように思えない。もしストーカー女が連続死体遺棄の犯人だと仮定しても、考えている犯人像には当てはまらない。



 歳は、三十代から四十代の男。頭は良い方ではないだろうがコミュニケーション能力が高く、被害者に接触できるぐらいの容姿と話術はあるだろう。そして、解体できるくらいには身体は鍛えている。だが、証拠を残したり遺体をそのままにしていた杜撰(ずさん)な現場から、無秩序型だと思われる。


 血を飲む、またもしカリバリズム傾向の思想があるなら――理由は『若さ』を求めるからかもしれない。


 今集まった情報から、櫻子はそう犯人像を描いていた。しかし、『美容』と口にしていた彼女の言葉は見過ごせなかった。もしかしたら、犯人と接触しているかもしれない。


「赤井さん、あなたは生活安全課何年目? 取り調べ経験はある?」

「三年目です! 取り調べも、行った事はもちろんあります」

 櫻子の言葉に、赤井は捜査を手伝って貰える事に希望を抱いて、顔を輝かせて返事をした。

「私はそのストーカーと、面識があるの。赤井さん、篠原君と笹部君を連れてその女の取り調べしてくれる? 私は、横の部屋から見てるから」


「え!?」


 思わず声を上げたのは、篠原だ。刑事になってから取り調べの経験は、篠原にはなかった。交番勤務の時も、なかった。

「大丈夫よ。何かあれば、私がマイクで指示するから――取り敢えずは、任意で呼び出しましょう」

「はい!」

 赤井は大きく頭を下げて、アヤナを呼び出すために部屋を出て行った。

「……ボス、僕もそれに参加しなきゃダメですか?」

 キーボードから手を離した笹部は、椅子をくるりと回して櫻子と篠原に向き直った。


「確かに異常なストーカーだから、出来るだけ冷静に判断できる人にいて貰いたいの。お願い」

「――了解です」

 笹部は不本意という顔をしたが、頷くと再びディスプレイに向き直った。

「診療内科に通っているか、誰か――男の協力者がいないかを聞き出せたら、連続死体遺棄との繋がりがあるか判断出来るわ」

 櫻子の言葉に、篠原は不安そうに頷いた。自分にそれが聞き出せるのか、自信がなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ