もっと仲良くなりました的なお話
【翌日】
椿が玄関のチャイムを鳴らすと、光が嬉しそうにドアを開けて椿を迎え入れた。
いつもであれば、光の母親が開けてくれるので、光の母親の姿を探すが見当たらず「お母様は?」と聞くと
「今日は親戚の結婚式に行ってるから、夜まで帰らないんだ。だから、椿が帰る時間まで二人っきりだよ。」
二人きりという言葉にいつもより緊張してしまい反応に困っている椿を光は玄関に招き入れてドアを閉めた。
椿の顎をクイッと持ち上げて光がキスすると、椿はとたんに真っ赤になる。
「今日も椿はかわいいね。」
甘い言葉に全く免疫のない椿は褒められてさらに真っ赤になる。
光は前世では30代まで生きたし、人生の経験もそれなりに積んできた。一方の椿は前世20代前半まで生きていたものの社会経験どころかまともな人付き合いをしてこなかった。この2人の差は歴然で、光は椿の行動の一つひとつが手に取るように予想できたし理解できた。
いつものように光は椿を自分の部屋に案内すると、ベッドの上に座るように促した。
椿は何の疑問も持たずベッドに座ると、そのまま光に押し倒された。
ベッドの上で波打つ椿の綺麗な髪をすくい上げ、光は髪にキスすると、椿の唇にも同じように口付ける。
唇を離すと光は椿に微笑みかけた。椿もその笑顔につられて微笑みを返した。
「今日は約束通り、いっぱい抱いてあげるからね。」
そう言うと、光は椿の着ているワンピースのスカートを、捲りながら椿の太ももを撫でた。
椿は光が言った「抱く」の意味に気がつき、慌てて光の手を握って止める。
「待って、私が言ったのはその抱くじゃないよ。」
「え?違うの?抱いていいって言ったのは椿だよ。俺、今日をものすごく楽しみにしてたんだから。」
光は椿に掴まれた自分の手を唇近づけ、握られた椿の指を舐めた。
「やっ!だめ!
だって、だって…」
「大丈夫だよ。優しくするし、それに、クラスの大抵の女の子は経験してることだから。」
「でも、妊娠とか困るし…」
「ちゃんと避妊するよ。妊娠しても責任はとるから。」
光は過去の経験から女性に言い訳を用意してあげると大抵落ちることを熟知していて、椿にちゃんと言い訳を用意してあげる。
「でも、でも、もし光くんのお母様にこのことが知られたら、絶対結婚させられちゃうよ?」
椿は不安そうな瞳を光に向けると、光は椿を見つめながら椿の手首を丁寧に舐めた。
椿はなぜだかゾクゾクした感覚に襲われ椿は発作的に「やあぁぁあ」と声をあげた。
「構わないよ。椿を抱いた後、母が帰ってきたら、椿と正式に婚約したいって伝えるね。高校卒業して結婚しちゃおうか?」
「光くんは、私と婚約したくないと思ってたんだけど、何で気が変わったの?」
光は椿のおでこにチュっとキスする。
「椿が、他の人には見せない自分を僕に見せたから。それから椿のこと好きでたまらなくなった。」
そして、今度は椿の手の甲にキスをする。
「椿が俺のこと好きじゃないなら、もう二度近づかないと約束する。でも、好きだったら受け入れて欲しい。椿と一つになって安心したいんだ。」
椿は男女の行為を行うことに大きな不安を感じていたが、ここで拒否したら光が離れてしまいそうで、その不安から頷いてしまう。
頷いたのを確認すると光は椿を抱きしめ、口元を綻ばせた。
前世でストーカーに執着された男は今世で愛執の女を見つけ、誰からも無視された女は熱心に愛されて幸せになりましたとさ。