日常が崩れる。
朝、目が覚めた。
布団から起き上がる。
下におりて顔を洗う。
朝食を食べる。
歯を磨く。
部屋に戻り、時間割をみながら教科書やノート、問題集を昨日のものから今日のものへ入れ替える。
定期を持って家を出る。
これが、公立中高一貫校に通っている僕、
東海林 陸の一日の始まりだ。
徒歩数分の距離のところに駅がある。
電車に間に合ったようだ。
乗る。
数十分揺られる。
降りる。
歩く。
同級生とすれ違うが僕は、彼らに挨拶することは決してない。されることもない。
なぜか?僕には友達はいない。
半年前まではいたが。
これは、俗にいうぼっちなのだが、正直、1人でいた方がいい。
学校に着いてからホームルームまでの時間を読書をして過ごす。今日は夏目漱石だ。
以前はラノベなども読んでいたが、あの時のこと以来、興味関心が薄れ、すべて売り払ってしまった。
先生が来た。
ホームルームが始まる。
適当にやり過ごす。
午前の授業も同様だ。
給食の時間。
比較的嫌いな時間だ。大して腹は減ってないし、人と関わりたくない僕にとっては給食時の机の並べ方は鬱陶しい以外の何者でもないからだ。
そんな時間も適当にやり過ごす。
午後の授業も同様だ。
帰りのホームルーム。
それが終わると、他の連中は部活動に向かう。しかし、僕は家へ帰る。部活?やっていない。
人と関わりたくないからだ。
学校から外に出た時、一人の女子の同級生に声をかけられた。名前が思い浮かばない。人の名前など自分にとってはムダ極まりない情報のため、覚える必要もない。
「東海林 陸くん、」
フルネームで呼ばれた。存在感を消しているはずなのに、名前と顔を知られている…
「何?僕は今忙しいんだ。」
今年の三月、友人を捨てた時に使った迷惑そうな表情と言葉。効果は絶大なはずだ。
しかし、彼女が発した言葉は意外だった。
「一緒に…帰らない?」
え。何だって?




