予想外の女。
何なんだ、この女…
しかし…ここは断るべきだ。
「ごめん、今日は忙しいんだ。」
ありきたりなセリフだが、効果はある…はずだった。しかし、彼女はおもむろに手帳のような物を取り出し、
「東海林 陸
県立中高一貫校の三年生。
部活の加入はしていない。
その他習い事もなし。
趣味は部屋を飾ることと紅茶を飲むこと。
私が調べたのはこれぐらいだけど、あなた、忙しそうには見えないわ。」
などと、とんでもないことを言い出した。
何なんだ、この女…ストーカーか。
そして、彼女はさらに恐ろしい行動に出る。
ギュッ
僕の背中に抱きついてきたのだ。
思春期の少女特有の胸が密着し、変な気分にならないと言えば嘘になるが、俗世を離れた僕は理性の塊だ。こんな女なんかに心を奪われてたまるか。
「離してくれないか?」
少しの怒気を含めながら言う。
「いいじゃん。私リクのこと好きだし。」
……意味が分からん。と言うより、こいつは脳内が終わってるのではないか?
とりあえず、ここははっきりと僕の気持ちを述べて離れてもらわなくては。
「残念だけど、僕は君には興味ないから。」
彼女の手を振り払い、スタスタと駅まで歩く。
駅の自動改札を通り、電車に揺られる。
降車駅に着いたら改札口を通り、家まで徒歩。
家に着いた。両親が共働きの僕は、家の鍵を持っている。鍵を穴に差す。
カチャ
小気味良い音とともにドアが開く。玄関で靴を脱ぐ。
さて…
「いつまでついて来るんだ、お前。」
さっきの女は、なんと家までついてきたのだ。なんと言うストーカー精神。感心すらしたくなる。
「えへへ…」
彼女は笑っていた。なんて奴だ…
ここまで来てしまったのだ、仕方ない。家に上げて適当に何か出して帰ってもらうか。
「上がりな。」
僕は彼女に促した。
「お邪魔します☆」
そして、それが恐ろしい結果を招くことに、僕はまだ気がつかなかった。




