月下の山
夏休み後半までずっと家でゲームをしていた………が、さすがに外で何かして遊ぼうと思い、夜の23時に家を飛び出す。
去年までだったら外出は出来なかったが、今年に大学一年を迎え、夜歩きが出来るようになり暇な時は深夜徘徊をよくしていた。
「月が綺麗だなぁ」
もっと綺麗な月を見たくなり、自然と山の方に向かう。
午前2時俺は山の中腹であろう場所で迷子になっていた、決して遭難はしていない、疲れたのでそのまま地面に座り目を閉じる。
パチパチと火が燃えている音で目を覚ます、急いで体を上げようとすると、額を抑えられていて体が起き上がらなかった。
「起きて直ぐに勢いよく体を動かすのはよくないですよ」
女性の声で話かけられる、目の前は真っ暗でよくわからないが、横を向くと焚き火が作られていて、魚や山菜が焼かれていた。
「お腹空いてるんですか?空いてますよね、どうぞ一緒に食べましょう」
体を優しく起こされ焚き火の方まで手を引いてくれる。
「はい、あーん」
魚も食べさせてくれる、………何故か断ると悪い事が起きる予感がした。
魚は内臓どころか、骨まで無かったが今まで食べた焼き魚で一番美味しかった。
山菜は何かの葉に包まれていてしっかり煮られていた、これも過去一美味かった。
魚と山菜を食べ終えると、また膝枕をしてくれて、童謡を口ずさんでくれていた。
「あなたは死にに来たのですか?」
突然の言葉に動揺してしまい、膝から落ちそうになるが、また体を抑えてくれた。
「自分の家に突然イノシシが死にに来たら嫌でしょう、それと同じです」
「いや、ただまい……遭難したんです」
言葉による返事はなく、代わりに手の平で目を抑えてくれて自然と眠りについた。
朝目覚めると知っている道に出ていた、お姉さんのひんやりとした手は、まだ額に感じていた。




