表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
顔ハメ看板部へようこそ!  作者: 伊藤テル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/19

【01 ハメ部 ~貴方は顔出しアリですか?~】

・【01 ハメ部 ~貴方は顔出しアリですか?~】


 どこか僕と似たような表情の人たちがいっぱいだ。

 それもそのはず、今日は高校の入学式。

 緊張した顔つきで、肩が妙に硬くなって歩いている。

 ちゃんと歩けているかどうかすら不安になる。

 桜はもう散りかけで地球温暖化って本当に大丈夫なの? と思ってしまう。

 四月にしては暖かい風が吹いていることは、風邪を引く心配が薄れていくことなので有難いけども。

 それにしても、友達できるかな、ちょっと家から遠い情報学科の高校に来たから、知っている人が誰もいないんだよなぁ、なんて思いながら校門の前まで来ると、普通の学校の校門には無いようなモノがあった。

 新入生歓迎の看板ならあってもおかしくはないのだが、その看板は顔の部分が穴になっていて、要は観光地でよく見かける、顔ハメ看板のようになっていた。

 たくさんの上級生に囲まれて祝福されている顔ハメ看板。

 とても笑顔に溢れていて、見ているだけで幸せになってしまうような不思議な顔ハメ看板。

 友達は勿論、知り合いすらいない高校を選んだ僕は、祝福への憧れもあり、魔が射して……本当に魔が射して、試しにハマってみると、

「おいおいハマったぞ!」

「うむ」

「しかもイイ感じの子!」

 という大きな声と頷きが次々と聞こえてきたと思ったら、どこからともなく三人の上級生だと思われる方々が現れた時、なんとなくこれはヤバイんじゃないか、と思い、冷や汗が背中を伝った。

 ……あれ、もしかすると僕は何かしらの罠にハマってしまったのか、と、ガクガクブルブル膝が震えてきた。

 逃げ出したい気持ちもあるのだが、体がすくんでしまい、うまく動かない。

 その場で顔をハメながらもたもたしていると、一番ガタイの良い、身長190cmはありそうな男性が僕にスゥッと近付いてきた。

 もしや殴られるのか、と思い、つい目を瞑ってしまうと、小声で

「目を、開けろ」

 と『歯を、食いしばれ』的な感じで言うもんだから、これは本当にヤバイと思っていると、

「おい! 陣! 怖そうにすんな! おもてなし! おもてなしでしょうがっ!」

 という声が聞こえ、その明るそうな声に釣られるように目を開けると、目の前には菩薩のように笑った三人の上級生だと思われる方々が立っていた。

 ちょっと気が緩み、口元も緩むと、ガタイの良い男性が写真をパシャリ。

 あっ、目を開けろって、そういう意味ね……。

 一番明るい感じの男声が満面の笑みでこう言った。

「君をハメ部に入れたいっ! 一緒にハメ合おうっ!」

 文字面だけ聞いていた周りの人達から、冷たい視線を感じた。

 まだ顔ハメしていて、正面しか見えていないけども、後ろから冷たい視線をザクザクと。

 すると助け舟を出すように、一番妙に艶っぽい男性が呆れながらこう言った。

「んもぅ、全く、決してぃやらしぃ行為じゃないのっ、ハメることによって二人が一つになるだけぇん」

 ……いや! この人、収める気全然無いな! この状況をめっちゃ楽しんでいるだけだっ!

 肌を突き刺すような視線が完全に吹雪になったところで、ガタイの良い男性が言った。

「ハメている、ところ、写真で、撮るだけだ」

 この一言が決定打になり、僕の周りに人はいなくなった……多分。

 不幸中の幸いは、僕の顔はこの三人にしか見られていなかったことだ。

 僕は一旦会釈してこの場を去ろうとすると、ハメっぱなしの顔を忘れていて、そのまま会釈してしまい、アゴを看板の板にぶつけてしまい「イタッ」と何よりも悲しい駄洒落を言いそうになったが、全く痛くなかったので、言わなかった。

 僕はその場を走り去った。悪そうな人たちじゃ無かったけども、二度と関わり合いたくないなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ