始まり
※この物語はフィクションです。実在のものとは一切関係ありません。また少々過激なシーンや人によってはかなり不快感を覚えるセリフがあるので苦手な人は注意してください。
[ざっくりとした歴史]
約700万年前 猿人が誕生
約650万年前 魔物(魔法という不思議な力を操る動物)から進化した原始魔族(知能は猿人と同じぐらい)が誕生
約240万年前 原人が誕生
約60万年前 旧人が誕生
約23万年前 現生魔族(本編に登場する魔族はこの現生魔族)が誕生。寿命が長く外見の老化が遅いのが特徴。
約20万年前 新人が誕生
約7000年前 人類初の国家である輪佐国が成立。同時期に魔族初の国家であるヴィーサーラ国も成立(どちらの国もいつ滅亡したかは不明)
約6500年前 魔法の発展により測量魔法が開発されユーシ川が世界を二分するように流れていることが判明。この時期に人類と魔族の共通語が開発される(古代ユーシ語)
約6000年前 人類と魔族の戦争が激化した為ユーシ川より北を魔族領、南を人間領とするユーシ条約が締結された
約5500年前 女神サーティーアを信仰する宗教(サーティーア教)が人類と魔族両方で流行。
5084年前 サーティーア教が人類側と魔族側両方の国で国教となる(この年を共暦1年とする)
共暦30年 人間領初の統一王朝である興格王国成立
共暦45年 魔族領初の統一王朝パラトール王国成立
共暦120年 悪政により興格王国が滅亡。8つの国に分裂(8国戦国時代)
共暦170年 行政機関の腐敗によりパラトール王国の経済が悪化。反乱によりパラトール王国滅亡。その後魔族内のうち7つの種族がそれぞれ国を作り分裂状態になる(7族21国時代)
共暦210年 8国の内の一つである海歌王国が人間領を統一(8国戦国時代の終焉)
共暦240年 王族同士の内乱により海歌王国滅亡。王族や各地の豪族がそれぞれ国を建て乱立状態となる(8王27国時代)
共暦860年 魔族領の東部に成立したアラッサ王国が魔族領を統一(7族21国時代の終焉)
共暦861年 アラッサ王国の国王が魔王を名乗る。これ以降魔族領の王朝では国王は魔王を名乗るようになる
共暦910年 人間領の南部に成立した亜過王国が人間領を統一(8王27国時代の終焉)
共暦1010年 世界的な大災害と疫病が発生。混乱の内に古代ユーシ語が消滅。その間人間領と魔族領の遺跡にそれぞれ様々な文字が記されるが全て未解読
共暦3030年 新たな人類と魔族の共通語である新ユーシ語が開発される(本編で話されている言語はこの新ユーシ語)
共暦3035年 魔族領の東部に新パラトール王国が、西部にガーラサ王国が成立
共暦3040年 人間領の統一王朝である穂賀王国にガーラサ王国が侵攻。北部の主要都市である代蘇が占領される
共暦3750年 人間領西部に成立した香委王国が穂賀王国を倒し統一王朝になる
共暦4010年 代蘇奪還の為に香委王国が新パラトール王国と組みガーラサ王国を攻める
共暦4011年 ガーラサ王国滅亡
共暦4014年 香委王国と新パラトール王国の関係が悪化し戦争に発展。香委王国の首都が占領され滅亡する。その後逃げ延びた香委王国の王族が人間領西部に西香委王国を建国
共暦4030年 人間領南部に雅夏王国が成立
共暦4550年 新パラトール王国が軍の反乱により滅亡。コーサス王国成立。同年西香委王国も軍の反乱により滅亡。鳳山帝国が成立
共暦4553年 鳳山帝国が人間領からコーサス王国を追い出す
共暦4570年 鳳山帝国とコーサス王国の戦争が激化
共暦5010年 コーサス王国でアッザール3世が即位。鳳山帝国の首都間近まで迫る
共暦5019年 現代日本から8人が転生。魔王討伐の為の遊軍として勇者パーティーが組まれる
共暦5024年7月25日 勇者パーティーがアッザール3世を倒すことに成功しコーサス王国が滅亡。鳳山帝国が人間領(雅夏王国は除く)と魔族領を統一
共暦5024年8月2日 コーサス王国の残党が旧魔族領の北部に存在する都市フラサールを中心として後コーサス王国を建国
共暦5025年4月5日 勇者パーティーの内7人が鳳山帝国の皇帝の弟を担ぎ上げ反乱を起こす
共暦5025年7月20日 鳳山帝国の首都が占領され、皇帝の弟が即位(興再帝)
共暦5030年2月6日 興再帝による勇者パーティー暗殺計画が失敗
共暦5030年8月5日 勇者パーティーのリーダーであるアヴィール=アラヴェージュが興再帝から皇帝の座を譲り受け即位(孝楽帝)
共暦5030年8月9日 興再帝が病死(実際は暗殺)鳳山帝国が滅び藤香帝国が成立
共暦5030年9月〜11月 鳳山帝国の皇族や遺臣達が各地に亡命政権を樹立。その中でも旧人間領東部に成立した東鳳山帝国と西部にある密林地帯に成立した西鳳山帝国(5033年から鳳雅帝国と名乗る)が有力になる
共暦5031年7月17日 藤香帝国により後コーサス王国が滅ぼされる
共暦5031年8月2日 孝楽帝の命により魔族の殲滅が決行
共暦5032年3月4日 藤香帝国が魔族が絶滅したと発表
共暦5033年9月8日 藤香帝国により雅夏王国が滅ぼされる
共暦5034年1月21日 藤香帝国により東鳳山帝国が滅亡
共暦5064年8月3日 本編開始
俺の名前はユセール=ホーピス。大都市ビギニンプールの近くにある小さな村に住む普通の男だ。俺は今この村で宿屋を営んでいるがそれだけでは残念ながら充分な金は得られない為基本的に午前中はビギニンプールで野菜を売っている。
「姉ちゃん。今日も行ってくるよ。」
俺は遺影に向かって言った。遺影に写っているのは私の姉だ。突然だがここで一つ昔話をさせてほしい。
姉は私より9歳年上だった。私達の両親は私が4歳の時に亡くなってしまった為姉は村の手伝い等をして金を稼ぎ俺を育ててくれた。決して豊かとは言えない暮らしだったが、父親の親友だった近所のおじさんがよく面倒を見てくれてたし姉との生活も特に貧しさを感じることもなく幸せな毎日だった。
だが姉は18年前の5月7日、俺が8歳の時に死んでしまった。その日の朝はいつもと変わらない朝だった。だがその日の夕方、いつもは午後5時までには学校から帰ってくるはずの姉が6時になっても帰ってこなかった。不安に思った俺は学校に連絡したが2時間前には学校を出たと返ってきた。そこで俺はおじさんと一緒に姉を探した。俺達が探している時いきなりパアンッという銃声が響いた。俺達は嫌な予感がし急いで音のした方向へ向かった。
そこで俺達は最悪なものを見てしまった。そう、姉が血塗れで倒れていたのだ。そして姉の近くには銃を持った見知らぬ男が立っていた。銃口からは煙が上がっている。俺は今すぐにでも飛び出したかったが身体が震えて動く事ができなかった。おじさんは咄嗟に男の顔を撮ったが姉の所に行くことはできなかった。やがて男が去っていくと俺達はすぐに姉に駆け寄った。俺は最初目の前の光景が現実とは思えなかった。いや思いたくなかった。だが抱きかかえた姉の冷たくなった身体がそれを現実だと物語っていた。最初俺は泣くこともできずただ呆然としていたが、姉の身体の冷たさを認識し現実だと分かった瞬間俺は泣き崩れた。そして今なら分かるが姉はただ殺されただけでなく身体を穢されていた。
警察に通報し家に帰った後俺達は改めて写真を見た。だがおじさんの様子がおかしい。犯人の顔を見た瞬間みるみる顔が青ざめていく。俺がどうしたのかと聞くとおじさんは震えながら
「こっ...この顔...帝国の重臣のゲラース=ユトラテスだ...」
「え?」
俺は耳を疑った。ゲラースと言えばビギニンプールの支配者で皇帝とも深い関わりのある人物だった。まあまだ当時の俺にはそこまでの事は分からなかったがとにかく偉い人だということは知っていた。
「恐らく警察は逮捕してくれないだろう...」
そして実際その通りになった。結局事件に関して深い捜査は行われず警察は捜査を打ち切ってしまった。そして俺は復讐を誓った。警察が逮捕してくれないなら俺がやる。
だがいくら決意をしたところで金がなければ生活できない。当時の我が家の主な収入源は姉が休日ビギニンプールに出て売っている野菜だった。姉がいなくなった今俺がやるしかない。しかし街に出て最初の数日間は全く野菜が売れなかった。そこで俺は女装をして客を呼び込んでみた。見た目を良くして人目を引こうと思ったのだ。今思うと何を血迷ったんだとは思うがそれだけ必死だった。結果元々中性的な顔立ちだからなのか女装の完成度は良くそこそこ客は増えた。ついでに俺は女装にハマった。
さて、俺はビギニンプールでの野菜の販売を終え家に帰った。午後6時ぐらいになった時突然老人がやってきた。
「すみません。一晩泊めていただけないでしょうか」
貴重な客なので俺はその老人を泊めた。老人が宿に入って30分経った時だろうか。彼は私に向かって
「貴方何か人には言いづらい悩み抱えてるのではないですか?」
と聞いてきた。私は驚き何故そう思ったのか聞いた。彼は一言
「勘です」
と言った。
「勘...」
勘かよとは思ったが俺は彼に事情を説明した。すると老人は紙に何かを書き、俺に手渡しこう言った。
「明日の午前7時までにここに戻ってこなかったらこの手紙を読んでください」
その後老人はカバンを置いてどこかに行ってしまった。翌日の午前6時50分俺は目が覚めた。何故だかその時私は嫌な予感がしてテレビをつけた。するとニュース画面に大きく「ゲラース氏の邸宅である雅華城が爆発。ゲラース氏重傷」
というテロップが表示されていた。昨日の老人は戻ってきていない。まだ7時にはなっていなかったが私は急いで貰った手紙を開けた。すると手紙にはこう書いてあった。
「私は鳳山帝国元将軍ハタール=アタースと申します。この手紙を読んでいるということは私は失敗したのでしょう。帝国が滅びてから私は残っていた部下達と共に藤香帝国への抵抗を続けていました。しかし軍は全滅してしまった。1人生き残った私は逃げる途中でここに立ち寄りました。私は逃亡生活中に持病が悪化してしまいもう長くありません。貴方の話を聞き最期に奴を道連れにしようと思いました。もしあなたに奴を本気で殺す気があるならカバンに入っている携帯からこの手紙の下にある電話番号に連絡してください。きっと力になってくれるはずです。カバンにはそこそこの金と武器と簡易的な医療器具が入っています。貴方の自由にしていただいて結構です」
それを見た俺は急いで手紙にあった番号に電話をした。相手は女性の声で、私が事情を伝えると
「位置情報を送るのでそこに来てください」と言ってきた。そして俺は車に乗り送られた位置に向かった。2時間程経ち道路の整備もされていない道を走っていた時俺は道端に人影らしきものを見つけ急停車した。急いで駆け寄ると女性が倒れていた。私は慌てて車を止め包帯を持って外に出た。
「大丈夫ですか!?今救急車を呼びます!」
と俺は女性に向かって言った。しかし彼女は
「待って...救急車は呼ばないで...ください...お願い...します...」
「何言ってるんですか!早くしないと死んでしまいますよ!?」
「病院に...搬送...されたらその後私はすぐに...殺されて...しまいます...」
「何を言って...」
と俺がふと彼女を見た時ある事に気付いた。彼女の頭から2本の角が生えているのだ。
「まさか...魔族...」
「そう...で...す...」
そして彼女は意識を失った。
[20分後]
あれから20分後彼女は目を覚ました。
「大丈夫ですか?分かりますか?」
「はい、ありがとうございます。ある程度回復しました」
見ると彼女の傷の大半は既に治っていた。
「あのさっき魔族だと言っていましたが本当ですか?」
「はい、私は恐らくあの皇帝の虐殺を逃れられた最後の魔族だと思います。所で一か八かで言ってみたのですが何故軍に通報しなかったのですか?私を突き出したら恐らく莫大な金が手に入ると思いますよ」
「私は帝国...と言うより帝国の重臣に恨みを持っているからです。」
「恨み?」
「実は...」
そして俺は彼女に事情を話した。彼女は成る程といった様子で頷いていた。そして
「なら私も連れて行って欲しいわ。それにここに長くいると...」
そう彼女が何かを言いかけたその時だった!
「危ない!」
と彼女が俺を突き飛ばした。次の瞬間俺の頭を弾丸が掠めた。
「今日は良質な素材が2人...とても運が良い。」
と弾丸が飛んできた方向から誰かが歩いてきた。そして俺はその姿に驚いた。歩いてきた男の顔は正に骸骨。身体も骨が見えるほど痩せており異形と呼ぶに相応しかった。そして異形が喋った。
「初めまして。私はゴラーニーニャ=ヘルダッカ。この世で最も優れた芸術家です。突然ですが貴方達は今から私の作品の素材となっていただきます。」
俺は奴の言ってる事が理解できなかった。その時彼女が鎌を取り出しゴラーニーニャに斬りかかった。だが怪我もあってか動きが鈍く簡単に躱されてしまった。ゴラーニーニャがまた喋った。
「その怪我でよくそこまで動けますねえ。これは最高傑作になりそうだ。」
「さっきから訳の分からない事言ってんじゃないわよ。」
「なら教えてあげましょう。私は人の死体を素材にして作品を作るのが趣味なんです。人はどんなに賢かったり強かったりしてもいずれ死ぬ。ですが私が作品にすることで新たな生命へと生まれ変わるんです。まあこの活動が国にバレたせいで師団長クビにされた挙句指名手配されてるんですけどね」
意味が分からない。というか分かりたくもない。彼女も同じ様に思ったのか今度は無言でレーザーのようなものを放った。人間でも魔法を使える者が一定数いるが魔族は全員使える。今度は男に当たった。だが頬を掠めただけなので大したダメージは入っていない。その時俺はバックから銃を取り出した。エアガンなら使ったことはあるが本物は使った経験がない。しかし今はそんなことを言っている場合ではない。だがいくら相手が化け物とはいえやはり人を撃つのには抵抗感がある。そうこうしてる間に彼女はみるみる追い詰められていく。その時彼女が言った。
「何ボサッとしてんのよ!お姉さんの仇取るんでしょ!こんな奴ですら倒せないなら夢のまた夢よ!」
俺はその言葉で決意を固めた。そして奴のナイフが女彼女の首に斬りかかるその時!俺は奴の脳天目掛けて銃を撃った!だが震えのせいかは分からないがそれは奴の額を掠めただけだった。しかしそれはゴラーニーニャにとっても予想外だったようで一瞬奴の動きが止まった。その一瞬を見逃さず彼女が鎌を振る!そして遂に鎌は奴の首を斬り落とした。私は何とも言えない達成感を覚えた。しかしそれはゴラーニーニャの首を見た瞬間消し飛んだ。人を殺した罪悪感。それが俺に襲いかかった。呼吸が荒くなる。
「ウッ!」
次の瞬間俺は嘔吐した。彼女は奴の首を私に近づけこう言った。
「よく見なさい。これが現実よ。目撃者のいない今なら私一人の犯行にできるわ。ただもしお姉さんの仇を取るまで諦めないというのならこの手を取りなさい」
俺は差し出された女性の左手を迷わず取った。
「そう言えば自己紹介がまだだったわね。私はサーティナ=アラステア。魔族最後の生き残りであり勇者達に討伐された魔王アッザール3世の娘よ。サーティナって呼んで。あなたは?」
俺は答えた。
「ユセール=ホーピスといいます。ユセールって呼んでください」
続く
この作品を読んでくださった方々へ。読んでいただきありがとうございました。
因みに勇者達は現代日本から転生したのに名前が日本人ではないのは単純に転生後は新しい名前が与えられてるからです。ついでに現地の言葉も話せるように女神がしています。
作品の感想、改善点等是非よろしくお願いします!
[追記]見返してみたらかなり文章が見辛かったので修正しました。
[追記2]展開はそこまで変えてませんが最初の方を変えました。他の話も変えていきます。




