「ドラゴンは待てない」
ナレーション
ちゃぶ台の上の黒電話は、朝から機嫌が悪い。
ジリリリリ……
ディコ・ピンゾロ:
「……はい」
ギルド職員:
「緊急です!
古代級ドラゴンが目覚めました!」
ディコ・ピンゾロ:
「……明日やる」
ガチャ。
ナレーション
ディコは布団に戻った。
今日は休むと決めている。
昼。
ナレーション
空が暗くなった。
雲ではない。
翼だった。
家の前に、巨大なドラゴンが着地する。
ドラゴン:
「人の子よ……
明日まで待てぬ」
ディコ・ピンゾロ:
「……来るの早い」
彼は縁側に座ったまま、逆モヒカンを掻いた。
ディコ・ピンゾロ:
「順番、ある?」
ドラゴン:
「?」
ナレーション
ドラゴンの後ろには、
なぜか中級モンスターが三体、並んでいた。
ディコ・ピンゾロ:
「……代表だけでいい」
ドラゴンが一歩、近づく。
ドラゴン:
「滅びの――」
ディコ・ピンゾロ:
「……近い」
カツン。
ナレーション
乾いた音が鳴った。
ドラゴンは、その場で丸くなって眠った。
後ろのモンスターたちは、静かに帰っていった。
夜。
ジリリリリ……
ディコ・ピンゾロ:
「……はい」
ギルド職員:
「ドラゴン討伐の件ですが……」
ディコ・ピンゾロ:
「明日」
ガチャ。
ナレーション
翌日。
ドラゴンはいなかった。
ディコ・ピンゾロは、今日も本気を出していない。




