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序章

noteにも投稿しています。 https://note.com/chakkun1121/n/nbe5dca19f646

 2045年春、AIの台頭により人間社会は大きく変わった。かつて人間が行っていた多くの作業がAIに置き換えられ、誰もが日常的にAIに支えられる生活になっていた。

 エンジニアの岩片藤吉はいつも通り新しいアプリを開発している。今の彼の仕事はアプリのアイデアを出し、それをAIに作らせ、AIが作成したアプリが安全かどうかを確かめる事になっている。最近のAIは12年前のとは違い、ほとんど完璧なコードを出してくれるが、12年前のこともあり、やはり、最後は作成物を確認するようにしている。最近は、「AIによって仕事がすごく楽になってくれたのはとても嬉しい。しかし、12年前から思っているけれども、やはり学生の頃のAIに補佐をしてもらいながら自分でコードを書いていたのも大変だったけれども良かったな。」と思うようになってきた。ベーシックインカム制度によって安定した収入が見込めるけれども仕事をするのは、単に楽しいだ。

 今日の仕事を終え、岩片藤吉は仮想上の旅行へ出かけた。今では家の中にいながらも仮想上で世界中のどこにでも行けるようになった。最近では世界の奥地へと行くのが趣味となっている。しかし、「いつかお金をためて実際に行けたらいいな」とも思っている。

 一方、神代秀世は長年勤めた会社をAIの導入によりリストラされてしまった。これまでの経理業務はすべてAIに置き換えられ、人間の仕事は不要になってしまった。突然の解雇に動揺したが、神代は落ち着いてベーシックインカムへの申請手続きを済ませた。几帳面な性格から、計画的に備えは万全だった。退職後は専らひとり暮らしの自宅で過ごすことになった。庭の手入れが日課となり、20年前ぐらいからやっている園芸は彼の生きがいになっていった。時には仮想旅行に出掛けることもあったが、やはり実際の草花と触れ合うことが何より好きだった。「AIだけに頼っていては、人生が偏ってしまう」そう語る神代は「AIによる生活は便利だが、何か物足りないな」と感じていた。仕事を奪われた喪失感もあってか、AIへの違和感は常に心のどこかにあった。

 また、生越蒼生は2045年、AIを活用した新しい教育システムの開発補助に携わっていた。かつては教育ベンチャーで中心的な役割を担っていたが、AIの台頭によりその立場は変わった。今や生越の役割は、AIが生成したシステムの監査と微調整が主だった。「AIには人間の気付きや発想は備わっていません。でも、私たち人間には面白いアイデアを出す力がある」そう語る生越は、人間ならではの創造性を自負していた。机に向かい、AIが生成したシステムを確認しながら、学習者の心理に寄り添った改善点を見つける作業に日々を費やしていた。「今の子供たちには、人間性を学ぶ機会が不足しているんです。AIだけでは足りないところを人間が補完する、それが私たちの役割ですね」仕事が終われば、生越はVRゲームの世界へと没入する。最新のAIが生成した臨場感あふれるゲームに夢中になり、さまざまなキャラクターや世界を体験していた。時にはフィットネス用のVRシステムで運動を楽しむこともあった。「現実とバーチャル、どちらも大切にしないと。リアル過ぎてもいけないし、バーチャルにドップリ浸かってもいけない」そう生越は語る。AIに振り回されることなく、自身のライフスタイルを大切にする生越の日々が垣間見えた。

 このように、人々は今では、AIに頼り切った生活を過ごしている。スーパーやコンビニ、レストランへ行っても人ではなくAIが対応するようになった。更には、20年前にはサラリーマンと呼ばられいた仕事もすっかりとAIに取られてしまった。今や仕事がなくなった人も出てきて、ベーシックインカム制度によって生活する人も多くなった。また、技術の進化によって家の中から一歩も出ずに、世界中のどこにでも仮想上行けるようになった。もちろん、家の中にもたくさんのAI搭載の機械があり、家事は当たり前で更には話し相手にもなってくれる。

 また、前から起きると予想されていたシンギュラリティは予想よりも早く起き、AIがAIを作ることで凄まじい勢いでAIの精度が向上していった。

 しかし、人々の中にはこのようなAIが人類を滅亡させるのではという人々も出てきた。実際に、今年の1月に行われた選挙では生成AIによる偽情報により世論操作がおきた。推定ではSNSへの投稿の9割以上がAIによるものだったらしい。このようなことが起きてしまったため、政府は臨時で選挙を延期し、ネット上で選挙関連について議論することを禁止する事になってしまった。そのようなことを防止するために裏では碧月夜を中心とする特殊部隊が秘密で組織されていた。


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