福田VS四天王!
「次の証言者、カモン!」
あっ、次はちゃんと人間だ。誰だろ?
「フクダサンハネェ、ヒドインデスヨ」
「…………ナグラさんでしょ」
「…………チガイマスヨ。匿名Nデス」
「まず『匿名N』とかこっちの人は言わないよ。それに名字の頭文字だろ、Nって。
なによりも、自分で声を高くして喋ってる! 絶対に日本のテレビを見た事のある人だ!」
テレビのインタビューとかで誤魔化す時に声を変えるけど、アレを真似してるんだろう。
でも高くなってる(裏声?)だけだから、すぐに判る。
「福田くん、特定は止めてください」
「いやトムさん。そう言われても判ってしまうし……」
「シャラップ! 匿名さんなんです! では続きをどうぞ」
まぁ、良いけどさ。
そういう事にしておこう。匿名Nさんね。
「フクダサンハネェ」
「ちょっと待った。もう良いから普通に喋ってくれないか? 聞きにくいから」
「しょうがないわねぇ。あっ、喋りやすい」
「やっぱナグラさんじゃないか……いえ、Nさんですね。了解で~す」
「では改めて。四天王をコキ使ってるのは明白です。以上!」
「簡単だな! そして証拠も無し!」
「明白なので、証明する必要はありません。よってギルティ! 有罪です! 異議あり!」
「“異議あり”は関係無いだろ。言いたいだけだろ!」
「とにかく! 証人がこのように複数居る以上、福田さんが悪いのは明白でしょ」
「それこそ異議アリだ! もしこれが裁判なら、こちらには弁護士が必要だ!」
「弁護? 福田さんを? ふふん、良いでしょう。そのような人が居るなら呼んでみれば良いですよ」
「強気だな、トムさん」
「だって、各国の王様やカンキジコンビやコタニさんは、もうこちらで抑えているからね」
根回し済みかよっ! 汚い!
「福田くんのやり方は熟知してるのよ! 権力者に頼って解決するんでしょ!
異世界転生者なんだから、自分のチートで解決しなさいよ!」
「いやいや、運しかチートじゃない人間だぞ? ……ん? じゃあチートで解決しても良い?」
「は?」
「だから、チートである運を使って、四天王を倒す方向で……」
「…………毒怖い……………………鱗ヲハガレル………………………………」
「止めて! タローのトラウマが発生してるわ! 卑怯者!!」
え~、チートを使えって言ったのに、使おうとすると卑怯者呼びかよ~。
大体さ、ラノベのチート持ち主人公だって、結局魔法攻撃か物理攻撃でのゴリ押しだろ。
他にチートってあったっけ?
あっ、内政チートってのもあったな。それで行くか?
「じゃあ、給料出しますんで」
「お金貰っても使い道が無いので却下」
「そういうサキは自分の使い魔にデザートとか買って来させてるじゃん。金居るんじゃね?」
「試練のダンジョンで稼いでるので問題ありませ~ん」
ちっ! 俺を最後の試練にしやがった場所か。
そう言えば有料だった気がする。
しかし給料はダメですか。
じゃあ他には……そうか、ホワイト企業を目指せば良いのか。
「なら、7日に1度休みの日を決めて、その日は使わないってのは?」
「呼ばれない日はほぼ休みみたいなモノなんで……」
確かに! そしてそれをジローに言われると、ちょっと悲しさがあるね。
ゴメンよ、もっと呼ぶ事にするよ。あれっ? 呼ぶなって話だったっけ? 混乱してきた。
「待て待て、混乱してきた。ちょっと落ち着こう。
そっちの意見は判った。で、要望はなんだ? 単純に『呼ぶな、使うな』って事でOK?」
「それもあるけど。私達についたイメージの払拭ってのもあるわ」
「イメージ?」
「だから! 怖がられるでしょ! それよ!!」
なるほど。そういう事ですか。
……んんっ?! 待て待て!!
「それ、おかしいだろ。俺が関わる前から怖がられてたと思うけど」
「そ、そんな事は無いわ」
「目を逸らしながら言うな。
だってさ、例えばタローの居るダンジョン。最下層にドラゴンが居るって知ってるから、誰も最下層まで行かないだろ。
ジローの所も同じだろ。払拭したら訪れる人が出てくるんじゃないの? それでも良いの?」
「それはそれ、これはこれよ」
「ズルい! 開き直った!」
う~む。
って事は、怖がられて最下層に来られないってのはデフォルメだけど、恐怖の象徴ってのはイヤって事?
……矛盾してね?
あぁ、俺が使い魔として使うから、ダンジョンに来ない一般人にまで知られたのがイヤだって事か。
うむ、理解出来た。
そして、解決がとても困難って事も理解出来た。
う~ん、どうしよ。
「ま、何となく理解した。
じゃあ、こちらの意見も聞いてもらって良いか?」
「ふふん、良いでしょう」
「じゃあ、まずは此方側の証人と言うか、意見を言ってくれる人を呼ぶよ?」
「居るとは思えないけど、どうぞ~」
「じゃあ、連れてくるから、ちょっと待っててくれ」
さて、今日はどこに居るかな?
もう一話続きます。




