level29 ボクっ子姫とエールちゃん(ママ編)
エール・イイコナ・ドラグーン
誰かに聞かれた時にボクの妹という
ことにして仮の名前をつけたんだけど、
いいな・・・イイコナってミドルネーム。
みんな忘れてるかもしれないけど、
いや忘れてほしいけど!
ボクなんかナイチチだよ!?
はあ・・・
「私産んだ覚えないんですけど・・・」
「え?メルヴィルさま何か言いました?」
「いえ?別に・・・後は喋ったり学んだり出来るようにしたいですね。」
「え?出来るの!?」
「出来ますよ、ドラゴン族はもともと人間より頭がいいですから。」
「じゃあ教えてみよう!」
と、いうことで今回はボクとアリアちゃん、マルチちゃんで教えることになった。
「ママ!マ~マ!!」
「おかあさま・・・」
二人とも自分を指差して一生懸命教えているけどエールは欠伸をして眠そうだった。
「全然ダメみたいだね?」
「もっと根気よく教えないとダメかなあ、でもあたし頭悪いしなあ・・・」
「ではアリア様は姫さまのパートナーを辞退ということで・・・♪」
「誰がいつそんなこと言ったのよ!?まだまだやるわよ!」
「それでこそ我が宿敵ですわ・・・」
お互い睨みながら苦笑いしているよ、仲がいいのか悪いのか?
「あれ?エール?どこ行くの?」
エールは飽きたみたいでどこかに行こうとしている、後ろから抱きついて動きを止めた。
「翼が女の子を呼び捨てにするなんて珍しい、というか初めてじゃない?
なんで?」
「え?だって娘だからいいかなあって思って・・・ダメ?」
「なんかズルい!あたしもアリアって呼んでよ!」
「我が下僕、牝豚マルチとお呼びください・・・」
「いや、呼ばないから!」
三人で色々言い合ってるうちにエールはボクの手の中から居なくなっていた。
「ちょ、ちょっと待って!エールがいなくなってる!」
「え?どこいっちゃったの?」
「探しましょう・・・」
ボクたちは手分けして探すことにした、どこ行っちゃったんだろ?
「エール!エール!?」
親だって、娘だって思ったばかりだったのに・・・
こんなことしちゃ親失格だよ・・・
「メルヴィルさま、エール見なかった!?」
「エールちゃん?いいえ、見なかったですけど・・・」
「どこいったのかなあ、心当たりない?」
「う~ん、私にはわかりませんけど、子供って小さいときはやっぱり親が一番好きなんじゃないですか?お母さんの匂いとか・・・」
「匂い?もしかして・・・」
ボクはメルヴィルさまの言葉をヒントにある場所に来た。
「いた・・・よかった。」
エールはボクのベットに寝ていた、昨日は一緒に寝たからボクの匂いを覚えてたんだ・・・
臭いとかじゃないからね!
「エール・・・」
ボクは寝ているエールの頭を撫でながら名前を呼んだ。
暫くしてアリアちゃんとマルチちゃんも部屋に来て寝顔を見てた。
やがてエールはゆっくり目を開けてボクの指を小さな手で握り言った。
「まま・・・」
え?え?ボクがママ!?
パパじゃないの?




