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JINさんとお兄さん

週明け、登校中に春臣を見つけた。

「春臣!」

「海凪」

爽やかな笑顔だな。

「土曜日はありがとな、楽しかった」

「うん、俺も楽しかった」

「春臣って柳木とか上村にMIOのこと話してる?」

「言ってない、というか言いたくない」

「だよねえ、じゃあゲームの話は内緒で」

「うん」


それからというもの、戦バニで俺がどこかのチームの助っ人に入ってるとJINさんとMIOが対戦を挑んで来るようになった。

メンバーの中には緩くやりたい人も多いので、JINさんとMIOが対戦相手と知ると、

「無理だからっ!!」

と対戦拒否。

そうなんだよね、コテンパンにされるのがわかりきってるから強すぎる相手だと実力差が有りすぎて逆につまらないということになってしまう。

かと思うと、

「JIN・MIOと手合わせできる!」

と単純に喜ぶチームや、

「なんなら倒してこっちのチームに引き摺り込む」

と息巻くチームもあり、対戦するならスナイパー必須ということで俺が呼ばれるパターンが増えた。


味方だと頼もしいけど、敵だと脅威になるJINさんと MIO。

対戦する機会をチャンスと捉えよう。


JINさん、 MIO共に対戦しているうちに弱点が見えてきた。

JINさんは体が大きい割に動きは俊敏だが、言い換えれば的が大きいとも言える。

あまり動かなくても倒せてしまう異様な強さが仇となる。動かないでかい的は狙いやすいのだ。


MIOは最大の武器である脚だ。

本当に MIOの脚の速さは脅威なんだ。

いくら離れたところで狙っても見つかったら最後、あっという間に距離を詰められる。

そうなるとこちらが不利だ。

しかし、その脚を狙えれば俺に軍配が上がる。 MIOの脚は長所でも短所でもあるのだ。


俺の弱点は接近戦だ。

ある程度距離を確保できればほぼ100%命中させられる。

しかし、黒ウサギの耳と鼻を狂わす音や匂いを出されると検知が鈍る。

黒ウサギは優秀なので検知できないことはほぼないが、鈍るだけでも大事だし、やられてしまうこともまあまあある。


こうやってみんな経験を積んで強くなっていくのが面白い。


お兄さんは時々、

「今からできる?」

と聞いて来て都合が合えば、二人でチーム組んで対戦することがある。

MIOがいる時もあるし、いない時もある。

最初はいつも3人だったが、いつしかお兄さんと二人のことも多くなってきた。

「 MIO、誘わなくていいんですか?」

と聞くと、

「春とはいつでもできるし」

と軽い返事。

春臣と都合が合わない時でも戦バニをやりたくて仕方ないらしい。

謂わば俺は春臣の代わりといったところだろうか。

でも、いいのかなあ。


もちろん、 MIOと二人の時もある。

MIOとやる時はそのスピードに慣れたいから、フルスピードでとお願いする。

MIOのスピードに対応するには慣れるしかない。

最初のうちはスピードについていけず、8:2で負けていたが、だんだん慣れてきて6:4くらいまで勝率を上げられるようになった。

春臣に、

「しばらくジムに籠る」

と言わせるくらいまでになったので自信になった。


この辺りでレベルアップしたいと考えていたようで、 MIOは本当にジムに篭った。

そんなこともあって、一人でやるしかなくなったJINさんが俺を誘ってくるのだ。

「NAGI、俺と遊んで」

「JINさんは MIOと組んでるじゃないですか」

「春、来れないし」

「それはレベルアップするためにジムに篭ってるからで……」

「わかってるけどさあ」

「待ってあげてください」

ふっ

「葉山くん、優しいよね」

「普通ですよ」


「なあ、聞いてもいい?」

「はい」

「春にスマホの買い替えのアドバイスくれたのってもしかして葉山くん?」

「そうです。連絡先がすごいことになっててどうしたらいいか聞かれたので知らない番号に変えた方がいいと思って」

「俺も父さんや母さんも、春がモテるのは知ってたんだよ。しょっちゅう女の子来るしな。でもコロコロ相手が変わりすぎるのが謎で。母さん心配しちゃっててさ、『春ちゃん、大丈夫? 軽すぎない?』って」

ですよね。


「で、詳しく聞いたら、告られた相手全員と付き合ってたって言ってて驚いた」

「それは俺もビックリしました。

でもよく話を聞くと、最初に告ってきた女の子から、好きって言われたら付き合わなきゃいけない、断ったらダメなんだよって言われてそれを真に受けちゃったみたいです」

「マジで?」

「好きでもないのに断らないから、女の子が次から次へと来ちゃってたってわけです」

「なるほど……って言いたいけど、春はバカなのか?」

「春臣の家族にこんなこと言うのはどうかと思いますけど、大バカだと思いますね」

「あははは!」

「好きじゃないなら断っていいと教えたと言うか、当たり前のことを言ったら、それからは断っているようです」

「葉山くんが止めてくれてよかったよ、本当危なっかしい」

「俺もそう思います」


「勝手なお願いなんだけど、これからも春のこと助けてやってもらえないかな」

「俺にできることでいいなら……」

「頼むよ」

ふっ

「お兄さん、ブラコンですよねw」

「ブラコンじゃねえ」

「いやいや、立派なブラコンですよ」

「……ちょっとだけ自覚ある……軽度」

くくく。

「春と5歳離れてるだろ? 学校一緒になることがほとんどなくてさ、心配だったんだよね。家では兄ちゃん兄ちゃんって懐いてくれるのがかわいくてさ」

「あはははは!」

立派なブラコンだ。

「戦バニでは俺を助けてよ」

「逆です、こっちが助けられてます」

ふはっ!

「んじゃ、やるか」

「はい」


こうしてJINさんと二人で組んで対戦することはますます増えていった。

組ませてもらってわかったが、JINさんタイプと組むと接近戦で戦えるようになる。

試しにJINさんのそばでやってみたのだが、

距離詰められると圧倒的に不利な俺が、

JINさんがいることで接近戦でも落ち着いて対処できる。

要するにがっちり守られていると非常に動きやすい。

近距離でも撃てるようになった。

これによって倒せる確率がグンと上がったし自信になった。

そうなると俄然楽しさも増す。

俺とJINさんは暇さえあればチーム組んだり、時にはやり合ったりして遊ぶようになっていた。

お兄さんから、

「うちでやろうぜ」

と呼ばれて春臣がいない時に家にお邪魔させてもらうことがあったり、戦バニ以外にもゲームの展示会に行こうと計画立てたり、映画観に行ったり、仲良くさせてもらって俺は夢のようだった。

MIOがジムから戻り、実戦に復帰するのがもうすぐになってもそれは続いた。

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