表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/36

第17話-B 中学3年生 ~納得~

少し間が空いて、桂花がその場を離れた後──


晴基は、前を向いたまま、ちらっと健斗を見る。

「健斗さぁ」


「ん?」


「……由奈のこと、ちょっと気にしてる?」


健斗は一瞬だけ動きを止めた。

「は?」


晴基は特に笑いもせず、淡々と言う。

「今さ、なんかムッとしてた気がした」


「ムッとしてねーし」


「太田と由奈が一緒に歩いてたとこ。あれ、あんま面白くなさそうだった」


健斗は小さく舌打ちして、前を見る。

「別に」


「ふーん」


少し間があってから、健斗がぼそっと言った。

「……由奈ってさ」


「ん?」


「別に太田じゃなくても、誰とでもああなるよな」

感心なのか、文句なのか、自分でもよく分からない言い方。


晴基は少し意外そうに、健斗を見る。

「なにそれ。急に」


健斗は肩をすくめる。

「いや……誰とでも普通に話せるの、地味にすげーなって思っただけ」


「なに、元カノと比べてんの?」


「ちげーよ」

健斗は首を振った。


「由奈ってさ、誰とでも話すし、話してると相手も楽しそうじゃん。

俺ともさ、昔、バカみたいに言い合ってたし、

それなりに、いろんな話もしてたし」


一瞬、言葉を探してから続ける。

「ああいうの、誰とでもできるわけじゃねーんだなって思って」


晴基は、少しだけ口元を緩めた。

「今もさ、由奈とまた言い合えばいいじゃん」


健斗は、少し黙ってから苦笑した。

「ははっ、なんだよ、それ。

由奈、今は太田と楽しそうだし」


それを聞いて、晴基は小さくため息をつく。

「でもさ、それって健斗が引く理由にはならなくね?」


「別に引いてるとかないし。由奈なんてカンケーねーし」

それ以上は言わず、黙る。


二人はそのまま歩き出す。


しばらくして、晴基が空を見上げながら言った。

「由奈さ、目立たないけど、わりとモテるよな」


健斗は素直に頷いた。

「あー……それはある」

少し驚いたように付け足す。

「ってか、晴基もそう思ってたんだ」


晴基は軽く笑う。

「まぁ、同じクラスだし、見てればわかる。

小学校の時からさ、なんかそんな感じしなかった?

目立つタイプじゃないのに、いつも人の周りにいるっていうか。足立とかさ」


健斗は「足立」の名前を聞いて、胸の奥が少しざわついた。


晴基は、健斗の目が一瞬泳いだのを、見なかったことにして続ける。

「じわじわ来てさ、気になっちゃうタイプ?」


健斗は少しだけ目を見開く。

晴基は、健斗の反応を横目で見ながら言う。

「なんとなく、男に『好き』って言わせない空気あるじゃん。なんか、線ある感じ」


健斗は、由奈と話していた男子たちの顔を思い浮かべる。


「優しいし楽しいし、話も聞いてくれるのに、詰められないっていうかさ」

晴基は続ける。

「だから、仲いいまま時間だけ過ぎて。

そのうち由奈は、別の男子とも普通に仲良くしててさ。

『あれ?俺だけじゃなかった?』ってなってそう」


晴基は少し間を置いて、言った。

「由奈のこと、ずっと気になってる男子、結構いそうだよな。

告白させない感じもあるし」


健斗は、妙に納得して黙り込む。

(今の太田も、そうなのか?)


そして、小さく息を吐いて言った。

「……それ、付き合えてたらどうなってたんだろって、ずっと考えちゃうやつだな」


晴基は健斗の横顔を見て、ふっと笑う。


健斗が低く呟く。

「由奈の“特別”ってさ……分かりにくそうだよな」


晴基は何も言わず、そのまま前を向いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ