ハンバーガー
ベスを送るのに屋敷に向かう。皆、砂漠の砂で汚れているし、屋敷で風呂に入って行くと良いとベスに言われる
「エド、良ければハンバーガーを作って欲しいですわ」
「良いけど、ワームのハンバーガーの話を聞いて嫌になったかと思ったら、そうでもないんだね」
「食べたことがないですから、気になりませんわ」
砂だらけなのもあって、風呂に入らせて貰えるのはありがたいし。ベスが気にならないのなら、ハンバーガーを作るくらいは問題がない。屋敷の料理人とも仲良くなったので、手伝ってもらえそうだし、すぐに作れるだろう。
「それならフライドポテトと炭酸の飲み物を作りたいな」
「フライドポテトと炭酸ですの?」
「うん、フライドポテトは芋を揚げるだけだね。炭酸は簡単な物だとジンジャエールかな? 屋敷の調理場に必要な素材はありそうだ。コーラも作ってみたいけど素材が多いから難しそうだね」
「楽しみにしていますわ」
屋敷に着くとまずは風呂に入って汚れを落としていく。綺麗になった後に、調理場に行って料理人と相談しながら料理を作り上げていく。ハンバーガーもフライドポテトも簡単だが、炭酸の飲み物が一番大変だった。炭酸水は俺が魔法で作れるのだが、混ぜ合わせる元となるシロップ作りが時間がかかった。
「できたよ」
俺は順番にハンバーガー、フライドポテト、ジンジャエール、コーラと説明していく。コーラに関してはまだ完成していないので、時間がある時に試作したいと伝える。
「パンに挟んだ料理なんですね」
「基本はそうなんだけど、作り方にもこだわりがあるみたい。食べ方は自由だけど手で食べるのが普通かな」
「分かりましたわ」
俺は料理人と共に作ったハンバーガーの作り方を説明する。作り方は色々あるが今回作ったのは、繋ぎなしの挽肉を混ぜないで丸にしてから押しつぶす作り方だ。
「聞いていると作り方は簡単ですが、美味しいですわ」
「実際作り方はそう難しくはないね」
フライドポテトについては似たような食べ物もあるため、飲み物と合うと言いながら食べている。
「この飲み物が独特ですわ」
「炭酸か。お酒ならありそうだけどね」
「確かにありますが、ここまで甘い物はないですわ」
「大量の砂糖を溶かしているからね」
アルバトロスにはシードルのようなお酒もあるのだが、発酵が進むと甘さがなくなるので、確かにここまで甘い炭酸の飲み物は無さそうだ。アルバトロスに飲酒年齢などないのだが、俺たちの年齢だと飲んでも少量だ。
「コーラは完全に出来上がってないけど、料理人と一緒に作ったから改良してくれるとは思う。炭酸水は魔法使いじゃないと作れないけど、俺とドリーなら作れるかな?」
「エドとドリーしか作れないのですか?」
「教えれば作れそうだけど、作ってみる?」
「やってみますわ」
水から作ると必要な魔力が増えるので、水は用意して、二酸化炭素について説明して作り出そうとする。
「にーちゃ、出来たよ」
「ドリーは以前に教えているから出来るとは思ったけど、随分と早くできたね」
「うん!」
次にフレッドが炭酸水を作り出すことに成功した。
「拙者、エド殿とドリー殿を手伝っていたからか錬金が安定した気がしますな」
ベスとリオも成功して、そのまま炭酸水を飲んでみると甘くはないが面白いという。特にフレッドが気に入ったようだ。
炭酸水を作っている間、アンが暇そうだったので、コーラの作り方を教えると試してみたいと、調理場に行って試作をしていた。
「兄弟弟子が最近料理に凝っているので、素材を譲って貰いました」
「料理を?」
「エドの考えた薬草を使った料理を手伝っているうちに料理にはまったようで、コーラも薬草を入れたら面白そうなので作り方を教えてみます」
「それなら炭酸水も渡したいけど、密封しないと炭酸が抜けて行くんだよね。お酒の瓶とか貰ってきて渡しておくよ」
「ありがとうございます」
ハンバーガーの試食も終わったし、ベスがレオン様にハンバーガーの紹介をしてくれると言うので、協会に帰ることにする。
ジョーの部屋を訪れると、ジョーが作業をしていた。
「ジョー」
「エドか丁度いいんじゃ。レオン様に説明するための金属と、ステンレスが出来上がったぞ」
「もう出来たの?」
「エドから頼まれたことを応用すれば、簡単じゃったようじゃ」
「分からなくもないけど、クロムをどうやって分離させたの?」
「温度管理と魔法で無理やりやったようじゃな」
「力技だね」
炉を使うのに結局徹夜をしたのだろう。メアリー様にお願いしたのは無意味だったのだろうか?
「作ってくれた人は怪我は無かったの?」
「見張りに魔法使いを一人付けたようじゃな」
「見張りの人は大変だっただろうな…」
「いや、見張りも楽しくなってしまって、見張りの意味はあまりなかったようじゃぞ。人選を失敗したようじゃな」
魔法使いの見張りに魔法使いはダメだったか…
「流石にまだ技術を外に出せないので、エドたちの分と矢を作って貰ったんじゃ」
「ジョー、ありがとう。砂漠を越えようかと考えていたから、装備が強化できるなら助かるよ」
「もう砂漠を越える予定なのか?」
「ワームと今日戦ってきたから、準備ができれば砂漠を越えることになるかな」
「ワームと戦ったじゃと?」
俺はワームと戦ったら大変だったとジョーに説明する。
「倒しておるのか、ワームはどうしたんじゃ?」
「ぶつ切りにして持って帰ってきたよ。流石に普通の収納の魔道具には入らなかったから」
「大きい収納の魔道具を作って持って行くべきじゃな。それと、ワームを倒したのなら装備を作るべきだと思うぞ。ドラゴンの鱗も使っておらんじゃろ?」
ジョーからワームは滅多に手に入らないが、魔道具にすると性能が良く、さらにドラゴンの鱗があればかなりの装備ができそうだと説明される。
「多少時間はかかるが作ると思うが作っておいて損はないと思うぞ」
「それなら作ろうかな。ワームと戦うのは大変だったから楽に倒せるなら倒してしまいたい」
「聞いた限りはそうじゃろな。多少時間はかかるが、新しい金属もあるしワームが手に入ったと言えば更に喜んで作り出すんじゃ」
「それは…良いのかな?」
ワームは十メートル近いし二十匹もいたのだから素材としては大量にあるから、使って貰って良いのだが、また徹夜になるのでは?
「安心するんじゃ、久しぶりに自由に作れるんじゃ皆楽しむぞ」
実はジョーも一ヶ月近く同じものを作り続けた結果、飽きてしまって素材を自由に何か作りたかっただけなのかもしれない。
これは止められそうにないと、好きに素材は使ってもらう事にして、お金に関しても好きに使って良いけれど、無駄遣いはして欲しくないと伝える。
「エドたちが持っている素材で足りるじゃろし、人件費も豚骨ラーメンで骨を貰っておったし相殺できる気がするんじゃ」
「そういえば、骨の代金って受け取ってないかも」
「粉になって保存はされているので、無くなったわけじゃないがの」
「そう言うことか」
それでもオークの骨は今では依頼を出して注文する物になっているため、お金を払わないのはどうかという話にもなっているとジョーが教えてくれる。
「それと装備を作る時に、エド、ドリー、フレッドに手伝ってもらうつもりじゃ。三人とも技術は十分にあるしの。ドリーには危険なことはさせないので、安心するんじゃ」
「分かった」
作る装備について相談してく、作ったばかりな気もするが金属でできた武器防具は作り直す事になった。空を飛ぶようの杖に関しては、凶悪犯を捕まえるのに大量に作られた物があるので、借りるか買い取ろうと思っていたが、買い取って余っている宝石を埋め込んで杖を改造する事になった。
「服に関しては完成してしまっているのもあって、改造は難しいんじゃ」
「服は温度管理も付いているし、砂漠を越えるのには十分な性能だよ」
「ダンジョンの奥に進むなら、変えれる時に装備は更新するんじゃ。エドたちは進むのが早いので、装備を使い捨てにしている気分はあるじゃろが、その時に必要な装備は重要じゃぞ」
ジョーに言われて気づく、まだ使えるのにと言っていて死んでしまったら意味がないのだし、俺たちは自分で装備を作れるのだから、必要な装備を作って装備すべきだ。
「ジョーの言う通りだね。魔獣によって装備を変えていくよ」
「エドたちの実力ならば余裕で進めるかもしれんが、装備に頼れるなら頼ってしまうんじゃ。装備を使いこなせるのもエドたちの実力じゃしな」
「うん」
ジョーに装備を作るのは何日か掛かるので、その間は毎日でなくてもいいが、手伝って欲しいと言われる。俺としてもベスの腕輪がもう少しで完成なので、作り上げてしまいたいので、何日か物作りをする事になった。
「ワシが声をかけて準備をするので、エドたちには明日手伝って欲しいんじゃ」
ジョーが他の魔法使いに声をかけてくれるようで、お願いする事にした。ダンジョンに行く暇がなさそうなので、アンにどうするかと聞くと、手伝いたくはあるが、無理そうなのならコーラやジンジャエールのシロップを作りたいと言うので、協会で場所を借りて作るのも良いかもしれないと伝える。
「それなら兄弟弟子を連れてきても良いですか?」
「良いよ。迎えに行くから一緒に来てくれれば通行証を発行して貰うよ」
調理場も使えるように交渉しておく事にする。ラーメン作りも頼んでいるので、確認する必要があり、皆で行ってお願いすると快く受け入れてくれた。むしろ新しく作ったものに興味あるようなので、ハンバーガー、フライドポテト、シロップの作り方を教えておく。
ラーメンの試食をした後は、今日は解散としてアンを送って休む事にする。
次の日、ベスとリオに昨日の話をするために会いに行く。
「分かりましたわ。私も手伝いに行きますわ」
「家のことは良いの?」
「両方手伝いますわ。装備作りは私にはあまり手伝えそうにありませんし、お父様の手伝いが多くなるとは思いますわ」
リオにも聞くと、同じように手伝ってくれるようで、ドリーと一緒に手伝ってもらう事になりそうだ。
「魔法協会は久しぶりですわ」
「一ヶ月ぶり?」
「お祖母様と話したきりですわ。協会に来たらお祖母様に挨拶すべきですわね」
確かに、リオなんて初めて協会に来たと思うし、メアリー様に挨拶しておくのが良さそうだ。
アンをこのまま迎えに行こうと思っていたが、ベスとリオが一緒なのでフレッドに迎えを任せる事にする。協会について俺たちが降りるとフレッドがアンを迎えに行った。
「それじゃ図書館に行こうか」
リオの通行証を貰ってから図書館に向かう。リオは図書館に向かうのか不思議そうだが、ドリーがリオに事情を説明してくれた。
「メアリー様」
「エド、それにベスとレナード王子かい」
「はい。俺たちの装備を協会で作って貰うので、手伝いたいと言うので連れてきました」
「錬金流派の魔法使いが騒がしいと思ったらそう言うことかい」
ベスとリオが挨拶をすると、メアリー様も挨拶を返している。俺はステンレスがすでに出来上がったことをメアリー様に報告する。
「ああ、聞いたよ。こんなに簡単にできるとはね」
「ジョーが言うには無理やりやった部分もあるようですが、技術を使いまわせたようですね」
「それでも早すぎるね」
ベスがステンレスが出来たことを聞いていないと言うので、確かに言い忘れている。レオン様に報告しないとダメなんだった。ジョーに説明に向かって貰ったほうがいいかもしれない。
「お父様もそんなにすぐに出来るとは思っていないでしょうから、帰ってから伝えますわ」
「ジョーが説明に行けるようだったらお願いするよ」
「分かりましたわ」
メアリー様と別れて、ジョーの部屋に向かうとすでに装備作りは始まっていて、俺たちが部屋に入ると身体計測されていく。
「エドたちはまだ成長するからしっかり測るんじゃ」
「分かるけど、逃げないから捕まえるように測らないで…」
「皆、楽しみなんじゃ」
魔法使いたちの暴走はすでに始まっているようだ。レオン様の説明が後回しになってしまいそうなので、ジョーにレオン様に説明に行って欲しいとお願いする。
「あ! 忘れてたんじゃ。作ったやつも今居るから連れて伝えてくるんじゃ」
「ベス、ジョーたちを連れて行くのお願いしてもいい?」
「分かりましたわ」
ジョーたちはベスに連れられて部屋を出て行った。流石にジョーを無視して作るのは可哀想だと、残った魔法使いたちは待ってくれるようだ。
残った魔法使いたちに豚骨ラーメンが美味しいだとか、新作のハンバーガーは美味しかったと言われる。もうハンバーガーは食堂で出るようになったのか早いな。
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