砂漠の移動方法
レオン様が合金ができたら伝えにこいと言っていたし、明日はベスに相談して、レオン様が空いているか確認しよう。
「明日レオン様の予定が空いているかベスに聞いてみるよ」
「報告せよと言われておったな。それならば聞いたことを詳しく教えておくんじゃ」
ジョーから出来上がった合金について聞いていくと、鋳造で使っても十分な強度と粘り強さのある金属を作り出せたようで、今は鋳造で試作をしていると説明された。
「試作してるの?」
「一つ貰ってきたんじゃ」
特に意味がある物ではないが、比べるのに丁度いいと、ただの鉄の棒を作っているようだ。正直持った程度では違いがわからないのだが、ジョーに重しを乗せたり力をかけていけば違いが分かると言われる。レオン様も分かるだろうか?
「ジョー、説明するのに呼ぶかも」
「無理もないんじゃが、流石に違いが分からんかの?」
「レオン様に説明して、理解させられる自信がないや」
ジョーも同意して、説明用に何か作っておくと言ってくれた。
「ワシも比率は聞いたので作ることは可能なんじゃ」
「それならお願いします」
合金で忙しくて先ほどジョーが頼みに行った、ステンレスを作るのが難しそうだ。俺はジョーにステンレスはどうなりそうかと尋ねると、本当に合金ができたのもあって、楽しくなり続けて作りそうだったとジョーは言う。
「大丈夫なのそれ?」
「いつもの事じゃし、多分大丈夫じゃ」
「ジョーも不安そうじゃないか」
「あいつらは炉を使って作業するから不安ではあるんじゃ」
確かに高温の炉を使って実験を繰り返しているのは事故が怖くはある。
「後でメアリーに相談しておくんじゃ」
「それなら俺もメアリー様に会いに行きたいんだ」
それならばと、早速メアリー様がいる図書館へと向かうことに。
「メアリー様、お久しぶりです」
「エド、お互い忙しかったから仕方ないが久しぶりだね」
「一ヶ月ダンジョンに行けないくらいには忙しかったです」
メアリー様も同じくらい忙しかったようで、大変だったと言う。
「エドが転生者であることはレオンからも聞いているよ」
「報告が遅れてすいません」
「気にしなくていいよ。私も本当に忙しかったからね」
俺はメアリー様に転生者であることを伝えないといけないと思いながら、忙しくて伝えられずにいたので、忙しさも落ち着いたことから会いにきたかったのだ。俺が忙しいと言うことは、メアリー様はも同じように忙しかったようで、流石に疲れた様子だ。
「それで今日はどうしたんだい? エドも忙しいだろから、それだけじゃないんだろ?」
俺は合金を試作してもらっていたのが完成して、今度レオン様に報告する予定であることと、今日新しく思いついた合金があり、そちらも伝えたら頼んでいた魔法使いが徹夜で合金を作りそうなことを伝える。
「そう言うことかい。徹夜をするのは諦めるしかないが、炉を使っているとなると話が変わってくるね。私の方からも注意はしておくよ」
「ありがとうございます」
メアリー様が出来上がった合金に興味が出たようで、説明を求められ俺とジョーで説明をしていく。
「随分と使いやすい金属を作ったようだね」
「そのうち誰かが思いつきそうですが」
「今思いついたのがエドだった訳さ」
メアリー様に製鉄業が変わるかもねと言われ、記憶から思い出してみると、産業革命に製鉄業が関わっている事を思い出して一瞬焦るが、この世界は魔法やダンジョンがあるのだし、そこまで変わらないかもしれないと自分を誤魔化す。
「ステンレスだったかい、そちらは水車の部品に良さそうだね」
「いえ、アルバトロスの場合は海が近いので水車での使用は止めた方が良いと思います。ステンレスは塩分に弱いのです」
「そうなのかい。水車は川にあるとは言え上げ潮で塩分が混じるから使えなさそうだね」
メアリー様にステンレスを使用する場合の注意点を話した後に、俺はダンジョンで砂漠について聞いてみる。
「俺たちはダンジョンでサソリの階層を探索しているんですが、倒されていて出会わないので砂漠に行く準備をしようと思っているんですが、メアリー様はダンジョンの砂漠について何か知ってますか?」
「砂漠ね。まずは迷子にならないように方位を示す魔道具は作ったのかい?」
「あ、ライノにも準備するように言われてたのを思い出しました。まだ作ってないので作ります」
「後は温度を調整する服だけど、エドたちの服は協会で魔道具にして温度調整もつけたんじゃ無かったかい?」
「付いてます」
鉄が剥き出しの道具は触ると暑いので何か巻いておくとか、飲み水はある程度持っていくように言われる。
「それとワーム対策だね。対策といっても取りようがないんだけれど、それこそ皆で飛ぶとかだね」
「飛べば安全なんですか?」
「安全かと言われると怪しいんだけど、地上を歩くよりは安全だと思うよ。ワームは振動で敵かどうか判断していると言われていて、飛んでれば振動が出ないからね」
だったら最初から最後まで飛んで行けば良いのか。だが飛ぶことの出来ない冒険者はどうしているのだろうか不思議に思って、メアリー様に質問するとどうやって砂漠を進むのか説明してくれた。
「砂漠を通るには特殊な鉄の船のようなもので、ワームの攻撃を無視しながら進むのが一般的らしいね。だけどダンジョンの階段が狭いのもあって、船は分解できるようにして、砂漠で組み立てるらしいよ。なので船を運んで組み立てるのが大変らしいね」
「鉄の船ですか」
「そう、鉄の船さ。普通だったら砂の上に置いても進まないから、魔道具化してる特殊な船だよ。鉄の船でもワームが飛び上がるらしいから船の底は良いけど、上からの攻撃が大変だと聞いたよ」
ワームが飛び上がるのか、低めに飛んでいたら大変な事になりそうだ。
「休憩するなら岩棚のような広めの岩が飛び出している場所があるらしいから、岩の上で休憩するらしいね。岩の上にはサソリやコカトリスが居るから倒さないとダメだよ」
「岩の上にサソリやコカトリスが居るんですか。他には居ないんですか?」
「ワームが振動する物を捕食してしまうから居ないと考えられてるよ」
同じ魔獣でもワームは関係なしに食べるのか。今まで出会った魔獣と違ってかなり攻撃的だな。飛んで移動するのは良いが、もし何かあって歩いて進む事になった場合に倒し方も考えておきたい。
「ちなみにワームを倒しながら進むことは可能なんですか?」
「できなくはないと思うけれど、倒して進む人は居ないんじゃないかね? 砂の中にいる上に生命力が強いから見つけるのも大変なら、倒すのも大変だからね」
「まずは砂の中から出さないとダメなのか」
俺が何か方法がないかと考えていると、メアリー様が一冊の本を持ってきてくれた。
「これにワームのことが詳しく書いてあるよ」
「ありがとうございます」
本を読んでみると、メアリー様が説明してくれた事以外に、塩に弱いようだと書かれている。
「塩に弱いなら持って行ったほうがいいかな?」
「本当かい? 私もその弱点は覚えてなかったね。アルバトロスは港町だから塩は手に入りやすいし、手持ちの荷物に余裕があるのなら持っていたらどうだい?」
「そうですね。荷造りをしてから余裕があれば持って行きます」
メアリー様が忘れているくらいなのだし、一度使えるか試してみるのに塩を持っていこう。
「メアリー様、参考になりました。ありがとうございます」
「気をつけるんだよ」
「はい」
その後はメアリー様と雑談をする。豚骨ラーメンを普通の豚で作ってみたり、違う味を作っているとメアリー様と話すと、アルバトロスの新しい名物になりそうだねっと言われる。確かにラーメンが流行れば名物になるかもしれない。
ベス用の腕輪を作っているとも話すと、助言をいくつか貰ったので試してみる事にした。メアリー様からベスとの結婚についても良いのかと聞かれたが、俺はベスが良いと言うと、メアリー様は申し訳なさそうにする。
「ベスは王女なのに、私に性格が似てしまったからね。エド、申し訳ないけどよろしく頼むよ」
「メアリー様、気にしないでください。俺はベスが結婚相手で嬉しいですから」
「エド、頼んだよ」
俺はメアリー様の言葉に同意の返事をすると、メアリー様は満足気に頷いてくれた。その後はこの一ヶ月の忙しかった時期の話をしていると、夜になったので解散した。
ベスを迎えに行きながら、今日はレオン様に報告をするために予定を聞かないとと思いながら、屋敷に向かう。
「ベス、ダンジョンに行く前に話したいことがあるんだけど」
「何ですの?」
俺は試作をお願いしていた合金ができたことをベスに説明すると、レオン様の予定を聞いてくるので待っていて欲しいと言われて、待つことに。レオン様が話を聞けると言うのでレオン様の元に向かう。
「エド、もう合金ができたのか?」
レオン様も不思議そうに聞いてくるので、早くできた事情を説明すると、苦笑しながら分かったと言う。
「それでこれが作った金属か。金属の塊をみても分からんな」
「はい。ジョーがわかりやすいものを作ると言ってましたが、流石にまだできてないかも」
「それなら完成を待って、詳しい説明はジョーに任せるとしよう。簡単に説明を頼めるか」
「分かりました」
俺は出来上がった合金について説明していくと、俺の説明だけでも十分な物だと判断できたようで、レオン様は驚いている。
「それは凄いな。効率がかなり変わりそうだ。それに、この鉄を使った鉄の矢ならオークを倒せるかもしれんな」
「普通の弓だとどうなるか分かりませんが、倒せるかもしれません」
「レーヴェがエドが作った豚骨ラーメンを食べたがっていてな。オークが欲しいと依頼を出したようだが、狩って来てくれる人が居ないようだ」
「オークは俺たちも倒したいとは思いませんから…」
「依頼が出ているのは聞きましたが、レーヴェだったんですの?」
レーヴェが依頼を出していることをベスは知らなかったようで驚いている。
「料理人と相談して依頼を出したらしい」
「そうだったんですの」
俺は普通の豚で作る豚骨ラーメンなら料理人に頼んだから、味は落ちるが食べられはするかもしれないと伝える。レオン様はレーヴェが喜びそうだと、喜んでくれる。他の味も試作をお願いしているというと、確認したいと言うが、その前にステンレスの話もしてしまう。
「そちらの金属の方が凄くないか?」
「用途が違いますし、どっちが凄いとは言えないのですが、港町のアルバトロスではステンレスの方が使い勝手が悪いかもしれません。塩分に弱いのです」
「そうなのか。だが塩分が少ない場所なら使えると言うことだし、そちらの完成も待ち遠しいな」
すぐに完成するかもしれないと、俺は頼んでいる魔法使いが暴走していると説明すると、レオン様は苦笑しながら頷いた。
ラーメンを確認しに行くと、レオン様が一緒なので驚かれたが、海鮮系の試作している物がすでに出来上がっていて、試食してみると美味しい。
「美味しいな」
「レオン様、そうですね。こんなにすぐ出来上がるとは思いませんでした」
料理人が俺が作り方を教えてくれたし、海鮮なら使い慣れているのもあって、すぐにできたと言ってくれる。海鮮系を食べたら、鶏系も欲しいのだがコカトリスって食べれるのだろうか?
「レオン様、コカトリスって食べれたりするんですか?」
「毒腺を取れば食べれるな。それがどうかしたのか?」
「コカトリスの骨でラーメンを作れないかなって」
「そう言うことか。コカトリスの骨は、オークの骨の代用品なのだ。コカトリスの方が効果は落ちると聞いているが、手に入りやすい上にオークほど硬くはないからな」
俺とレオン様の話を聞いていた料理人は、コカトリスの骨を注文しておくと試作を請け負ってくれた。料理人の邪魔になると、俺たちは部屋に戻ってから話を続ける。
「コカトリスの骨ならば余るほど在庫があるだろし、オークと違って依頼を出さなくても買えそうなのがいいな」
「はい。まだコカトリスとは戦ってませんが、サソリは昨日一日歩いて、一匹見つけて終わりでしたから」
「ベスから聞いているが、大変そうだな」
「ステンレスが実用になれば鉱石も高値で取引されると思うので、魔獣の取り合いが多少は改善されるかもしれません」
「そうなるといいのだが。砂漠を越えるのは大変なようだからな」
レオン様は何故あの場所が混んでいるかも詳しく知っていて、荒野を越えるのに資金を投入した結果、次の階層に着く頃には、砂漠を越える資金が無くなっていると教えてくれた。砂漠の装備を準備するのに、お金を貯めようとサソリとコカトリスを狩り続けているらしい。
「魔力や獣人の部位が増えるのはゴブリンの階層以降なのもあって、草原に戻って狩りをする気にはならないようだ。数匹狩れば草原での一日の狩りを超える金額が手に入るのもあるようだがな」
「冒険者が何組回っているか知りませんが、それならサソリとコカトリスのリスポーン待ちをしますね」
普通の冒険者は俺たちが試してみようと思っている、空を飛んでダンジョンを越えるのは無理だろうし、ワームを簡単に倒せるようにならないと、鉄の船を使わないで、砂漠を簡単に越えるのは無理なのだろう
修正
感想で指摘頂きステンレスは塩(海水)に弱いとの修正。
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