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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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野生の勘

 作ったものは無作為でダンジョンに関係ないものばかりだ。そうなると俺がダンジョンに行きたがる理由は何故だろうか、記録だと思った記憶が関係しているのか、それとも思い出してないダンジョンの管理者との会話が、潜在的に記憶の中に残っていているのか。


「エド」

「ベス?」

「何を考えているのですか?」

「何で俺はダンジョンに行きたがるんだろうかなって考えてた」


 会話の途中で考え込んでしまったので、ベスを心配させてしまったかもしれない。


「エドはダンジョンに行くのが嫌になりましたの?」

「いや。ダンジョンに行くのは嫌じゃないよ。ダンジョンに拘らないで色々やってみたいとは思うけどさ」

「やってみたいことですの? では私との結婚など、どうですの?」

「え?」


 ベスからの急な提案に混乱して固まってしまう。


「ベス、急に何を言い出すのです」

「お母様、今なら行けると思ったのですわ」

「勘で物事を決めるのは止めなさい。それにベスは王女ですから、国王陛下の許可が無ければ話を進められませんよ」

「エドは転生者ですからダンジョンの奥に辿り着く可能性が高いですわ。そうなれば許可は必要ありませんわ」

「その可能性はありますが、エドがどうしたいかもあります。エドが困っていますし説明しますよ」

「分かりましたわ」


 ベスとトリス様の会話はよくわからない事が多い。トリス様が説明してくれるようだ。


「エド、何から説明すれば良いか迷いますが、まずベスとの結婚というか婚約は断っても構いません」

「えっと、断って良いんですか?」

「はい。断って良い理由を説明するのに、以前にベスの騎士を選ぶのが困ったと伝えたのは覚えていますか?」


 確かベスより強い相手がいないのもあって、相手側が辞退してしまうから騎士の候補がいなくなって、結局俺が候補になったのだ。覚えている事をトリス様に伝える。


「そうです。騎士候補でもありましたが、一部は婚約者候補でもあったのです」

「そうだったんですか?」

「貴族の次男以降であれば高位の貴族であっても騎士になれますし。護衛騎士は側に居ますから関係を深めるには丁度いいのです。婚約者候補まで倒してしまったので相手がいなくなりました」

「騎士候補が次男以降なら、まだ長男がいるのでは?」

「ベスの噂が広がったのもあり、婚約の話があってもベスが断ってしまいました」


 そうか次男以降なら長男に話が伝わるか。でも長男が断るのではく、ベスが断ったのか。


「当たり前ですわ。会って話すと、鍛錬をやめて欲しいなどと皆言うのです、話になりませんわ。エドはその点違いましたわ。一緒に鍛錬してくれますし、私が強くても気にしませんでしたわ」

「ベス、貴族としては相手が言うことの方が普通なのですからね」

「お母様。私は私ですわ」


 ベスが普通ではないのは分かっていたが、婚約者候補に言われるほどだったのか。好きな事をやれば良いんじゃなかと、気軽に考えていた。


「ですが、国内で婚約者を探していたのは、魔法を覚える気がなくなる前まででした。途中から婚約者候補はツヴィ王国の貴族に変わっていましたから」

「結婚のことを言われなくなったと思ったら、相手が変わっているとは思いませんでしたわ。それに関しては危なかったですわ」

「魔法のこともあって、ツヴィ王国なら鍛錬していても変ではありませんからね。実際にツヴィ王国の元王女であるルーシーもかなり鍛えていますし」


 確かにベスの行動や嫌がった理由を聞くと、ツヴィ王国の貴族で問題ないと思ってしまいそうだ。実際は違ったようだが。


「結果的にベスの婚約者候補は居なくなってしまいました」

「なるほど。ですが俺が断って良い理由ではない気もするんですが」

「エドは気にしていないようですが、ベスは貴族として問題がありすぎます。貴族の結婚相手として考えると断られても文句は言えません」

「俺は貴族ではありませんよ?」


 俺は将来騎士になるかもしれないが、今は貴族ではない。というか今更だが騎士でベスと結婚できるのか?


「トリス様、俺は将来騎士になると言われていますが、騎士でベスと結婚できるんですか?」

「それも説明しないといけませんね。エドは騎士でなくそれ以上の爵位に叙爵できないかと国王陛下に問い合わせています。男爵以上は辺境伯の権限だけでは叙爵するのが難しいのです」

「俺が騎士以上の貴族ですか?」

「そうです。王太子妃のルーシーを助けたことや、ドラゴンとメガロケロスを安全に移動させた功績がありますから」


 俺が騎士以上の貴族になるって、騎士でも想定外だったのに、それ以上って想像ができないのだが?


「二つの功績に見合う、エドが欲しがりそうなものが思いつかなかったのです」

「欲しい物ですか? 俺は別に無しでも問題ないですけど」

「貴族として報酬の無しは不味いのです。何かしらの報酬を渡すために、選択肢として叙爵を考えていました」


 報酬を渡さないとダメだとなると、確かに俺も何を貰ったら良いかわからない。


「爵位が報酬の候補になるのは分かりましたけど、それでベスと結婚できるんですか?」

「普通なら王女との結婚は無理なのですが、ベスなら可能だと思っています。結婚の許可が出るかは国王陛下の判断次第なのですが、私としては、エドがベスを貰ってくれるなら喜んで渡しましょう」

「え? トリス様はそれで良いんですか?」

「私とレオン、どちらも同意しています。国内でも探せばまだ候補は居ますが、ベスと相手どちらも乗り気ではないでしょうし、だったらベスが結婚したいと言っている、エドを結婚相手として応援したいのです」


 さらに続けてトリス様は俺とドリーを実の子供のように思っていると言ってくれ、ベスと結婚すれば子供も同然とまで言ってくれた。


「トリス様、そこまで言ってもらえて嬉しいです。レオン様はベスの婚約は良いんですか?」

「エドとベスの婚約に関しては、エドが良いのなら私としてはお願いしたいな。親としては子供の幸せを願いたい」


 レオン様も貴族らしい考え方ではないようで、ベスの幸せを願っているようだ。


「それとエドは転生者であったから、ダンジョンを踏破する可能性が高い。踏破した場合は爵位が与えられることになっているので、国王陛下の意向は関係がなくなる」

「え? 踏破すると爵位が貰えるんですか?」

「そうだ。実権がない形だけの爵位にはなるが、爵位としてはかなりの高位になる」


 実権がないけど高位の爵位とはどう言うことだろうか。


「レオン様、どう言うことか聞いても良いですか?」

「爵位を説明するのに、エドはリング王国がどのように出来たか覚えているか?」


 ダンジョンを踏破した者の子孫が作った国だと以前に聞いたと伝える。


「その通りだ。子孫が国を作り運営したのは、踏破した者はダンジョンの管理をするために、ダンジョンから出てくる事が少なかったからだと言われている。魔物が溢れる以前の話なので正確には分からないがな」

「つまり爵位が高位なのは本来は王をする人が付く地位だったからですか?」

「そうだ。だから領地や実権はないが、何かするのに国王陛下に許可を取る必要もない特殊な地位だ」


 魔獣が溢れる前でダンジョンの管理がそこまで忙しかったのだから、今だったらもっと忙しそうだし、踏破した者は王から許可を取っている暇もなさそうだ。ベスが結婚するのに許可は必要ないと言ったのは、この地位になる可能性があったからか。


「エド、そろそろ私と結婚してもいいかの返事は頂けませんの?」

「ベスは俺でいいの? 転生者と言っても双子じゃないし、生まれる前の記憶も怪しいけど」

「転生者とか関係ありませんわ。私は今のエドが良いのですわ」


 話を聞いて、ずっとベスは俺のことを見てきて好きになってくれたようだ。だからかベスの言葉がすんなりと入ってくる。

 自分以外の転生者と出会ったことで考えさせられる事が多かったが、ベスの言う通り俺は転生者であるが、それ以上にエドワードとして生きているんだ。俺を好きになってくれたベスに返せるのは返事をすることだ。


「分かった。ベス、いいよ。話を聞いた限りは、今すぐ結婚する訳じゃないと思うし、まずは婚約なのかな?」

「やりましたわ!」


 ベスは俺の質問に答えることはなく喜んで俺に抱きついてきた。正直そこまで喜んでもらえるとは思ってはいなかった。ベスに抱きつかれた俺にトリス様が声をかけてくる。


「エド、良かったのですか?」

「はい、トリス様。ベスに好意を寄せられるのは嬉しいですし、それにベスと一緒にいるのは楽しいです」

「エドは心配していないのですが、ベスに関しては心配しかありません」


 トリス様のベスに対する心配は尽きる事がないようだ。トリス様に説明した通り好意を寄せられるのは嬉しいし、一緒にいるのが楽しい。それにベスの貴族ぽくないところも俺としては良いんだと思う。地球の知識がある分、常識の違いに戸惑うが、ベスは良い意味で貴族らしくないので一緒に居ると楽なのだ。


「そうなるとエド、先ほど説明し忘れましたが、叙爵をするとダンジョンに行けなくなります。どうしますか?」

「え? 叙爵するとダンジョンに行けなくなるんですか?」

「貴族の当主になりますからダンジョンに行くのは控えるべきですね」


 ベスからゴブリンの階層を進む時に説明されたことを思い出す。当主と長男はダンジョンに行かないで、ダンジョンについて伝承していくことを優先するんだった。


「叙爵をしたら貴族の当主になるのでダンジョンに行けないと言うことですか?」

「その通りです。なのでダンジョンを踏破すれば爵位は関係なく結婚できます。ですがダンジョンを踏破しない場合は、叙爵しないとベスとエドは婚約すら無理なのです。なのでベスと結婚する場合は、ダンジョンの踏破を諦めた時点で叙爵することになります。ですから私はベスとエドの結婚の話をしていなかったのです」

「今は婚約すら無理なんですか」


 踏破すれば結婚も自由だが、現状だと叙爵しないと婚約すら無理なのか。ダンジョンについては、俺だけの問題でないし、どうしたら良いのだろうか?


「エド、私の我儘でもありますから婚約は後で良いですわ。それに、私もダンジョンにまだ行きたいですわ」

「ベス、だけど時間を空けることになるから、ベスの婚約者候補が出てくるんじゃ?」

「お父様とお母様が断ってくれますわ。それに最近そんな話聞きませんわ」


 それはトリス様とレオン様が断ってるからベスが聞かないだけで、実際には結構そう言う話は来ているんじゃ?


「エド、実際はそう言う話が来ていると思っていますね?」

「トリス様、なんで俺の考えていることが分かるんですか?」

「エドならというか、普通ならそう考えそうだと思っただけです。ベスに婚約者候補の話は来ていませんよ。話にならない程度の売り込みなら来ていますが、候補にすらなりません」


 ベスは辺境伯の娘で王女なのに何でそこまで話がないんだろうか? 流石に聞き返すわけにも行かず、返す言葉に困る。


「まともな候補者が来なくなった理由は思いつきますわ。護衛騎士を選ぶ時に少しやり過ぎてしまった自覚がありますわ。ですが今は丁度いいですわ」

「ベス、あれは少しではありませんでしたからね。子供とはいえ自尊心が折れていた子も居たんですからね」

「そうだったかもしれませんわ」


 ベスとトリス様の会話で察した。それは鍛錬を止めてくれないかと言われる訳だ。


「さて随分と話が逸れたが、凶悪犯の話もしておかねばならないな」

「お父様、忘れていましたわ」

「エドが転生者であったことの方が衝撃であったからな。更にはベスの結婚話にまでなってしまったしな」

「お父様、うまく行きましたわ」

「エドに断られたら、ベスの相手はどうしようとトリスと話していたから安心したよ」


 結婚を断れると聞いたが、もしかして断っても何回も聞かれた可能性がありそうだな。断ってないから良いのだが…


「ではお父様、凶悪犯を捕まえた時の様子は話しましたから、被害を伝えますわ」


 ベスは凶悪犯によって壊れた建物の被害や、人への被害をレオン様に報告していく。


「予想以上に建物の被害が出たか。だが民間人の死者は出ていないと、それは良かった。しかし死者がなしとはな。エリザベス商会の報告は聞いていたが、思った以上に貧民街に浸透しているようだな」

「私も今回の作戦で実感しましたわ。短期間でここまで貧民街で信頼を得るとは思っていませんでしたわ」

「アルバトロスの街全体がエドのおかげで活性化しているのもあって、人手不足で貧民街の者だろうと関係なしに雇い始めているようだな」

「知りませんでしたわ」

サブタイトルをベスの勘にするか、野生の勘するかで、野生の勘にしました。


62話 ダンジョンの秘密 の内容を一部変更(間違えてた)

リング王国は魔獣が溢れた混乱初期に国が出来た → 混乱より前に国が出来た


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 王の娘だから王女なんだろ、辺境伯の娘は辺境伯令嬢でしょ。 ベスは王位継承権保有者であって王女・王族ではないだろ。
[気になる点] 「騎士以上は辺境伯の権限だけでは叙爵するのが難しい」 以上って表現使うと騎士も含まれてしまいませんか?
[良い点] いつも更新ありがとうございます! [一言] ベスの可愛らしい一面 大好きタックルは一瞬人類最強が掠めました(笑)
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