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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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魔獣との戦い

 ベスを屋敷に送った後に魔法協会へと帰ると、ウサギの肉は食べたが、皮を忘れていてどうしようか迷っていると、魔法協会で合流したエマ師匠が、ジョーに相談すると良いと教えてくれる。

 ジョーに相談すると、魔法で鞣す方法を教えてくれ、一瞬で鞣された革になった。

 ドリーが見つけた薬草も、ジョーに見せると魔法薬にすると良いと言われて、素材となって魔法薬になった。

 やはり魔法薬でもドリーの腕は良いようで、ジョーに褒められドリーは嬉しそうだった。

 次の日に薬師組合に行って、採取のリスポーンする場所を教えて貰ってから、冒険者ギルドへと向かいライノと話をする。


「ライノ、今日はもう少し奥に行こうと思うんだ」

「昨日はどこまで行ったんだ?」


 地図を出して、回った場所を指差し、ウサギと戦ったことを伝えると。


「本当に様子見だな、エドたちならもっと奥に行けるな」

「やっぱりそうなんだ」

「決めるのはエドたちだから、自分たちで決めるんだぞ」

「分かった」

「後は奥に行くなら、これを持って行け」


 ライノから棒を渡される。


「これは?」

「収納の魔道具って呼ばれてる物なんだが、一本で一体ダンジョンの動物や、魔獣だったら中に入れられる」

「え? どうなってるの?」

「分からん、魔法使いのエドの方がまだ分かるんじゃないか?」

「さっぱりだよ」

「なら、誰かに聞いてみることだ」

「分かった」


 ライノから魔道具の棒を何本か買うと、ダンジョンへと向かう。


「今日は、もう少し奥まで行こうと思うんだ」

「流石に手応えがなさすぎましたわ」

「俺も、そう思う」

「うん!」


 手応えがなさすぎるというのは、ドリーにまで同意されてしまった、奥に行くのは決定だろう。


「魔獣が出るか、肉食獣が出る辺り、までにしようと思うんだけど」

「エドは、魔獣と戦った事がありますの?」

「小動物とか、鳥の魔獣なら、狩った事はある」

「なら、数が多くならない限りは、エドの言った通りにしますわ」

「確かに、数が増えると厄介かも。注意しよう」

「うん!」


 ダンジョンに潜ると、昨日行った出入り口付近は通り過ぎて奥に進んでいく。

 進むと人が戦っていたりするので、遠回りして避けて奥に進んでいく。


「ウサギより大きい動物が多いから、すぐに倒せないみたいだね」

「そのようですが、戦闘経験があまり無さそうですわ」

「出入り口付近のウサギは、ドリーと同じくらいの子供も居たから、此処からが冒険者としてのダンジョンの始まりなのかも」

「まだ冒険者に成り立て、という事ですわね」


 俺の仮説はおそらく合っているだろう、戦っているのは大半が腰が引けていたり、動きが変だったりするのだ。

 先に戦っている冒険者の邪魔にならないように移動していく。

 冒険者が戦っている相手が、肉食獣か魔獣かになってないか注意して歩き、空いている獲物は居ないかと探して回る。

 先ほどまで見てきた獣より少し大きいヤギが、誰も戦っていないようだ。


「ベス、ヤギがいた」

「エド、どうします?」

「突進してこられると面倒だから、弓で牽制した後に槍で倒そうか」

「良いですわね。私が槍で倒します」


 ベスは昨日は剣だったが、ダンジョンが思った以上に広かったので、今日は槍に持ち替えて来ている。

 俺もテレサさんから槍を習っているので使っても良かったが、ベスはやる気のようだ。


「分かった。それなら俺とドリーで牽制して、気を逸らすから倒して」

「分かりましたわ」


 ベスが前に出ると、ヤギが気付き警戒している。

 俺とドリーが弓を打って牽制すると、運よく俺とドリーの矢は足と胴体に当たったようで、動きが鈍った。

 その瞬間にベスが駆け寄って、槍で急所を刺して、素早く抜くと離れる。

 ヤギはしばらく暴れたが、止まって動かなくなる。


「上手くいきましたわ」

「ベス、流石だよ」

「エドとドリーの矢が良かったですわ」


 ヤギは大きく、持って歩くのは無理な大きさだ。

 早速ライノから持っていくように言われ、ギルドで買った収納の魔道具が役に立つ。収納の魔道具をヤギにくっつけると、ヤギは消えてしまう。


「本当に消えた」

「消えましたわ」

「きえた!」


 魔道具は効果が凄いものが多いが、此処まで劇的な効果があるものは初めてみた。

 しかも、魔道具自体の価格は安かったのだ。


「不思議だ」

「不思議ですわ」

「どうやって作るんだろ?」

「杖の代わりの腕輪を作ってくれた、ジョセフに聞いてみたらどうですの?」


 俺たちの腕輪を作ってくれたジョーは、俺とドリーに魔法薬を教えてくれている、だがジョーは魔法薬より魔道具を作る方が得意だ。


「ジョーにか、確かに詳しく知ってそうだ。今日帰ったら聞いてみるよ」

「私も会ってお礼をしたいですが難しいですわ」

「そのうち会いにいくって言ってたよ」

「分かりましたわ」


 まだベスはジョーに会った事がない、ジョーが出向いて貰うのは悪いと断っているのだ。

 ジョーは魔道具の研究や製作に忙しく、基本は外に出ないらしく、今度ベスを連れて行った方が早いかもしれない。


 そんな事を考えながら、ダンジョンの奥へと再び進み始める。

 他の冒険者が戦っているので避けながら進む、先ほどのヤギほど大きい動物は居ない。

 ヤギは空いていたのではなく、他の冒険者が相手をしたくなくて避けられていたのかもしれない。

 進んでいくと鳥が飛んでいる、よく見ると魔獣だ。


「あの鳥は魔獣だ」

「本当ですわ」

「魔法使いになると、はっきり分かるようになるんだな。以前は戦うまで分からなかったよ」

「魔獣、つまり魔法を使える獣だとよく分かりますわ」

「以前は意味を知らなかったけど、その通りだと実感するよ」


 魔獣と呼ばれているのだから、特殊な能力が有っても不思議ではないと、以前は気にしていなかったが、獣の魔法使いだとエマ師匠から教えられて納得した。

 ベスに、魔法使い以外は魔獣か分からないのに、どうしていたのかと聞かれる。


「ところで魔獣と戦うまで魔獣だと、分からないのは危なくありませんの?」

「大型の動物は危ないな。特にイノシシ。オオカミも危ないけど食べても美味しくないし、集団で狩りをするから、魔獣でなくても近づかないようにしてた」

「イノシシの魔獣は、強そうですわ。出会ったらどうするんですの?」


 イノシシは雑食性で気性も荒いため、普通のイノシシでも危険なのだが、魔獣となれば手に負えなかったので逃げるしかなかった。


「逃げるんだ。以前に罠に掛かったのに出会って必死に逃げた。罠にかかったのじゃなかったら、逃げるのも無理だったと思う」

「それは…エドが無事で良かったですわ」

「ありがとう。とりあえず今は、鳥の魔獣を倒そう」

「ええ」


 鳥の魔獣は飛んでいるので、遠距離での攻撃をするしかない。

 普通なら当てるのは難しそうだが、ダンジョン内は洞窟なので、鳥にとっては狭いようだ。上手く狙えば当てられるかもしれない。


「俺とドリーは弓で狙って、当たらなかったら魔法を使って狙おう」

「私は、槍で近づかれないように牽制しますわ」

「分かった。それじゃ俺から狙うよ、ドリーはその後で」

「うん」


 鳥に向かって弓を射るがやはり当たらない、鳥はこちらに気がついたようで直線的に飛んでくる。

 その動きを見たからか、ドリーはすぐには射たない。ドリーはしっかりと狙って、弓を射ると鳥に当たって落ちる。


「やった!」

「ドリー凄いな。よく当てたな」

「まっすぐだったから、簡単だった」

「確かに。鳥があんなに直線的に向かってくるとは」

「やはり、ダンジョンは特殊ですわ」

「そうだね」


 鳥の魔獣を回収しようと近づくと、意外と大きな鳥だった。

 ほぼ即死だったようで綺麗に矢が刺さっている。大きいと言っても鳥なので軽く、そのまま持って移動するか迷ったが、ドリーが収納の魔道具を使ってみたいと言うので使わせる。


「きえた!」

「何回見ても不思議だな」

「不思議ですわ」


 今日の予定は魔獣か肉食獣が出るまでだったので、この周辺を探索することにしした。


 周囲を回ると、前回とは違い組合で教えてもらったリスポーン位置に、薬草などが割と残っているので回収しながら回っていく。

 探索中にアライグマのような小型の肉食獣なども出て来たりしたが、俺たちは手間取る事もなく順調に倒していく。


 再び鳥の魔獣に遭遇して先ほどと同じ作戦で戦うが、弓で落とせなかったので、魔法で落とそうとする。

 だが何故か俺が魔法を打とうすると、魔法が上手く使えず戸惑っていると、ベスの魔法が止めを刺した。


「エド、魔法を何故撃たなかったのですの?」

「撃とうとしたけど途中から制御が上手く出来なくなって」

「緊張ですの?」


 緊張と言われて、制御ができなくなった時を思い出すが、ダンジョンも割と慣れて来たので、そこまで緊張はしてなかったと思う。

 魔法を打てなかった時の感覚を思い出すと、暴走時にエマ師匠に魔法の制御を取られた時に近い気がする。


「どっちかって言うと、エマ師匠に制御を取られるのに近いかも?」

「魔獣も魔法を乗っ取れるんですの?」

「分からないから、帰って聞いてみた方がいいかも」

「今日はもう、魔獣の相手はやめておきますわ」

「そうだね、少し戻ろう」

「ええ」


 少し戻って魔獣が出ない位置まで戻ると、冒険者の数が一気に増え、空いている獲物を探すのに苦労する。

 少し粘って探して回るが効率が悪いし、魔獣の対策を聞いてから出直した方が良さそうだ。ダンジョンを出ることにする。

 ベスが俺の料理を気に入ったらしく、最後の鳥の魔獣は魔道具に収納していないので、昨日と同じ解体しても問題ない場所で一羽だけ解体していく。


「テレサ、戻りましたわ」

「エリザベス様、お帰りなさいませ」


 実は今日もテレサさんが付いて来ている。辺境伯が戻ってこないので屋敷は予定が決まらない人が多いらしい。そして、テレサさんもそれに含まれているらしい。

 なのでテレサさんから、辺境伯が戻ってくるまではダンジョンの帰りを待つと言われた。


「エリザベス様、本日のダンジョンはどうでしたか?」

「途中までは調子が良かったのですわ。魔獣に、エドの魔法が制御を奪われそうになったかもと言うので、戻って来ましたわ」

「そうですか」

「テレサも魔法使いですし、何か知っておりませんの?」

「知っては居ます。ですが私はエリザベス様たちの魔法の師匠ではありませんので」


 どうやらテレサさんは、魔獣が魔法の制御を取れるか知っているようだ。

 ベスは、制御を取れるのかどうかだけ聞いている。


「では、魔獣は魔法の制御を取れるのかだけ聞けませんの?」

「それならば。魔獣は魔法の制御を取れますが、対策があるのです」

「分かりましたわ、ならば後はエマとエレンに聞きますわ」

「はい」


 俺は鶏肉を調理しながら、テレサさんが何故ベスに魔法を教えなかったのか疑問に思った。


「そう言えば前から気になっていたんですが、テレサさんは何故ベスに魔法を教えなかったんですか?」

「色々事情はありますが、リング王国の騎士と、それ以外の貴族は役割が違うのです」

「役割ですか?」

「細かく言うと時間が掛かるので、騎士だけに重点を置いた説明をすると、騎士は前衛として敵を止めるのに体と魔法を使い、騎士以外の貴族は魔法で薙ぎ払います」


 テレサさんの説明を聞いて、効率的な軍隊のようだなと感じる。


「貴族って言うか、軍隊みたいですね」

「私は軍属の騎士ですし、貴族の成り立ち自体が、軍隊に近い形だったと言いますね。なのでリング王国で魔力量が少ない貴族の魔法使いは、協会で研究するのではなく騎士を目指すことが多いです」


 確かにテレサさんも魔力量はそう多くはないが、研究でなく騎士を目指したのはどちらかと言うと、性分なのではと思ったりした。

 テレサさんの話を聞いていて思い出す、そう言えば俺は騎士になる可能性があるのだった。


「あの、俺も騎士になるのなら、テレサさんみたいに魔法を使うべきなんですか?」

「エドは魔力量がエリザベス様と同じくらい有りますし、平民から騎士になる場合は特殊な立ち位置になることが多いので、今まで通りにエマ様とエレン様からの訓練と、私からの鍛錬をしていれば良いかと」

「テレサさんからの鍛錬ってそういう理由もあったんですか」

「そう言えば、言ってませんでしたか」

「はい」


 ダンジョンでベスを守るための、とても辛い鍛錬だと思っていたが、あの鍛錬は実は他にも意味があってやっていたらしい。

 鶏肉を調理したものを皆で食べた後は、屋敷に戻ってエレンさんをベスが呼ぶ。


「どうされましたか?」

「エレンさん、聞きたい事があって質問しても良いですか」

「勿論です」


 エレンさんに、魔獣と戦った時に魔法を奪われそうになったと話すと、納得した様子で対策を教えてくれる。


「もう魔獣と戦われたんですね。制御が奪われないように対策するには、魔法を複雑にすることで対策できます」

「魔法を、ですか?」

「そうです。魔法が簡単ですと制御を奪いやすいのです。属性流派では、違う属性を混ぜて対策します」

「水に土とかですか」

「そうです。ただ魔獣に対して効果があるのは、意外と水に火で温度を上げただけだと見た目で分かりません」

「確かに。魔獣には効果がありそうです」

「人が相手だともっと属性を混ぜて工夫しないとダメですが、魔獣相手なら少ない属性と指向で十分です」

「分かりました」


 つまり相手が使っている魔法を当てると、制御を奪い取れると言う事らしい。

 エレンさんが、制御を奪う事で使える魔法を教えてくれる。


「制御を奪い取れるのを逆手に取ったのが、複数人で行う大規模魔法です」

「なるほど。簡単な魔法を準備するか、先に打ち合わせをしておけば、制御を取れるんですね」

「その通りです」


 大規模魔法を行うのは意外と簡単そうだなと思っていると、エレンさんに注意される。


「ですが、気軽に大規模魔法を試そうとしてはダメですよ」

「周囲への影響が大きいからですか?」

「いえ、魔法が暴走するからです」

「えっ、暴走するんですか?」

「そうです。扱う魔力量が増えれば増えるほど魔法の制御が難しくなり、最初に魔法を使った時のように暴走してしまいます」


 最初のように暴走するとなると、大規模魔法で扱う魔力が多いのなら、危険はさらに増すと言うことだ。


「それは危ないです」

「エドたちは魔力量も多いので、大規模魔法に魔力を出す側ではなく、制御する側に向いているので一度試してみますか?」

「試すって、大規模魔法は危ないから街の外でやるって聞きましたけど」

「制御を試すだけなら、方法があります」


 危険だと言われていたが、何か方法があるようだ。


「それならお願いしても?」

「それならば、エマも呼びましょう」

「分かりました」


 ダンジョンに行く時はエマ師匠は協会にいるので、呼ぶことになったようだ。


「エマが来るまでは別の魔法を教えます」

「分かりました」

誤字報告にありがとう御座います、助かっています。

報告頂いたものを確認しつつ適応します、同時に改稿作業しながら修正して行きます。


ブックマーク、評価、感想がありましたらお願いします。


追記

1話から人物の年齢と髪の色を追記しています。最新話を読んでいる人が分からないと思うので書いておきます。

ベスはまだ修正してませんが、年齢と髪の色です。

エド  一四歳 シルバーブロンド

ドリー 八歳  シルバーブロンド

ベス  一四歳 ストロベリーブロンドの赤髪に近い

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 飛んでた鳥なのに、料理中に「【鶏】肉」になってるってことは、ニワトリの魔獣だったってこと?
[気になる点] ドリー8歳は、思ったより大きいな。 お母さんを求める感じから、勝手に5、6歳と想像してた。
[一言] 勝手に主人公は10歳くらいと思ってたから予想外 世界観的に14歳なら独り立ちも珍しくなさそうだし子ども扱いされすぎな気がする
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