1章 4話 待機。。
1章 4話 待機。。
24時間待機か、、
携帯も教えたし、、とりあえずどこかで待たせてもらうか、、
私は席を立ち、部屋を出た。
ちょうど、美人所長が電話を終わるところだ。
「あ、、石川君、内容は把握した?とりあえず今日の夜から動くから夕方16時にはここに来てくれる?時給は1200円でいいかしら。。」
おーー、、結構いい時給。まあ、時給はいくらでもいい。
私は分かりました。と言って頭を下げた。
「これからよろしくお願いします。」
さっきの、、愛想のない女、、。らんは、事務所にはいない。
私は事務所を出て、エレベーターに乗り外に出た。
時間は午前11時。
うーーん、、今から帰るのも面倒だから、近くの満喫でも行って時間を潰すか。。
そう思い、歩いて50mもしない満喫に向かった。
私は満喫に入り、個室タイプの部屋を取った。
日替わり定食を頼み、少し仮眠した。
、、、、、、
ブーー、ブーー、ん、、
ブーー、ブーー、んん、、、
携帯か、、
寝ている時の携帯の着信は頭が痛くなる。
時間を見た。14時半。
見ると知らない番号だ。
ブーー、ブーー、、
まだ鳴っている。電話に出た。
「らんだけど、どこにいる?」
「あ、近くの満喫です。」
「今からターゲットの会社の前で張り込むから、事務所に来て。」
そう言って、電話を切った。
なんだ、らんという女。意外と仕事熱心だな。。
私は、すぐに満喫を出て事務所に向かった。
エレベーターに乗り、事務所に入る。
らんだけがいた。
「、、、8分。」
え?
「何でもないわ。行きますか。」
そう言って、車のキーを私に渡した。
一緒にエレベーターに乗る。
隣に並ぶと、、意外と背は普通なんだな。
その雰囲気とスタイルでモデルのような背の高さだと思ったが、、
私もエレベーター内で何も話さない。
1階に着く。エレベーターを降り、車が置いてある駐車場へ向かう。
白のアクア。まあ、会社の営業車にありがちな、家庭用でも一般的な車。これなら怪しまれない。
鍵を私に持たせたという事は私に運転しろって事だろう。
運転席に自然と向かった。
らんも当然のように助手席に座る。
エンジンをかけた後、おもむろにナビを触り出す。
住所検索か。。
手際のいいタッチ音が車内に響き渡る。
私は驚いた。
らんは、用紙も見ず住所を打ち込んでいる。
しかも2箇所。
「紙も見ずによく住所打ち込めますね。」
私は素直に話してみた。
「、、、、、、分かってるでしょ。」
らんはもっとぶっきらぼうに話すかと思いきや、普通の会話のトーンで答えた。
普通の会話で嬉しく思うなんて、愛想のない人間は得だよな。私はそう思いながらナビ通り行ってみる事にした。
さっきの、『分かってるでしょ。』の意味、、
確かに私は分かっていた。
クライアントの資料を外に持ち出すわけにはいかない。
情報は全て頭に叩き込んでおく。
私も探偵に憧れていたので、それぐらいは察しがつく。
私も、氏名、住所、ぐらいは極力頭に叩き込んでいた。
走り出した車内の中。
「らん、、さんって探偵は何年ぐらいですか?」
私は何も話さない女なら、わざわざ自分から話す事はない。基本私も性格は悪い。
しかし、コンビを組もうって間柄だ。少しは仲良くしないと。。
「ん??まあ、、3年ぐらいかな?」
おーーー、、答えたよ。。
私は少しホッとした。
「あなたはなぜ探偵を??」
おーーー、質問してきたよ。。
「え?ああ、、昔からの憧れの職業で、20代の終わりにチャレンジしてみようかと思って。」
「ふーん。。。」
興味がない。。
そんな返事だった。
私も聞いてみた。
「らんさんはなぜ探偵を??」
らんは、黙っている。
しばし沈黙が続く。
なんかそこには触れてはいけないのかな。
「まあ、昔ね、、、」
らんは独り言のように呟いた。
それから何も言わない。
昔、、昔か、、まあ何かあったのだろうな。
人の過去には色々ある。
他人が踏み入れてはいけない事もある。
私はもうそれ以上聞かない事にした。
それから、会話もなく車を走らせる事30分。郊外にある比較的大きめな会社に到着した。
工場も隣接しており、かなりの駐車スペースだ。
しかし、通りの道路から駐車している車はよく見える。
ここがターゲットの勤める会社か。
早速、車がよく見える位置に止まりターゲットの車を探す。
私もターゲットの車種、色、ナンバーは頭に入れていた。
「ありましたね。」
私はターゲットの車が見える位置で車を止めた。
「少し待機しましょう。」
らんは仕事モードになったのか、声がさっきよりははっきりしていた。
張り込み、、
会社が終わる時間まではまだ時間がある。
それはそうだろう。15時半に到着したのだから。
美人所長の言う通り、16時に事務所に行けば良かったが、14時半に電話で呼び出され15時前に事務所を出たのだから時間的にはまだ早い。ターゲットの会社は17時に終わる。
資料に書いてあった。
らんは早目に着いて、ターゲットを見張る場所を見つけたかったのだろう。
中々慎重な女だ。いや、探偵なら当たり前か。。
車で待つ間、チラチラらんの横顔を見ていた。
しかし、、本当に整った顔だ。
きっとモテてきたんだろうな。なぜ探偵なんかしてるのだろう。。
なんだかんだ言ってらんに興味しんしんな私がいた。
しかし、特に会話がないまま時間だけが過ぎていった。
そして、17時半、、続々と会社から人が出てきた。
「お、、仕事が終わっていよいよ帰宅か、、」
そしてターゲットの車に一人のスーツの男性が乗る。
来た!
早速走り出した車を目で追いかけながら、ゆっくり跡を追いかける。
尾行開始だ。