「悪魔拝む呪術」
そうだ! WEBカメラ仕掛けたんだった。
スマホスマホ……
え、嘘でしょ?
部屋ん中に鳩入っとるわ!
どっから入ってん?
また向かいの変人庭で鳥餌撒きよったな……
て、今後ろか。
うぅわっ!!
振り向いたらボウボウに草木生えた庭からジジィがじっとコッチ見とるやん・・・こっわ!
『こんにちは……』
挨拶しても偉そうに上から目線でチビッと肯くだけでニタニタ気色悪い笑み浮かべて、何やまたしゃがんで茂みに隠れよる。
毎日毎日この茂み中から人の家覗いてからに、コレその隠れ蓑にする為の庭木と違うか思うわ。
そも鳥に餌撒かんでも、何もせんとほっといたら、こん鬱蒼とした草木に集っとる虫喰っとったやろし。
わざわざ餌撒きよるから鳥もよう虫喰わんくなって、電線の上で餌の時間待っとるもんやから、此処らの車から何から道まで鳥の糞だらけや……
そういやこのジジィ昔、習い事帰りの私とゴミ出ししてた裏の爺さんに、お母さんの風呂覗いてた所見られて逃げて家籠もって、警察言うて問い詰めよ思たら海外逃げてからに、暫く静かになってたけど何時から帰って来よってたんかなぁ。
暫くした後、見回り来た刑事からこのジジィがカルト教団入っとる言う話は聞いた事あるけど……
「ククククッ」
うっ? あぁ、今通り過ぎたオバハンも何やちぃと前から近隣に来た言うけど、ニタニタして過ぎるだけで挨拶しても肯くだけ。
何や最近来た家みんな知り合いなんか、ようけ集まって話しとるのに元から居る住民には愛想もなく、今みたく人見てニタニタしながら過ぎてくだけ。
いつからこんな気味の悪い街になっとったんやろか?
――WUNYAAAAAAAAAWOOO――
『あ、ヴィネ』
そいやこの茶毛猫の名前て、シズが付けたんやったな……
『アンタそがい呼び難い名前でええんか? 私が新しいの付けたるでえ?』
――OWAAAWO――
あ、スィーっと行ってまいよった。
何や、ヴィネ気に入っとるんかいな……
ん、何や周りの空気変わったな。
ニタニタ気色悪い連中も通りに居らんくなったし。
とりあえず、部屋の鳥なんとかしいひんとやな!
――GATYA――
『ただいまー』
あれ? キッチンにも居らん。
お母さん何処?
あ、書き置き……
【送迎会で遅なるから腹減ったら勝手にタコパでもしとって】
タコパて……
そしたらミックスとチョコ在るし、シズ呼んでカスタード作ろかな?
電話したるか。
『あ、シズ、今から・・・
え、そおなんや。
遅なるってどがい?
ああ、まあええけど……
違うねん、あんま遅いとお母さん帰って来るでさ。
カスタード食いよるん見られたらまた愚痴言われるもんで……
ああ、ええよ。また何時でも出来るし。
うん、またな。
あ、そういやさっき外にヴィネおったで。
え、おお何や大きな声で鳴いとったわ。
ん、準備?
何や、シズどないしたん?
お、おうまたな』
何処に用やろな、シズがあんな焦って。
ってえ!
部屋の鳥、忘れとったああぁ。
――GATYA――
あ、まだ居ったか。
あれ? そういえば、何やこの時期になると・・・何やったっけ?
この鳩、確か、これ去年もここで、見た気が……
【72】
ングッ・・・何やこの数字。
頭に浮かんだはええけど・・・何やったか?
アカン、思い出そすると頭痛なって来た。
あ、こん鳩……
部屋ん中で飛び回るなや……
――SHAX・CHAX・SCOX――
何やこの気持ち悪い低い音、声?
コレ何やったか、聞いたらアカンかったような……
シズ、何でシズが浮かぶねん。
あれ? 何や知らんシズの記憶が・・・アカン、頭が!?
――SHAX・CHAX・SCOX――
――SHAX・CHAX・SCOX――
――SHAX・CHAX・SCOX――
――SHAX・CHAX・SCOX――
あぁぁ・・・あれ?
私、何するんやったっけ?
あぁ、鳥・・・鳥・・・何の話やったか?
ああそや、向かいの変人庭で鳥餌撒きよって……
餌撒かんかったら鳥もようけ虫喰ってくれるやろに。
そしたら、先ずは制服着替えな。
・・・あれ、何やこの赤い
――SHAX・CHAX・SCOX――
――SHAX・CHAX・SCOX――
――SHAX・CHAX・SCOX――
――SHAX・CHAX・SCOX――
あぁぁ、下着は窓から投げ捨てな……
私の身体はシャックス様に捧げ……
向かいの者にようけ見える様に、裸で窓に立ちます……
私の生き血でこの街の邪教徒を呪い殺す為に……
「ヴィネ!」
――WUNYAAAAAAAAAWOOO―
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
ああ、ああぁ、あああぁ、あああ・・・ああああああぁぁ……
『頭が、頭が……』
意識が、遠のく、アカン、目の前が暗く淀んだ何やのコレ……
音しか分からん……
――GATYA――
「栗子! これって・・・栗子を生贄にしようとしていたのか? 違う、コレは悪魔の儀式。ヴィネ! 栗子を取り巻く呪術者を曝け出しなさい!」
――WUNYAAAAAAAAAWOOO―
「ん、鳩? 違う、コイツはヒメモリバト。そうか、知覚を奪い盗る姑息な嘘吐き悪魔・シャックスね?」
んん、シズの声?
今日は、急な予定が入ったて・・・言うてたやん…
S「イケない! 先ずは栗子に結界を! ヴィネ、シャックスを留めといて」
何や、シズが猫と話して……
シズも頭可笑しなっとるやん。
アカンなコレ……
S「スブラヌクロームエンドロム!」
――SUBURANUKUROUMU――
――ENDOROMU――
え、何コレ・・・何か、何やろか。
何や変な、壁みたいな……
S「栗子、また記憶を奪われたないなら私の後ろにお出でや!」
あ、眼が開きよる。
え、私何でこんな、裸な……
シズ?
また今日は、とことんオカルト感満載な服装してからに、まっ黒やな……
『シズ・・・何で、今日は何処か行く言うてなかった?』
S「せやからここに居るねやん」
・・・ん? 意味ワカラン。
てか、さっき何言うたんシズ。
そんな黒魔術みたいな厨二病言葉使って……
あれ?
何や知っとんで今の、前にもシズここで……
そや、私の真の力の記憶を取り戻す! とか言うて。
何かと戦うのにあん時も黒魔術みたいな言葉で……
でも、何でこんな忘れとったんやろ?
あ、アレや・・・さっきの鳩。
アレの正体が確か・・・悪魔の
『シャックス!?』
――SHAX・CHAX・SCOX――
――KUKUKUKUKUKKUKUKKUKKUKKU――
――SHAX・CHAX・SCOX――
あ、鳩が・・・消えて変なモヤモヤが。
何、この嫌な空気感。
S「栗子、そん淀みから下がり!」
――WUNYAAAAAAAAAWOOO―
S「そうか、呪術者は向かいの家・・・ ヴィネ、栗子をお願い」
何でヴィネがシズと、それ喋ってんのか?
あ、そういや去年もヴィネとシズが、そやった・・・何で忘れててんやろ?
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
あ、あ、ああぁ頭が、頭が……
また意識が……
いや、眠ぅ・・・もう音しか、聴こ……
S「栗・・・いや、来たか、アンドロマリウス! ヴィネ、もうええ。ここからはアンドロマリウスの出番や」
――NAZEDA!OMAEMOAKUMADARO!――
S「ふん、姑息な嘘吐き悪魔シャックス、低俗な悪魔崇拝者達に召喚されたせいで知能もそこそこアホになったみたいね」
――DAMARE!WATASIHA44!――
――OMAENOTIKAKUMOUBATTEYAROUKA!――
S「カルト教団に召喚されるような馬鹿な悪魔なんて低級なのではなくて? あら、彼等はあなたに魔法陣も設けなかったようね」
――KUKUKUKUKUKKUKUKKU――
――WATASIWOTUKAU?BAKANA!――
――KUKUKUKUKUKKUKUKKU――
S「そうね大伯爵。けどシャックス、あなたは悪魔を崇拝する振りをした邪教徒に加担し、私の友に手を出し下着を盗んだ。私、いえ、アンドロマリウスは盗人を許さない!」
――MATE!SITAGIHAYATURAGAKATTENI――
――NAZE!72GA?――
S「序列72番の大いなる伯爵アンドロマリウス! 悪魔をも欺き騙さんとする盗人をここに捕らえ盗品を取り戻し、悪魔を崇拝する振りをして私欲性欲を満たす為に悪魔シャックスを召喚した邪教徒共を罰しなさい!」
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
――ANNDROMALIUS――
【72】
――NAZEDA72!OMAEMOAKUMADARO――
S「大伯爵シャックス、お前は私が闇へ還送してやろう!」
――NANDAOMAEHA?――
――DAREDAOMAEHA?――
――SONOTIKARA――
――MASAKASONNA――
――KALLYBUMNG――
――KALLYBUMNG――
S「ガナルベルデザルボフ
ズィグクォルケルムンド
ダジルムゲエデゾイゴアッザエル
エルブンドゥレイム
オッパドゥム!!」
――KALLYBUMNG――
――KALLYBUMNG――
ん、あれ、淀みが消えた?
けど、何やろか、物凄く体力使ったような・・・アカン、やっぱ眠ぅ……
てかシズ、猫と何しとん?
アカン、眠ってまう前に、伝えとかな……
『・・・シズ、私・・・カスタード・・・眠ぅ……』
S「ふふんっ、これだと思い出しても意味無さそうね。
とりあえず身体の紋様は消しとかないと……
アーヒャプライネックドゥロウム」
――KALLYBUMNG――
・・・何や気持ちえぇわぁ……
・・・・・Zzz
――FUNYAAAWO――
S「ヴィネ、ありがと。そのまま栗子の事お願い。私は悪魔崇拝者達の術式を封じて来るわ」
――FUNYAAAWO――
Zzz……
「栗子、栗子・・・夕飯出来たで!」
『えっ!? アレ? お母さん、シズは?』
母「は? あんた友達呼んどいて寝とったんか?」
『え、いや、何だっけ・・・夢か?』
母「もお! アンタ知らんのか? 向かいの家も隣も此処らの家の人バッタバッタ倒れてからに病院へ救急搬送され捲くっとるのニュースになっとったんやで! それ観て急いで帰って来た言うのにアンタって子は・・・ほんまアホで助かるわ!」
『そうなんや、何や私も助かった気はしとるんよ……』
母「ほんなら風呂入ってとっとと部屋で眠り!」
『え、夜ご飯は?』
母「あんたまたカスタード馬鹿バカ食いよったんやろ?」
『え?』
母「キッチンのたこ焼きプレートにビッタビタにチョコ着けといて何が夜ご飯よ、アンタ太んで?」
『・・・・・ぇぇえええ???』
――FUNYAAAWO――
■あとがき
【Goetic Demons】簡潔ですが……
★ヴィネ
序列45番の偉大なる王にして伯爵。
秘事物や魔術師を探り出し、如何なる時をも知り、命じられれば建造破壊に嵐で水難等も起こす事が出来る、黒馬に跨り前足に毒蛇を持ったライオンの姿で現れる悪魔
★アンドロマリウス
序列72番の大いなる伯爵。
悪と不正を見つけ盗品を取り戻す。盗人を捕らえ邪悪な人間を罰し、隠された財宝を発見する事に力を発揮する巨大な蛇を手にした人間の姿で現れる悪魔。
★シャックス
序列44番の大侯爵。
召喚者の命に応じて人の視覚・聴覚・理解力などの知覚を奪い去ったり、神や悪魔の関わらない隠された財宝のことも教えてくれるが魔法陣の三角形の中にいない限り嘘をつく。しわがれながらも繊細な声で話すヒメモリバトの姿で現れる悪魔。
◆昔読んだ本の詳細な記憶は微妙でしたので、WIKI調べもしたので大丈夫かと思います。
いえ、今回書いてみて、この系統の話や小説が少ない理由が解った気がします。
(!╹▽╹)ゞ色々面倒臭いっ!!(笑)
(⌐■-■)ゞ厨二のみんな☆応援よろしく★