正規ルートif(サカキショーゴ)
またまたサカキショーゴ様に書いていただきました。
正規ルートのifなお話です。
5年前。私の世界は変わった。
佐々木君が……相川君が……私の妹の、ゆなが……そして、私の親友の……心音が…………この地球を救うために、月へと向かった事で……。
学園長が月と一体化し、地球滅亡を謀ったあの日。
世界中が大パニックになって。暴動とかも起きて。
そして数日後に、月と地球の距離が狭まったせいで様々な天変地異が起きて……それをどうにかしようと、ゆめが嶋家のツテを全て使い、世界各国の科学者や超能力者の意見を聞いたりして…………そして、現時点でテレパシーを使える佐々木君と心音、そしてそんな彼らと数々の戦いを乗り越え、心のシンクロ率が高くなった佐々木君とゆなを中心とした、月の落下を食い止めるための計画が上がって。
そして4人は……NASAが打ち上げたロケットに乗って。
月が接近している事によって起きている天変地異を突破して……佐々木君と心音は、4人の超能力を底上げした上で、世界中の人間の精神を接続して、その繋がりを利用して、ゆなが世界中のほとんどの人間の、超能力のエネルギーやら念やらを剥奪して、そして佐々木君が……学園長が月の周囲に張っている障壁の内部へと、そのエネルギーを転移させて。
そのエネルギーによって、月を元の軌道に戻す事ができた。
でも、月が接近していた事で起きた天変地異によってロケットが大破して。4人は今でも発見できなくて。
そして、それから5年後の今。
私は今日も……4人のために作られた墓に墓参りをしている。
もう、ニュースでは4人の事は。
のちに『ルナストラック作戦の四英傑』と呼ばれる事になり、歴史の教科書にも載る事が決定した4人の事は……名前さえも、出なくなったけど……それでも私はずっと覚えている。
「…………佐々木君……相川君……ゆな……心音ぇ……会いたいよぉ……会いたいよぉ……もう、会えないなんて…………嫌だよぅ…………ッ」
お墓に、花を献じると……私はいつも泣いてしまう。
大好きなみんなの事を覚えているのは……とても苦しいから。
かつて私が、ゆなの事を覚えていなかった時のように、全てを忘れていれば……こんな気持ちにならなかったのだろうか。
でも、それは……本当の意味で、4人を殺してしまう事。
分かってる。分かってる……けど、この胸に空いた穴は……もう塞がらなくて。
私はいつものように……枯れるまで涙を流して……そして、月の接近により一変してしまった、荒廃した世界へと帰る。
戦後の日本も、こんな感じだったのか。
町には浮浪者どころか、まるで世紀末漫画に出てくるような、とても野蛮な人間が溢れてて。いろんな犯罪が、日々起こるようになって。
しかしそれでも、私は帰らないといけない。
もしも、4人が生きていた時……おかえりなさいって、言わなきゃ……いけないから……。
「ヒャッハー!!」
「マブいねーちゃん俺達とちょっと付き合いやぁ!!」
「気持ちよくしてやっからよぉ!!」
「ッ!? いやっ! いやあああ!!」
でも途中で、ガラの悪い人達と出会ってしまい。
私は、自分の能力を使って逃げようとするけれど……すぐに捕まってしまい……そして服を脱がされそうになった……まさにその時だった。
「俺の彼女に何をするだァーッ!」
聞き慣れた声の……激情に駆られたせいか、なんか田舎っぽい台詞と同時に。
ずっとずっと会いたかった人達が……ガラの悪い人達の背後に転移して……。
「ちょっと。俺の彼女って……私はまだあなたを姉さんの彼氏と認めてないわよ」
「いや、ここでそういう喧嘩はやめない?」
「ようやく日本に帰れてこれかよ」
相川君が、複数の男をどこかへと転移させ。
ゆめが、城山さんから剥奪した電撃で複数の男を感電させ。
そして、佐々木君と、心音が……テレパシーによって相手の脳に干渉して激痛を感じさせて気絶させて……!
そして心音は、私をすぐに抱き締めてくれて……!
「ゴメンね……ゴメンね、ゆめ!」
涙声で、私に言った。
「月面近くで爆発する寸前、相川君の能力で転移したんだけど……転移の途中で、地球の天変地異が激しくなって電磁波が乱れて、私達の超能力がかき乱されて……どこなのか全く分からない場所に、バラバラに転移しちゃって……ずっと、会いに来れなかった……ゴメンね……ッ」
「うぅん……いいよ、もうそんな事……」
無事に帰って来てくれた。
それだけで、私は……とても嬉しいから。
「おかえりなさい、佐々木君! 相川君! ゆな! 心音!」
「「「「ただいま、ゆめ(姉さん)ッ」」」」