74.脱出口と分担
ぺたんとその場に座り込み息を整える。火の燃え盛る中を走り回ったせいか喉もからっからだ。手持ちの道具の中から革製の水筒を出し直ぐ様口へと持って行った。
「プハァー、それでこれからどうする?」
「どうするもねえ、異変に気付いた上の人間が降りてくるだろうし…。取り敢えずここにいちゃあダメだろうね。」
そうなんだよな。思ってみればあの二人にいいように邪魔されたって訳だ。こうなれば町を出て適当な場所を探すしか無いか…。
「あの~、ちょっと良いかな?」
アンがそろりと申し出た。アンの話はこうだった。この地下通路には王家がもしもの時に使う脱出口があるらしい。そこは普段少し凝った仕掛けにより隠されており、地下通路の住人はまず知らない筈だと。アンも王家の人間だと城に入ったときに知らされていたとのことだ。
それは良いな。まあ城に近過ぎるってのはあるけど、その仕掛けってのを上手く使えば安全な拠点になり得る。俺達は早速そこへ向かうことにした。したのだが…。
「ごめん、話はしたものの私もハッキリとは覚えてないんだ。」
アンもその脱出口を一度しか見たことは無く、何処にあった場所かはうろ覚えなんだと言う。
「でもね、覚えることもあるよ。仕掛けの解除の仕方とか。あと確かその脱出口のあるところに龍の絵が描いてあったんだ。それが手掛かりになれば良いけど…。」
龍の絵か。外で拠点を探すよりよっぽど良いと皆で探すことにした。
城からの脱出口となると、やっぱり城の近くから探すのが良いだろう。アースノー城は町の中心に位置する。その場所へとまずは辿り着いた。ここからだけど…。
「良し、四方に分かれて探そう。三十分探して何かあっても無くてもここへ戻ってくる。いいな?」
グンジのその言葉に皆頷く。直ぐにこういう提案ができるのも経験あってこそだな。やっぱりグンジは頼もしい。
俺はアンと二人アースノー城から北に向けて通路を探った。通路の壁を左右に分かれて見てみるがそれらしいものは中々見付からない。あっと言う間に半分の十五分が経ち、今度は折り返し。来た道の壁を手で触ってみながら土や埃に隠れていないかも見てみる。しかし、見付からない。まあ、ここだけじゃない。きっと他の誰かが見付けているはずだ。俺達は集合場所へ戻った。
既に戻っていたのは二人、カナタにグンジだ。二人は東側と西側を探していたが、ダメだったらしい。後はメルシュか。
「おや?あたしが最後かい。」
噂をすればだな。
「メルシュ、どうだった?」
その問いにメルシュはにいっと笑った。




